2022/06/15

iPadの選び方は?iPad Pro / Air / miniの比較や便利機能、目的別おすすめモデルを紹介

iPhoneよりも大画面で、動画や電子書籍が見やすく、手書きメモやイラスト作成などさまざまな用途で使われるiPad。同じiPadシリーズでも「iPad Pro」や「iPad Air」など、機能や価格によって複数のモデルがあるため、どれを選べばいいのかわからないという人もいるのではないだろうか。

iPad Pro、iPad Air、iPad、iPad mini

そこで本記事では、現行iPadの特長や各モデルの違いを解説しながら、用途に応じたiPadシリーズの選び方を紹介していく。

【目次】

iPad各モデルの違い

2022年3月にM1チップを搭載した最新モデル「iPad Air(第5世代)」が発売されたことで、2022年6月現在、Apple Storeで販売されているiPadシリーズは下記の4モデル(5種類)となる。

・iPad Pro(11インチ / 12.9インチ)
・iPad Air
・iPad
・iPad mini

まずは各モデルのスペックを確認してみよう。

iPadシリーズの比較表

大きな違いとしては、本体と画面の大きさ、ディスプレイのキレイさが挙げられる。このほか、Apple純正のスタイラスペン「Apple Pencil」の追随性やキーボード対応の有無、生体認証方式の違いなどがある。

ポイントごとに各モデルの特長を紹介

ディスプレイの性能やカメラのスペックなど、選ぶ際に気になるさまざまなポイントごとに各モデルの特長を紹介する。

●本体と画面の大きさ

iPadシリーズの本体と画面の大きさ比較

現在のiPadシリーズは、12.9インチのiPad Pro、11インチのiPad Pro、10.9インチのiPad Air、10.2インチのiPad、8.3インチのiPad miniと豊富なラインアップが揃っている。

基本的には画面サイズと本体サイズは比例しているのだが、10.2インチのiPadのみ、画面下部に「Touch ID」を搭載している関係で縦方向がiPad AirやiPad Pro(11インチ)よりも大きくなっている。

●画面性能

iPadシリーズのディスプレイ比較

現在のiPadシリーズのディスプレイは、サイズの違いはあるものの、iPad以外どれも「Liquid Retinaディスプレイ」となっており、周囲の環境にあわせて色温度を調整する「True Tone」にも対応している。

なかでも12.9インチのiPad Proは、「Liquid Retina XDRディスプレイ」という従来のディスプレイよりもハイダイナミックレンジに対応して、より鮮やかな映像を表示できるディスプレイを搭載している。写真編集など、特に色味を重視する場合には最適なディスプレイと言えるだろう。

また、iPad Proはリフレッシュレートが120Hzで、対応するゲームや動画を滑らかに表示できるだけでなく、イラストなど細かな描写を必要とする際のペン先の追従性もスムーズだ。

iPadのみ「Retinaディスプレイ」で反射防止コーティングがなく、色域がやや狭くなっている。さらにほかのモデルとの大きな違いとしては、フルラミネーションディスプレイに対応していない点だ。フルラミネーションディスプレイとは、ガラス面の厚みが薄くディスプレイ表面と実際に表示されている面との距離が小さいディスプレイのことで、現行iPadシリーズでは10.2インチのiPad以外は対応している。

ガラス面が厚いと、Apple Pencilなどを利用した際、ペン先と描画されている箇所が離れて見えることある。これに対して、フルラミネーションディスプレイはガラスの厚みが薄いため、ペン先と描画箇所が近くなり、より自然な操作が可能となる。イラストを作成するような人にとっては、重要な要素だ。

フルラミネーションディスプレイ

●認証方式(Touch ID / Face ID)

iPadシリーズの認証方式比較

4モデルのなかでは、iPad Proだけが顔認証の「Face ID」対応で、残りのiPad Air、iPad、iPad miniが指紋認証の「Touch ID」対応だ。

指紋認証の方法は、iPadのみディスプレイ下部のホームボタンで、iPad AirとiPad miniは、本体側面にある電源ボタンと兼用になっている。

なお、iPad ProはFace IDに対応しているとはいえ、現時点(2022年5月)ではiPhoneで追加された「マスク着用時Face ID」には非対応だ。

●カメラ

iPadシリーズのカメラ比較

背面カメラは、iPad Proのみ12MP広角カメラと10MP超広角カメラの2眼レンズ構成。また、光が反射して戻るまでの時間を計測して深度マップを作成できる「LiDARスキャナ」を搭載するのもiPad Proだけだ。

iPad AirとiPad miniは12MPの広角カメラ、iPadは8MPの広角カメラを搭載している。

●Apple Pencil

iPadシリーズのApple Pencil比較

Apple純正のスタイラスペン「Apple Pencil」には全モデルが対応しているが、iPadのみ「Apple Pencil(第1世代)」対応で、ほかのモデルは「Apple Pencil(第2世代)」対応となる。

Apple Pencil(第1世代)は充電端子が「Lightning(ライトニング)」になっており、充電時に本体のポートに差し込む必要がある。Apple Pencil(第2世代)はワイヤレス充電になっており、iPadの本体側面にマグネットで装着することで充電が可能だ。

iPadに装着されたApple Pencil

なお、Apple Pencil(第2世代)はペンをダブルタップすると使用中のツールと消しゴムツールを切り替えられるといった「ジェスチャー機能」も備えている。

●キーボード

iPadシリーズのキーボード比較

現在(2022年5月)、iPadシリーズ向けのApple純正のキーボードとしては下記の3種類がある。

・Magic Keyboard(iPad用)
・Smart Keyboard Folio
・Smart Keyboard

なお、キーボードはいずれも別売りだ。

「Magic Keyboard(iPad用)」は、トラックパッドを備えており、iPadでカーソル操作を行えるほか、トラックパッド上でのジェスチャー操作も行えるというもの。

Magic Keyboard(iPad用) Magic Keyboard

「Smart Keyboard Folio」と「Smart Keyboard」は、使用しない場合にはディスプレイをカバーでき、Smart Keyboard Folioは背面もカバーするのに対し、Smart Keyboardはディスプレイ面だけという点が違いとなる。

Smart Keyboard FolioとSmart Keyboard 左/Smart Keyboard Folio 右/Smart Keyboard

この3種類は、iPad本体側にある専用のコネクタと接続するので、キーボード側の充電を気にする必要もない。

iPad ProとiPad Airは、Magic Keyboard(iPad用)とSmart Keyboard Folioに対応。iPadはSmart Keyboardに対応している。iPad miniのみ専用のキーボードはなく、Bluetoothキーボードを使用することになる。

なお、全モデルともApple純正のMagic Keyboard(Mac用)をBluetooth接続で利用可能だ。そのほか、市販のBluetoothキーボードも利用可能だが、基本的にUS配列として認識される。JIS配列キーボードを接続した場合は、一部のiOS/iPad OSに対応しているキーボード以外は刻印どおりに打てないので注意が必要だ。

●コネクタ

iPadシリーズのコネクタ比較

iPadシリーズのコネクタは、iPadのみiPhoneと同じLightningコネクタで、ほかのモデルは「USB-C」コネクタとなっている。なお、iPad Proのみ高速通信が可能な「Thunderbolt(サンダーボルト)」対応だ。

●価格

iPadシリーズはモデルのスペックにあわせて価格の幅も広くなっている。

・12.9インチiPad Pro:129,800円〜
・11インチiPad Pro:94,800円〜
・iPad Air:74,800円〜
・iPad:39,800円〜
・iPad mini:59,800円〜
※Apple Storeの価格(2022年6月8日現在のもの)

そのため、具体的にiPadを使用する目的がある人は、それぞれの目的にあわせて選ぶといいだろう。とりあえずiPadを使いたいという人は価格で検討するのもひとつの手だ。

目的別おすすめのiPad

ここからは使用環境や目的にあわせた、おすすめのiPadを紹介する。人それぞれ、使用環境や用途は異なるが、スペックや特長をもとに参考にしてほしい。

●iPad Proがおすすめの人

iPad Pro(12.9、11インチ)

現行iPadシリーズでは最大サイズとなる12.9インチが用意されているiPad Proは、写真編集やイラスト作成などを行うクリエイター向けのプロモデルだ。リフレッシュレート120Hzの「ProMotionテクノロジー」に対応しており、Apple Pencilを利用した場合にも、より滑らかな描画が可能となっている。

また12.9インチ、11インチともに写真や動画編集などにうってつけだが、Liquid Retina XDRディスプレイを搭載する12.9インチモデルなら、より鮮やかな色を再現することができる。

前述のとおり、iPad ProのみThunderboltに対応しており、写真や動画などの大容量ファイルもスムーズに転送可能だ。

さらに、iPad Proのみ4スピーカー搭載で音響面でも優れているため、映画鑑賞などにも向いている。そのほか、LiDARスキャナや超広角カメラが必要な人もiPad Proが選択肢となるだろう。

●iPad Airがおすすめの人

iPad Air

iPad Airは、120GHzのリフレッシュレートや超広角カメラなどiPad Proまでの性能は必要ないが、ある程度の高い性能がほしい人におすすめできるモデルだ。クリエイターではない大部分の人に向いているモデルと言ってもいいだろう。

動画視聴はもちろん、ちょっとしたメモや絵を描いたりする人におすすめできる。また、iPad Proは顔認証だが、iPad Airは指紋認証なので、マスクによる顔認証に不便を感じる人はこちらが選択肢となるだろう。

●iPadがおすすめの人

iPad

4モデルのなかではもっとも廉価となるiPadは、コスパとシンプルさを求める人におすすめだ。学校でのノート代わりや、スマホよりも大画面でネットや文章作成をしたい人など、iPad ProやiPad Airまでの機能・性能は必要なく、とりあえずiPadを使ってみたいという人なら真っ先に選択肢に入るモデルだ。

●iPad miniがおすすめの人

iPad mini

コンパクトサイズで、持ち運ぶのに苦にならないところが特長と言えるiPad miniは、常に持ち運んで使いたい人にピッタリだ。重さも300g以下と軽く、手の大きな人なら片手で持つこともできるこのサイズ感を評価する人も多い。読書端末や、車載してカーナビ替わりにするにも良いサイズだ。Apple Pencilも利用できるので、ちょっとしたメモ代わりにも活用できる。

ただし、4モデルのなかで唯一、専用のキーボードが用意されていない。Apple純正のSmart Keyboardなどが利用できないので、別途Bluetoothキーボードを選ぶ必要がある。

機種ごとの特長からお気に入りを見つけよう

iPhoneとは違った使い方ができる、大画面のiPad。用途は人によって異なるため一概には言えないが、機種ごとの特長やさまざまな機能、ポイントを軸に選ぶのがおすすめだ。ぜひ、本記事を参考に自分にあったモデルを選んでほしい。

文:山本竜也