2022/10/20

AI技術で効率よく運行するオンデマンドタクシー

  • 通信のチカラ
  • SDGs

ITを活用してあらゆる移動をシームレスにつなげる次世代交通サービスMaaS(マース)は、「持続可能な都市」における交通手段の新しいかたちとして世界中で注目を集めている。

日本においてもさまざまな企業や都市でMaaSの取り組みが進むなか、交通における自動車への依存度が高く、高齢化にともなう交通弱者の増加が課題となっているつくば市にて、KDDIや筑波大学、筑波大学附属病院が連携して、2022年初頭にMaaSの実証実験を行った。

筑波大学附属病院

今回の「つくば医療MaaS」の実証実験では、自宅からタクシーで医療機関まで移動し、顔認証技術の活用による事前受付や、病院内をパーソナルモビリティ(一人用の乗り物)で自動走行する実証が行われ、通院から受診までの一連の動線をシームレスにつなぐことの実現性が検証された。

つくば医療MaaSの実証実験の流れ

まずタクシーの移動実験では、病院への通院にタクシーを利用したい住民に向けて、市内6つの医療機関との行き帰りに利用できる相乗り型のオンデマンドタクシーを運行。

つくば医療MaaSのタクシー

タクシーの予約には、KDDI総合研究所が開発・提供を行ったスマホのアプリを使い、希望する出発地や目的地、日時や人数を入力。

つくば医療MaaSのアプリ画面

この相乗り型のオンデマンドタクシーは、行き先を病院に限定したもので、自分でクルマを運転できない人などのために、移動手段の確保や通院負担の軽減を目指したもの。出発地から目的地までの経路はAIが自動で計算。相乗りが発生して複数の乗降場所を経由する場合でも、もっとも効率的な経路をAIが判定してくれるなど、新たな公共交通としての役割が期待される。

つくば医療MaaSのタクシー車内

そしてタクシーの車内で顔認証による病院の事前受付を行い…

つくば医療MaaSの顔認証

病院の入り口から診察室までは、自動運転パーソナルモビリティでの移動実験が行われた。

つくば医療MaaSの自動運転パーソナルモビリティ

オンデマンドタクシーのアプリ開発・運用を担当した、KDDI総合研究所の大岸智彦はアプリ開発について、「特に意識したのは、誰もが使いやすいこと。高齢者が多く利用されることを想定して文字表示は大きめに設定するなど、シンプルでわかりやすい操作を心がけました」と語った。

このようにMaaSは旅行や観光における利便性向上だけでなく、医療や介護など誰もが安心・安全・快適に過ごせる街づくりの観点でも活用できる兆しが見えてきた。

KDDIはこれからも、地域の課題解決や住みやすいまちづくりのために通信やテクノロジーを活用し、さまざまなパートナーとともに安心で安全な暮らしをつないでいく。

※この記事は2022年3月23日の記事を再編集したものです。