2022/10/20

企業と大学と地域が連携して進めるまちづくり

  • 通信のチカラ
  • SDGs

ITを活用してあらゆる移動をシームレスにつなげる次世代交通サービスMaaS(マース)は、「持続可能な都市」における交通手段の新しいかたちとして世界中で注目を集めている。

日本においてもさまざまな企業や都市でMaaSの取り組みが進むなか、交通における自動車への依存度が高く、高齢化にともなう交通弱者の増加が課題となっているつくば市にて、KDDIや筑波大学、筑波大学附属病院が連携して、2022年1月17日から2月14日まで、MaaSの実証実験を行った。

つくば医療MaaSのタクシー

今回の「つくば医療MaaS」の実証実験では、自宅からタクシーで医療機関まで移動し、受付で顔認証技術の活用による本人確認を行い、病院内をパーソナルモビリティ(一人用の乗り物)で自動システムによる移動の実証が行われ、通院から受診までの一連の動線をシームレスにつなぐことの実現性が検証された。

この取り組みにおいて、KDDI総合研究所では医療機関まで移動するオンデマンドタクシーのアプリ開発や運用のほか、auのスマホの位置情報データに基づく人口動態分析を行った。

医療の分野にMaaSを活用することにより、患者や医療現場にどのようなメリットがもたらされるのか。筑波大学附属病院の西山博之さんと筑波大学の鈴木健嗣さんは次のように語る。

筑波大学附属病院 副院長 西山博之さん(左)、筑波大学 システム情報系 教授 鈴木健嗣さん(右) 筑波大学附属病院 副院長 西山博之さん(左)、筑波大学 システム情報系 教授 鈴木健嗣さん(右)

西山博之さん「患者さんにとって、自宅から病院の診察室にたどり着くまでにさまざまな困難があります。でも、患者さんが本当に心配なのはご自身の病気のことであり、そのほかの不安や悩み事はできるだけ少ないほうがいい。MaaSを医療に活用するメリットは、まさにそこです。今後もこうした実証実験を重ねながら、病院のあるべき姿を模索していきたいと思います」

鈴木健嗣さん「これまでも自宅から病院までの移動や、病院内の自動車いすによる移動など、単独での実証実験は行ってきましたが、それらを組み合わせて一連の流れで実施するのは今回が初めてです。こうした取り組みは、行政だけでも大学だけでもできません。KDDIさんをはじめとする企業の力をお借りしながら、産官学が連携して進めていく必要があります。今回の実証実験を通して見えてきた課題を洗い出したうえで、誰もが安心・安全・快適に移動できるまちの実現に向けて、引き続き取り組みを進めていきたいと思います」

つくば医療MaaSの顔認証 タクシー車内での顔認証による病院の事前受付システム
あああああああああああああ 病院の入り口から診察室まで患者を搬送する自動運転パーソナルモビリティ

KDDIでは今回の取り組みで集めたデータや、これまでに蓄積してきたビッグデータ、バス等の運行情報を活用することで、どれくらいの人がどのように移動しているのかといった交通実態を把握し、オンデマンドタクシーを含む将来の交通施策策定を支援することを目指している。

このようにMaaSは旅行や観光における利便性向上だけでなく、医療や介護など誰もが安心・安全・快適に過ごせる街づくりの観点でも活用できる兆しが見えてきた。

KDDIはこれからも、地域の課題解決や住みやすいまちづくりのために通信やテクノロジーを活用し、さまざまなパートナーとともに安心で安全な暮らしをつないでいく。

※この記事は2022年3月23日の記事を再編集したものです。