2021/09/27

eSIM、デュアルSIM、SIMフリーなどSIMカードに関する用語の基礎知識を解説

スマホの機種変更のときに耳にする「SIMカード」。スマホで通信する際に必要なカードと認識している人も多いだろう。SIMカードとは、「Subscriber Identity Module」を略したもので、通話や通信をするために必要なICチップを埋め込んだ小さなカードのことだ。

iPhoneにSIMカードを差し込む人

SIMカードには通信会社との契約情報が書き込まれており、スマホやタブレットなどの通信機器に挿し込むことで、通話やインターネット通信やSMSなどが利用できるようになる。

最近では、このSIMカードに関連して、物理的なカードを必要としない「eSIM」に対応したスマホや、2つのSIMに対応した「デュアルSIM」対応スマホなども増えてきた。そこでSIMとは何か、そして何ができるのかなど、特徴とともにそれぞれの用語を解説する。


【目次】

SIMカードの役割

SIMカードの役割は、契約した通信会社から割り当てられた電話番号、識別番号、メールアドレスなどの情報を記録することだ。初期のケータイでは契約者情報を通信機器本体に記録していたが、契約者情報をSIMカードに記録することで、カードの差し替えで簡単にスマホの機種変更ができるようになった。

このSIMカードに記録できるのは電話番号や識別番号など通信契約に関する情報だけで、写真や動画、アプリなどのデータは記録されない。そのため、SIMカードを抜いた状態のスマホでは、通話やSMS、キャリアのメールアドレスなどは利用できないが、本体に保存してある写真や動画の再生など、電話回線を利用しない機能はそのまま利用できる。またWi-Fiにつなぐことで、ウェブサイトを見たりメールやアプリを利用したりすることもできる。

スマホとSIMカードそれぞれに保存するデータ内容

SIMフリー/SIMロックとは

このように便利なSIMカードだが、どのスマホに入れても使えるわけではない。日本では、通信会社ごとに利用する周波数帯が違うため、その通信会社ごとに利用できるSIMカードが設定されており、またスマホが盗難された際、別の人が自分のSIMカードを差し込んでも利用できないように、防犯の面からもスマホに一回SIMカードを認識させるとそのSIMしか使えないようになっている。

この認識したSIMカードしか利用できない状態のことを「SIMロック」といい、SIMロックがかかっていない状態を「SIMフリー」という。一度SIMロックのかかったスマホを再びどのSIMカードでも差し込めるようにロックを解除したい場合は、通信会社で「SIMロック解除」の申し込みが必要だ。

スマホとSIMカード

海外では通信会社周波数帯や規格の違いが少ないことから、SIMロックのないSIMフリースマホが一般的に利用されているが、最近は日本でも格安な料金プランを打ち出すMVNO事業社が増えてきたこともあり、自由にSIMを入れ替えたいという人が増えてきた。今ではApple StoreやApple Storeオンラインで購入したiPhoneなど、SIMフリーのスマホも普及している。

また、SIMフリー以外にも、一台のスマホで海外と国内どちらの通信もしたいというニーズも出てきたことで、デュアルSIMと呼ばれるスマホが登場し始めた。

デュアルSIMとは

「デュアルSIM」とは、たとえば1台のスマホで会社用とプライベート用の電話番号が2つ持てるよう、1つのスマホに2つのSIMカードを差し込んで利用できる機能のこと。海外でスマホを使用する場合、国際ローミングで通信すると高額になってしまうため、海外用のモバイルWi-Fiをレンタルしたり、現地の通信会社で新たにスマホを契約したりする人が多かったが、デュアルSIMの登場により、普段利用しているSIMカードのほかにもう1枚、海外用のSIMカードを挿すことでスマホ1台のまま利用することができるようになった。

スマホとSIMカード

ただし、どんな通信会社のSIMカードでもスロットに入れて利用できるわけではなく、対応できる通信会社は決まっている。もし自分が必要な場合は、SIMカードの契約前に確認しておこう。

また、2枚めのSIMカードの挿入場所がmicroSDカードスロットと共用になっており、どちらかしか挿入できない機種もある。そんななか、SIMカード内蔵型のスマホも登場した。

eSIMの普及

SIMカードも標準の大きさから、microSIM、nanoSIMと小型化が進み、組み込み式(Embedded)のSIM、略して「eSIM」対応のスマホが出てきた。

スマホのSIMカードの大きさ種類

eSIMは、スマホ本体に記録しているわけではなく、あくまでもSIMカードが通信機器本体に組み込まれている状態だ。そのため物理的な差し替えなく、通信会社で料金プランを申し込むだけで、すぐにスマホやタブレットに通信が開通し、利用できるようになる。eSIMでもSIMロック解除しなければSIM情報の書き換えはできないが、自宅にいながらオンラインで手続きが完結するのは非常に便利だ。

2021年8月26日からauではeSIMでの契約が可能になり、auオンラインショップを利用して、オンラインでスマホの購入から通信の開通まで完結できるようになった。もちろんその対象はeSIM対応スマホに限られるが、iPhoneをはじめとしてeSIM対応スマホも増えてきているため、今後ますます手続きが便利になっていくだろう。

スマホのeSIM

SIMカード取り扱いに関する注意点

最後に、SIMカードに関する注意点をいくつか紹介しよう。

①契約前に、その通信会社のSIMカードがスマホに対応しているかどうかを確認
たとえばauでは、他社のSIMカードを au携帯電話に挿入して利用する場合、SMSの送受信、緊急地震速報の受信、緊急通報(110番、118番、119番)などの動作保証をしていない。また、格安SIMなどの場合は、機器がSIMカードに対応していない場合もある。別会社のSIMカードを利用する場合は、事前に利用できるかどうか、また利用できる場合でも、影響があるのかどうかを確認しておこう。

②SIMカードの取り扱いは慎重に
SIMフリースマホが出る前は、自分でSIMカードを触る機会がほとんどなかったが、今では自分でSIMカードを差し替える機会も出てきた。特にnanoSIMは1cmほどの大きさと指で持つにも小さく、またスマホとの接触部分にあたる金属端子面は、精密機器と同じく、ホコリや汚れ、静電気に弱い。今後はeSIMが普及していくと思われるが、まだまだ物理的なSIMカード対応機種も多い。自分でSIMカードを差し替える場合は、手順書などを参考にしつつ、細心の注意を払って取り扱おう。

ちなみに紛失した場合は、契約した通信会社で再発行手続きの必要がある。誰かに悪用されないよう、すみやかに契約した通信会社に連絡し、手続きすると良い。

eSIMでの契約対象の拡大により、自宅にいながらオンラインでスマホの手続きが完結できるケースが増えてきた。SIMについて理解を深め、新しいスマホの購入時に役立ててほしい。




文:TIME&SPACE編集部