2022/03/22

iPhone SEの第3世代と第2世代、8、13 miniを比較 サイズやスペックなど特長を解説

2022年3月18日、新しい「iPhone SE」が発売された。iPhone SEとしては第3世代となるが、名称はこれまで通り、iPhone SEのままだ。

iPhone SE(第3世代)

形状的には従来のiPhone 8 / iPhone SE(第2世代)と変わらず、ホームボタンに指紋による生体認証機能「Touch ID」を搭載している。しかし、見た目は変わらないものの、中身はiPhone 13シリーズと同じ高性能なCPU「A15 Bionic」を搭載し、5Gネットワークに対応するなど着実な進化を遂げている。

本記事ではiPhone SE(第3世代)を紹介しながら、小型iPhoneでどれにするか迷っている人の参考になるよう、iPhone SE(第2世代)、iPhone 8、そして小型ハイエンド端末のiPhone 13 miniとの比較を行う。

【目次】

本体スペック比較

まずは、それぞれのスペックや仕様を確認してみよう。

スペック比較表

iPhone SE(第3世代)は、外観上は前世代モデルのiPhone SE(第2世代)とほぼ同じだ。ディスプレイサイズも約4.7インチで解像度も1,334×750ピクセルと差分はない。

見た目は同じだが、前面および背面にはiPhone 13シリーズの背面ガラスと同じ『スマートフォンの中で最も頑丈なガラス』を採用。CPUもiPhone 13シリーズと同じA15 Bionicになった。背面カメラは約1,200万画素の広角のみでiPhone SE(第2世代)と変わらないが、A15 Bionicの搭載により画像処理プロセッサが強化されており、iPhone 13と同じ「スマートHDR 4」や「Deep Fusion」などのiPhone 13シリーズと同じ機能が利用可能となっている。言うなれば、iPhone 13シリーズの中身をiPhone SE(第2世代) / iPhone 8に丸ごと搭載したようなイメージだ。

画面サイズ・ディスプレイ比較。サイズや性能は前世代モデルとほぼ変わらず

画面サイズ・ディスプレイ比較

iPhone SE(第3世代)のディスプレイは、iPhone SE(第2世代) / iPhone 8と同じく約4.7インチのRetina HDディスプレイを搭載。解像度も同じ1,334×750ピクセルだ。iPhone 13 miniは約5.4インチ(2,340×1,080ピクセル)のSuper Retina XDRディスプレイなので、比較するとiPhone SE(第3世代)はひと回り小さいことになる。

なお、iPhone 13 miniはディスプレイ保護に強靱なCeramic Shield(セラミックシールド)を採用しているが、iPhone SE(第3世代)は非対応だ。代わりにiPhone 13シリーズの背面ガラスに使われている『スマートフォンの中で最も頑丈なガラス』を採用している。

本体サイズ・重さ比較。前世代モデルからわずかに軽量化

本体サイズ・重さ比較

iPhone SE(第3世代)は、ディスプレイだけではなく、本体サイズそのものもiPhone SE(第2世代) / iPhone 8と同じ約138.4×約67.3×約7.3mmとなっている。ただし、重さは約144gで、iPhone SE(第2世代)の約148gから4gほど軽くなった。

iPhone SE(第3世代 / 第2世代)やiPhone 8に対して、iPhone 13 miniは画面サイズがひと回り大きいが、画面下部にホームボタンを搭載していないため、本体サイズはひと回り小さく、本体重量も軽い。

カラーバリエーションはミッドナイト、スターライト、(PRODUCT) REDの3色

カラーバリエーション

iPhone SE(第3世代)のカラーバリエーションは、ミッドナイト、スターライト、(PRODUCT) REDの3色展開。iPhone SE(第2世代)では(PRODUCT) REDは同じだが、他の2色はホワイト、ブラックという名称で異なっている。写真で見る限りでは、ミッドナイトはやや青が強いブラック、スターライトはクリーム色がかったホワイトという印象だ。

なお、(PRODUCT) REDに関しても、赤がやや深く濃くなったように見える。このあたりはぜひ実物で確認してほしい。

iPhone SE(第3世代)は3D Touch・Face ID非対応

3D Touch・触覚タッチ対応表

iPhone SE(第3世代)では、iPhone 6sからiPhone 8で対応していた3D Touchに非対応となっている。代わりに、iPhone SE(第2世代)と同様、iPhone XR以降で採用された触覚タッチ(Haptic Touch)に対応する。iPhone 13 miniも3D Touchではなく触覚タッチ搭載だ。

3D Touchは画面を強く押し込むことで圧力を検知し、ショートカットなどの操作ができる機能だ。対して、触覚タッチは圧力を検知せず、長押しした際に軽く振動することで、押し込んだかのような感覚を得られる機能。そのため、これまでiPhone 8などで3D Touchを多用していた人は、iPhone SE(第3世代)に機種変更すると少し操作時に違和感を覚えるかもしれない。

Touch ID・Face ID対応表

また、iPhone SE(第3世代)は、ホームボタン兼用の指紋センサーTouch IDを搭載する代わりに、顔認証のFace IDには非対応だ。マスク姿でもロックを解除できるのがTouch IDの利点だが、iPhone 13 miniではiOS 15.4からマスクをしたままでのFace ID認証に対応した。とはいえ、Touch IDには机上に置いている場合など、画面をのぞき込まなくてもロックを解除できる利点もある。

ホームボタンを搭載するiPhone SE(第3世代)

CPU性能が向上し、カメラ機能もアップしたiPhone SE(第3世代)

CPU比較

iPhone SE(第3世代)は、CPUにiPhone 13シリーズと同じ最新チップ「A15 Bionic」を採用。Appleによると、その処理性能はiPhone 8と比べ、最大1.8倍高速になったとのことだ。iPhone SE(第2世代)に搭載されていた「A13 Bionic」はiPhone 8の最大1.4倍だったので、単純計算ではiPhone SE(第2世代)より約1.3倍高速ということになる。グラフィックを司るGPUもiPhone 8、iPhone SE(第2世代)と比べ、それぞれ最大2.2倍、1.2倍と高速になっている。

カメラ比較

iPhone SE (第3世代)のA15 Bionic搭載により、大きく恩恵を受けているのがカメラ機能だ。仕様上は約1,200万画素の広角カメラのみでiPhone SE(第2世代)やiPhone 8と変わらないように見える。しかし、カメラ機能で多用されるニューラルエンジンがiPhone SE(第2世代)の8コアから16コアに倍増。iPhone 13シリーズと同じ「スマートHDR 4」や機械学習を用いて写真をピクセル単位で最適化する「Deep Fusion」、マルチフレーム画像処理ですべての画像に自分好みの調整を加えられる「フォトグラフスタイル」など、iPhone 13シリーズに搭載されているものと同じ機能を利用できる。

iPhone SE(第3世代)のDeep Fusion

ただ、超広角や光学2倍ズームは備えておらず、機能としても「ナイトモード」や動画撮影時の「シネマティックモード」には対応していない。メインカメラのレンズも単眼なので、小型iPhoneでカメラ機能を求める人は、iPhone 13 miniのほうが良いだろう。

前世代モデルと同じく防水性能を備える

iPhone SE(第3世代)の防水・防塵性能は、iPhone SE(第2世代) / iPhone 8と変わらずIP67相当となっている。iPhone 13 miniのIP68相当には劣るが、「最大水深1メートルで最大30分間の耐水性能」があり、直接水に浸したりしない限り問題ないだろう。なお、iPhone 13 miniは「水深6メートルで最大30分間の耐水性能」だ。

iPhone SEとして5Gに初対応

iPhone SE(第3世代)は、SEシリーズとして初めて5Gに対応した。Sub-6のみで、ミリ波には対応していないのはiPhone 13シリーズと同じだが、iPhone 13が4x4 MIMOに対応している一方、iPhone SE(第3世代)は2x2 MIMOとなっている。

MIMO(マイモ)とはMultiple-Input Multiple-Output、つまり多重入力/多重出力のことで、4x4 MIMOなら受信に4本、送信に4本のアンテナを利用する。利用するアンテナの数が多いほど通信が安定し、データの送受信が早くなる。つまり、同じ5GでもiPhone 13 miniのほうがiPhone SE(第3世代)より通信速度が出る可能性がある。

なお、iPhone SE(第3世代)のSIMスロットはiPhone SE(第2世代)と同じで、物理的なスロットひとつだけだが、eSIMにも対応しており、nanoSIMとeSIMのデュアルSIMとなっている。ただし、iPhone 13 miniとは違い、デュアルeSIMには非対応だ。

コンパクトで高性能なiPhone SE(第3世代)

これまでiPhone SEは、廉価版というイメージもあったが、iPhone SE(第3世代)は、スペックとしてはiPhone 13シリーズとほぼ変わらなくなっている。もちろん、超広角や光学ズームがないなど見劣りする部分はあるが、お買い得感は増したと言っていいだろう。

Face IDよりTouch IDのほうが慣れている、画面のスワイプ操作よりホームボタンを使いたいという人にとっては、iPhone SE(第3世代)は待望のスマホだろう。より小さく軽いiPhoneが欲しい、小型でもカメラ性能は高いほうがいいという場合は、iPhone 13 miniのほうが向いている。iPhone SE(第3世代)の登場でさらに選択肢が広がったこともあり、自分のライフスタイルや使い方を考慮したうえで、ぜひ自分にあったiPhoneを選んでほしい。

文:TIME&SPACE編集部