2016/09/01
【通信×防災③】災害時の安否確認に使えるLINE活用術
災害時、いざというときにはどう対応すればいいのだろう。知っているようで、知らない。備えておかなければと思いながらも、なかなかできていない――。
そんな人たちへ向けて、この連載では今や最も身近な存在と言えるスマホやケータイを使ってできることや、備えを紹介したい。SNSやアプリの活用術など、災害時に役立つ【通信×防災】の情報をお伝えしよう。
第3回は日本で最も利用者数が多いアプリ、LINEを災害時に有効に利用する方法についてお届けする。もしもLINEが使えない人は、災害用伝言ダイヤルなどを利用してほしい。
※【通信×防災①】災害発生時、まずスマホでやるべきこと
※【通信×防災②】誰でもカンタン! 災害用伝言ダイヤル(171)と災害用伝言板サービスを体験してみた
LINEの既読機能が生まれたきっかけは東日本大震災
4月に発生した熊本地震。地震直後から電話回線は混雑して、つながりにくい状況が発生したが、インターネット回線に大きな障害はなく、多くの人がSNSによる通信で安否確認を行った。
なかでも有効に活用されたのがLINEだ。その理由はふたつある。ひとつは、圧倒的に高い普及率。ニールセン社が実施したスマホアプリの利用状況調査の結果、LINEのユーザーは4,305万人。実に、スマホ利用者の約8割が使っているという計算になる。多くの人がLINEを活用したのは、当然といえば当然のことだ。
また、LINEは電話番号を知っている相手など、対面でやり取りをした相手を登録することが多いので、ほかのSNSに比べると、家族や親しい友人の登録が多い。そういった理由から、災害時には、特に親しい人の安否確認に使うと効果的だ。
ふたつ目は「既読」の存在。LINEは送った相手がメッセージを開いた瞬間、自動的に「既読」というマークがつく。このマークがつくことで、たとえ送った相手から返信がなくても、とりあえずメッセージを確認できる状態にあることがわかる。
LINEのサービス開始は2011年6月。東日本大震災の3カ月後だ。実はLINEの既読機能は東日本大震災を受けて、「大切な人と連絡が取れるサービスが必要」との思いから開発されたサービスなのだ。「既読」機能は、震災で返信がままならない状態でも、相手に無事をわかってもらい安心してもらうための機能として搭載された。
グループ機能を活用して離れた家族の安否確認
ここからは、災害時に使える機能を紹介していこう。
活用して欲しいのは、「グループ」機能だ。LINEは1対1でメッセージをやり取りする機能だけでなく、家族、サークル、同級生など、コミュニーティごとに友だちを登録して、メッセージを全員に対して一斉に送ることができる「グループ機能」が存在する。家族でグループをつくっておけば、震災時、家族全員の安否確認が簡単に行えるというわけだ。
グループでメッセージを送ると、既読マークの隣に数字が表示される。これは、グループ内のなかでメッセージを開いた人数だ。たとえば、4人家族で既読3になっていれば、全員が無事だとわかる。
このグループが本領を発揮するのは、単身赴任や子どもと親が離れて暮らしている場合。震災のときだけにメッセージをやり取りするグループをつくっておいてもいいだろう。高齢の親がいる場合は、LINEをインストールしてグループを設定したスマホをプレゼントするのもひとつの手だ。
また、ニュースや避難所の場所など有益な情報を被災者に送れば、被災者は自分で情報を探す手間が省けるので、スマホのムダな電力使用を減らすことにもつながる。
ちなみにFacebookでも「メッセンジャー」という、LINEと似たようなチャット機能がある。自分やまわりの人たちの利用状況に合わせて使い分けてほしい。
GPS機能を活用すれば自分の居場所を伝えることができる
震災時のLINEの有効活用法はメッセージだけではない。たとえば震災の混乱のなかで迎えに来てもらうために自分がいる場所を伝えたいときには、現在地を送ることができる。
使い方は簡単だ。トーク画面の「+」マークから 「位置情報」を選ぶと地図が表示される。GPS機能をONにしていれば、地図上に現在地が表示され、そのままトーク画面で送信が可能だ。
防災関連の公式アカウントを登録して情報収集
最後に、普段からフォローしておきたい、防災に役立つLINE公式アカウントを紹介したい。
まず、『首相官邸(LINE ID::@kantei)』の公式アカウントだ。普段は暮らしに役立つ政策情報や、首相官邸にまつわる身近な情報などが配信されているが、大災害などの緊急時には、災害関連情報も発信される。また、その日のニュースが届く『LINE NEWS(LINE ID: @linenews)』は、大規模な地震発生時には号外として情報が届く。
地方自治体などは「LINE@」のアカウントで公式アカウントを開設し、住民に向けた災害情報などをLINEで配信しているケースがある。自分が住む地方自治体がLINEの公式アカウントを持っているかを確認し、もし持っている場合は、登録しておいたほうがいいだろう。
これらの公式アカウントから、プッシュ通知で情報が送られてくれてくるので、自分から情報を取りに行かなくても見逃すことがない。上手く活用して、正しい情報を入手しよう。
万が一、災害が起こったときに混乱しないよう、普段から家族で話し合いを行い、今回ご紹介したようなLINEの活用術を実践して欲しい。
- 【通信×防災③】のまとめ
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- 1.LINEの既読機能は東日本大震災がきっかけで生まれた
- 2.安否確認にはグループ機能が便利
- 3.GPSを活用すれば居場所を伝えることができる
- 4.防災関連の公式アカウントをフォローしておこう
文:T&S編集部
取材協力:高橋暁子
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