2018/08/08
夏休み自由研究に! スマホを使った天体観測とホログラムを試してみた
夏本番! 楽しいイベントが盛りだくさんの季節だが、この時期多くの子どもたちとパパママの頭を悩ませるのが「夏休みの自由研究」だ。
そこでTIME & SPACEでは、 大人も子どもも楽しみながら取り組める、夏休みの工作・自由研究にピッタリのスマホガジェットを紹介する。
スマホを使った手作り「3Dホログラムプロジェクター」
まず紹介するのは、スマホを使って立体映像(3Dホログラム)を体験する方法だ。
ホログラムとはSF映画などでよく登場する、立体的な映像を浮かび上がらせる技術だ。スマホを使って、この3Dホログラムを簡単に再現する方法を紹介していこう。
■制作するのは、ホログラムのスクリーンとなる逆ピラミッド型パーツ
プラスチックの板は、透明で、今回作成するプロジェクター(4枚分)の大きさが確保できればなんでもOK。また、方眼紙は型紙として使うので、厚みがある工作用紙のようなものがベストだ。制作にかかる時間は約15分といったところ。
では早速作っていこう。制作するのは、ホログラム映像を投影するための逆ピラミッド型のパーツだ。
まずは、底辺6cm×上辺1cm×高さ3.5cmの台形の型紙を作成する。定規を使って鉛筆で台形を書いたら、あとはそれをなぞって切るだけなので簡単。
できた型紙を使ってプラスチックの板で台形を4枚つくる。型紙をペンでなぞって印を付けたら、その大きさにカッターでカットしていくだけ。
カットした4枚の板をセロハンテープで貼り付けてつなげれば投影パーツの完成だ。
あとは、YouTubeなどにアップされている3Dホログラム用のサンプル映像をスマホで全画面表示させ、その中央部分にこの投影パーツを置いてみよう。
そうすると、このように3Dホログラムが浮かび上がるという仕組みだ。
ちなみに投影パーツを少し大きめに作成して画面の大きいiPadで再生すると、そのぶん、ホログラム映像を大きく投影することができる。
目で見ると逆ピラミッドの中心部に本当に映像が浮かび上がっているように見える。これは鏡にモノが映る原理を応用したもので、自動車のフロントガラスに速度が表示されるヘッドアップディスプレイをイメージしてもらえればいいだろう。親子でその仕組みについて話し合いながら制作するのも楽しい。
ダンボールで組み立てるスマホ天体望遠鏡&顕微鏡。スマホだから撮影まで簡単!
次に紹介するのが、スマホやタブレットを取り付けて、スマホで直接月や星の観測から撮影までできる「スマホ天体望遠鏡PalPANDA UD」。
本体はダンボール製で、通常の天体望遠鏡の接眼レンズ部分にスマホやタブレットを設置することができる。光学倍率は約35倍だが、デジタルズームと併用することで、約140倍まで拡大することができるという本格仕様。
どれくらい本格仕様かというと……
こんな写真がスマホで撮れるくらい本格仕様だ。
TIME & SPACEで紹介してから2年、この「PalPANDA」が実はすごい進化を遂げていた。接眼鏡を直接スマホに設置することで、そのまま光学約25倍の「スマホ顕微鏡」になるというのだ。
では、この新しい機能「スマホ顕微鏡」はどれほどの実力なのか? 夏休みに突入したばかりの息子と一緒に体験してみることにした。
■本体の組み立てにかかる時間は約2~3時間!
同封されている「作り方」を見ながらキットを折り曲げたり差し込んだりして本体を組み立ててみる。作業は超簡単! ……というわけではないものの、ホームページに組み立て方の動画も掲載されているので、ひとつずつゆっくり組み立ていけば難しくはない。ネジやビスなどの工具が一切必要なく、折り曲げたり差し込んだりするだけで作成できるので子どもの作業には安全だ。
この間、作り方に関する子どもからの質問があったり、ときにアドバイスを与え、ときに一緒に悩むなど、共同作業をすることによって普段とはちょっと違うタイプの会話を交わすことになる。個人的にはそれだけでも価値があるように感じた。
そして完成! 筆者の小学2年生の息子で2時間半ほどの制作時間だ。
パーツは多いが、ダンボールなのでとても軽く、意外と丈夫だ。一から組み立てていくので、高学年なら理科の授業で習った「どのレンズがどういう役割を果たしているのか」をよく理解できるし、低学年でも自由工作として自分で組み立てる達成感はかなり得られるだろう。
組み立てが終わったら「スマホ天体望遠鏡PalPANDA UD」をさまざまな使い方で楽しんでみよう。
■望遠鏡で天体観測
まずは天体観測にチャレンジ。「スマホ天体望遠鏡PalPANDA UD」を固定するために、カメラ用の三脚をひとつ用意しておくとよい。本体が軽いので、小型のもので十分だ。
スマホ・タブレットがモニターになるように設置して月を観測する。普段、スマホやタブレットで撮影する場合と同じように、画面をタップしてピントや明るさを調整すれば、月の模様までくっきりと映し出すことができる。
毎晩撮影すれば、月の満ち欠けの様子もバッチリわかるので、自由研究の素材になりそうだ。
また、2018年は火星が15ぶりに大接近しており、9月初旬まで大きく明るく見えることが話題になっているため、このチャンスにスマホやタブレットで違う惑星を撮影してみるのも記念になりそうだ。
■身近なもので色々試したくなる! 顕微鏡観察
「スマホ天体望遠鏡PalPANDA UD」の接眼鏡(接眼レンズ部分)を取り外し、直接スマホカメラに設置すれば「スマホ25顕微鏡」となる。
早速、身近にある色々なものを観察してみよう。
【折り紙】
印刷された柄が細かい点々で構成されていることがわかる。
【葉っぱ】
何本にも分かれる葉脈と、水分を含んでいそうな表面に感動。
【塩】
プレパラートの代わりにプラバンに乗せて塩を観察。四角い結晶がはっきり!(※付属の円型スライドガラス以外を使うときは厚さ1mm程度のものを使用しよう)
【カブトムシ】
ツルツルに見えるカブトムシの角は、実はザラザラボコボコしている!
さまざまなものを光学約25倍の顕微鏡で撮影してみると、普段とはまったく違ったものに見えてくるのが不思議で面白い。
■付属のフィルタも充実!
さらに、サングラスなどにも使われる「偏光フィルタ」を使った「スマホ25偏光顕微鏡」にも挑戦。
この「スマホ25偏光顕微鏡」は偏光フィルタによって反射光の光量をコントロールすることで、対象物の明暗や色の変化を楽しむことができるもの。光の仕組みを理解するのは難しいが、光の反射光を変化させると、色々なものの見え方が変わってくるという実験をすることができる。
今回は、付属の円型スライドガラスにセロハンテープを重ね貼りして、偏光フィルタを使った光の実験を行ってみたが、透明のセロハンテープを重ねただけのスライドガラスが、偏光フィルタによって見事にカラフルに変化。
セロファンテープは縦と横で光の屈折率が違うので、偏光フィルタを通すことで色が変わって見える、ということらしい。ほかにも、プラスチック板や結晶などでも同じような変化を楽しめるとのことなので、さまざまなもので試してみるのもアリだろう。
この「スマホ天体望遠鏡PalPANDA UD」は、そのほかにも日中に太陽を投影させて太陽黒点や日食を観察することや、遠くの景色や野鳥観望(※別売りの正立天頂プリズムケースがあると便利)といった楽しみ方もできるので、長い夏休みを利用して色々な観測や観察をやっていけば、かなり充実した自由工作、研究ができるはずだ。
商品名/スマホ天体望遠鏡PalPANDA UD
メーカー/光と色彩の能力テスト TOCOL
価格/9,250円(税別)
子どもと話しながらの制作がかけがえのない体験に
今回はスマホを使って行う夏休みの工作・自由研究を2つ紹介したが、スマホが手軽にプロジェクターや望遠鏡、顕微鏡に変身するのは意外性があり、大人でも楽しめる。なにより、子どもと一緒に「なにを作るのか」「どういう仕組みなのか」を話したり、身近なものの中から得られるさまざまな発見は、かけがえのない体験となるだろう。今回の記事を参考にしていただき、お子さんと一緒に夏休みの工作・自由研究を楽しんでほしい。
文・撮影:安東 渉(EditReal)