2016/11/29
【通信×防災⑦】「もしも」の前にダウンロード 防災アプリ選びの3つのポイントとは?
災害時、いざというときにはどう対応すればいいのか・・・・・・?
この連載では、今やもっとも身近な存在といえるスマホやケータイを使って災害時にできること、アクセサリーやアプリの活用術など、災害時に役立つ【通信×防災】の情報をお伝えする。
連載第7回は、災害時の情報収集や命を守る助けになる防災アプリを取り上げよう。
膨大な数がある防災アプリはなにを基準に選ぶべき?
スマホ最大の特徴は、使うアプリによってさまざまな用途に早変わりすることだ。カメラやラジオ、ゲーム機としても使えるし、動画や音楽、読書を楽しむこともできる。もちろん、防災に役立つアプリも多数存在する。
防災アドバイザーの高荷智也氏は、「防災アプリを選ぶときには、①命の助けになる、②素早く情報が得られる、③オフラインでも使える、といった3つの視点がある」と教えてくれた。
「もっともインストールの優先度が高いアプリが、1つ目の"命の助けになる"もの。具体的には、災害情報を得られるアプリ、回避行動を支援するアプリ、そして、家族の安否確認ができるアプリです」
①命の助けになるアプリ
■基本は「Yahoo!防災速報」
災害情報を得られるアプリでは、まずは「Yahoo!防災速報」がオススメだという。緊急地震速報に加えて、警報や避難勧告、雨雲レーダーなどを、現在地と設定3地域まとめてニュース速報してくれる。
■auユーザーなら「au災害対策」も
auユーザーなら「au災害対策」という手もある。こちらは「災害用伝言板」「緊急速報メール」「災害用音声お届けサービス」「災害情報」といった大規模災害発生時に迅速な避難や安否確認を支援するサービスを、ひとつのアプリにまとめたものだ。
■精度が高い地震予報&速報「ゆれくるコール」
また、地震を通知してくれる「ゆれくるコール」は、一般の緊急地震速報よりも精度が高い「高度利用者向け緊急地震速報(予報)」を利用しており、あらかじめ設定した地点の予想震度、予想到達時間をプッシュ通知で知らせてくれる。
■「ライト」と「ブザー」アプリはトップページに
「回避行動を支援するアプリは、ライトとブザーです。ライトは夜間の災害時、停電した場合に役立ちます。すぐに点灯できるようにトップページのわかりやすい場所に置くようにしましょう。ブザーアプリは、倒壊した建物に閉じ込められたときに、自分の居場所を伝えるために使います。本来は笛を持ちあることをオススメしますが、もし笛がなければアプリで代用できます。選ぶポイントは、シンプルな動作。起動後にワンタップするだけで音が出るようなタイプを選びましょう」
■家族の安否確認は「LINE」のグループ機能が便利
家族の安否確認ができるアプリは、直接命を守るものではない。しかし、家族の無事がわかれば、無理な帰宅をする必要がなくなるので、そのぶん、危険を減らすことができる。高荷氏も、連載第2回、第3回で紹介した、災害伝言板サービスや「LINE」などのSNSサービスの活用を提案している。
「電話やキャリアメールは、多くの人が一斉に利用するため、つながりにくい状態になるので、SNSなどのwebベースの連絡ツールは必須です。念のために、家族のアカウントは紙の手帳などにメモしておくと良いでしょう」
②素早く情報が得られるアプリ
「2つ目の"素早く情報が得られるアプリ"とは、紙や本よりも素早く情報を得られるような工夫がされているアプリ。特に、避難場所がまとめられたアプリは事前にダウンロードしておきたい。これは、命を助けることにもつながります」と高荷氏。
■ARでルート指示。「全国避難所ガイド」
避難場所の情報がまとめられたアプリでは、全国の自治体が定めた災害時の避難所や避難場所を約13万件収録し、現在地周辺の避難所を検索して、道順をルート案内する「全国避難所ガイド」が使いやすいという。
「『全国避難所ガイド』は、現在地から最も近い避難所や避難場所などを表示してくれるので、徒歩帰宅時に役立ちます。また、AR(拡張現実)を使って、最寄りの避難所や自宅の方位を示してくれる機能もあります」
■周辺の公共施設を保存できる「goo防災マップ」
そのほか、「goo防災マップ」もオススメアプリのひとつだという。こちらは総合防災アプリの「goo 防災アプリ」のなかでマップの機能に特化したもので、国土交通省が提供する避難所や公共施設、病院などのオープンデータ、ならびに、公衆電話データを地図上に表示。地図の中心から周辺約3kmを保存することができる。
「重要なのは、職場や自宅など、自分の行動範囲の避難マップで確認できること。そういった意味で、『goo防災マップ』の地図の中心から約3km周囲を保存できる機能は便利です。ほかにも、市区町村が地域のハザードマップや避難場所の情報をアプリとして配付しているケースもあるので、確認しておきましょう。もし、アプリとして配布していなくても、PDFにまとめたハザードマップを出しているケースが多いので、"自分が住んでいる自治体名+ハザードマップ"という組み合わせで、検索してみてください」
③オフラインでも使えるアプリ
実は、「goo防災マップ」の地図保存やハザードマップPDFの保存は、高荷氏が防災アプリを選ぶときの3つの視点で挙げた、"オフラインでも使える"に通じる。
高荷氏は「災害時にはネットがつながらなくなることも考えられます。事前に情報をダウンロードできるなど、オフラインで利用できる機能を設けているアプリは安心です」と語る。そのうえで、「加えて、紙の地図や災害に関する本を災害袋に入れておくと安心です」という。
そのほか、免許証や保険証といった重要書類、お薬手帳やアレルギー情報といった健康に関するもの、家族の写真などをスキャンして保存しておくこともオススメだという。
「家族の写真は、災害時に家まで取りに戻って被害に遭うケースも多い。重要な情報は、万が一に備えてデータ化しておきましょう」
もちろん、防災アプリがあれば災害から逃れられたり、命そのものを守ってくれたりするというものでもない。高荷氏も「あくまで補助的なもの」と強調する。ただし、上手に利用すれれば、災害時の被害をできるだけ少なくしてくれるはずだ。
上記以外にも防災アプリはリリースされているので、ぜひ実際にダウンロードし、いろいろ試してみてほしい。そのうえで自分の環境やスマホの利用状況、家族構成などを考え、常駐させるアプリを決めるのがいいだろう。
- 【通信×防災⑦】のまとめ
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- 1.防災アプリは「命の助けになる」「素早く情報が得られる」「オフラインでも使える」の3つの視点から選ぶ
- 2.インストールの優先度が高いものは「災害情報を得られるアプリ」「回避行動を支援するアプリ」「家族の安否確認ができるアプリ」
- 3.家族などの安否確認にはLINEなどのSNSアプリを活用する
- 4.自宅や職場付近の避難場所などをアプリで調べておこう
- 5.ネットがつながらない状態に備えて地図やなどを事前に保存しよう
- 今回ご紹介したアプリ
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「Yahoo!防災速報」
「au災害対策」
「ゆれくるコール」
「懐中電灯®」
「防犯アラーム」
「LINE」
「全国避難所ガイド」
「goo防災マップ」
文:T&S編集部
取材協力:高荷智也
高荷智也
備え・防災アドバイザーであり、ソナエルワークス代表。「自分と家族が死なないための防災対策」と「経営改善にもつながる緊急時に役立つBCP」のポイントを解説するフリーの専門家。わかりやすく実践的なアドバイスに定評があり、テレビ・新聞・メディアなどへの出演多数。
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