2022/10/20
新しい交通を支える通信とIT技術
ITを活用してあらゆる移動をシームレスにつなげる次世代交通サービスMaaS(マース)は、「持続可能な都市」における交通手段の新しいかたちとして世界中で注目を集めている。
日本においてもさまざまな企業や都市でMaaSの取り組みが進むなか、交通における自動車への依存度が高く、高齢化にともなう交通弱者の増加が課題となっているつくば市にて、KDDIや筑波大学、筑波大学附属病院が連携して、2022年初頭にMaaSの実証実験を行った。
つくば市が目指す「高齢者や障がい者など誰もが安心・安全・快適に移動できるまち」の実現に向けて実施された今回の実証実験。つくば市のスマートシティモデル事業に参画するKDDIの技術はどのように活用されているのか。KDDI総合研究所の大岸智彦と幡 容子に聞いた。
大岸智彦「KDDI総合研究所ではMaaSを活用して地域課題の解決を図るさまざまな取り組みを進めています。たとえば、2021年に愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンで行った実証実験では、自動運転車のオンデマンド型住民送迎サービスにおける運行管理システムを開発しました。乗車予約の管理や経路設定、相乗り調整などを自動化することで運行の効率化を図ったものです」
「その際の乗車予約は電話でオペレーターが対応していましたが、今回のつくば市との取り組みではそこからさらに発展させ、オンデマンドタクシーのアプリ開発や運用を行いました。アプリ開発において特に意識したのは、誰もが使いやすいこと。高齢者が多く利用されることを想定して文字表示は大きめに設定するなど、シンプルでわかりやすい操作を心がけました」
また、つくば市の将来を見据えた取り組みについて、幡 容子は語った。
幡 容子「つくば市との取り組みにおいて、KDDI総合研究所ではオンデマンドタクシーのアプリ開発や運用のほか、auのスマホの位置情報データに基づく人口動態分析を行っています。KDDIが蓄積してきたビッグデータを活用することで、市内のどこからどこへ、どれくらいの人が移動しているのかを把握し、AIを活用したオンデマンドタクシーを含む将来の交通施策策定を支援することが狙いです。人の流れだけでなく、バス等の運行情報を活用し、市内の交通実態を明らかにすることで、つくば市の今後の交通施策に役立てていければと考えています」
このようにMaaSは旅行や観光における利便性向上だけでなく、医療や介護など誰もが安心・安全・快適に過ごせる街づくりの観点でも活用できる兆しが見えてきた。
KDDIはこれからも、地域の課題解決や住みやすいまちづくりのために通信やテクノロジーを活用し、さまざまなパートナーとともに安心で安全な暮らしをつないでいく。
※この記事は2022年3月23日の記事を再編集したものです。