2017/07/27
初公開モデルも! ユニークすぎる『au Design project』コンセプトモデルたち
「au Dedign project」(以下aDp)15年の歴史を振り返ると20モデル以上のデザインケータイが世に送り出され、発表のたびに驚かせてくれたものだ。しかしその裏には、製品として実現しなかったものも含め、30を超えるコンセプトモデルが存在する。いま振り返ってみると、そのデザインもコンセプトも、「ユニークすぎる!」モデルもある。
「すべてなんらかの形で製品化することを見据えて開発しています。コンセプトモデルが製品化できなかったことの背景には、技術的な制約で実現不可能だったものや、開発が途中で中止されたもの、時期が早すぎたものなど、さまざまな理由があるんです」
こう語るのは、KDDIプロダクト企画本部の砂原哲。今回aDpの数多いコンセプトモデルのうち、とりわけユニークで斬新なアイデアを盛り込んだ未発売モデルを紹介していこう。
「使いやすい」だけが、いいユーザーインターフェースではない
「sorato」は、2007年の「ケータイがケータイし忘れていたもの 展」で発表されたコンセプトモデルだ。「使っている時間」以上に「一緒に過ごしている時間」のほうが長いケータイと人が、共有する時間をデザインする・・・・・・というコンセプトが示された。
「当時、“歩きケータイ”が社会問題になっていました。もっと空を見上げてほしい、という思いも込めています。常に空が映し出され、天気や時間の変化もリアルタイムで反映される。メールは鳥が運んできてくれます。製品化はできませんでしたが、後年『INFOBAR A01』にsoratoのアプリを搭載しました」
同じタイミングで発表された「ヒトカ」(07年)は、ケータイが道具という存在を超えて親友のような存在に変わるためのコンセプトモデル。ケータイの中に人が住んでいる、というユニークなユーザーインターフェイス(UI)のアイデアが盛り込まれている。
「ケータイの擬人化がコンセプトです。画面に表示された人がいちいち体を動かしてボタンを押してくれたりするんです。ダンスカンパニー『コンドルズ』を主宰する近藤良平さん自身が“中の人”で、面白い動きをしてくれるんですよ」
「actface」(07年)は、チームラボの猪子寿之氏が手がけたもの。二つ折りのボディは重なるように2面ディスプレイが配された。「PLAY」「Rhythm」のふたつのUIがあり、「PLAY」はケータイを使っていくごとに、だんだん町が発展していくという仕掛け。「Rhythm」は、透明なボタンを押すとリズムに合わせて水墨画が描かれる。
「なにかを成し遂げるためにつくられるUIは、機能性や合理性を重視しています。左脳的で合理性の強い西洋的アプローチなんですね。そこで日本的なUIはなにかと考えたときに、たとえば茶の湯ではお茶を飲むことよりも、たてるプロセス自体を大切にする。actfaceは操作する“行為”自体を楽しむ日本的な感性のユーザーインターフェースの提案です。またタッチパネルの上にドーム状のボタンを置くことで、ボタンを見ないでメールを高速に打つという身体性を残しているんです」
楽器に変形! ソーラーパネルが展開! 奇想天外なケータイたち
ケータイの使い勝手や可能性を追求したもののみならず、“ほかのジャンル”との融合を狙ったものもある。08年の「ガッキ ト ケータイ 展」で発表されたモデルたちだ。背面が鍵盤になった「Key to touch」や、縦に割れてドラムスティックになる「Sticks in the air」、3つの楽器のインターフェースを搭載した「Trio in your hand」など、バラエティも豊か。
「iPhoneの全面タッチパネルに対し、楽器のインターフェースにヒントを得ながら身体性を大切にしたインターフェースのあり方を探ろうとしました。ヤマハデザイン研究所とコラボしてつくったこれらは演奏可能なワーキングモデルもあり、かなり凝ったつくりのコンセプトモデルなんです。ちなみに当時の展覧会では、ヤマハの社員さんが結成したヤマハモバイルオーケストラ(YMO)による携帯電話で音楽を奏でるミニライブも開催しました」
手のひらサイズのケータイが“変形”するコンセプトモデルは、楽器だけではない。「SOLAR PHONE プロジェクト」(08年)のケータイたちは、太陽光が無限の電力を供給してくれるケータイを夢見てつくられた。
「09年には世界初のソーラーパネル搭載ケータイが発売されました。普及には至りませんでしたが電池切れは今の方がより深刻ですよね」
本邦初公開! 誰も知らない「INFOBAR」たち
これまで紹介したものは、すべて発表されたコンセプトモデルだ。しかし実は、未発表のモデルも存在している。たとえば「SUPER INFOBAR」(08年)。「INFOBAR」シリーズらしいバータイプの形状だが、スライドしてQWERTYキーボードが現れる。
「07年にGoogleがオープンプラットフォームのAndroidを発表し、その普及のための業界団体・Open Handset Alliance(OHA)が設立されました。KDDIも参加し、au初のAndroid端末としてデザインされたのが『SUPER INFOBAR』です。aDp最初のコンセプトモデル『info.bar』の背面にあったタッチパネル液晶を進化させ、キーボードを加えたようなイメージ。技術的な問題と、画面比率が仕様に合わず開発に至りませんでしたが、いつか製品化したいと思い続けてきたコンセプトモデルのひとつです」
「INFOBAR」シリーズの未発表モデルはほかにもある。Android搭載端末として製品化を検討していたという「INFOBAR family」シリーズだ。
「検討中にAppleから『iPhone 4』が発表になったんですが、金属フレームをパネルで“サンドイッチ”するという新たなデザインのアプローチにそっくりだったんです。新しいiPhoneのかたちを当ててしまった深澤(直人)さんはやっぱりすごいと(笑)。今見ると正面はiPhoneと全然似ていないし今なお魅力的なデザインです。ただ当時は、iPhoneの後追いと思われたくなかったので、デザインを見直すことになり、その結果発売されたのが『INFOBAR A01』と『INFOBAR C01』でした」
似たり寄ったりのスマートフォンでも、見たこともないデザインはつくれる
深澤直人氏が手がけた「INFOBAR」シリーズのみならず、未発表のコンセプトモデルはほかにもある。岩崎一郎氏による「G」シリーズの系譜を受け継ぐ「G13」(11年)は、異なったマテリアルの組み合わせが生み出すソリッドなデザインが特徴的だ。
また世界的デザイナーであるマーク・ニューソン氏と再びタッグを組んで進められていた「talby 2」も、現在のスマホのデザイン潮流とは一線を画す、ポップで人目を引く印象だ。この2モデルは、東日本大震災の影響などで世に出なかったコンセプトモデル。
「なんで『INFOBAR』しか出さないんですか? とずっと言われていて心苦しかったんですが、実はINFOBAR以外のモデルも考えていたことを今回ようやく公にすることができました。今やスマホは似通った形ばかりになってしまっていますが、その気になれば、まだいろいろな可能性があるのでないかと思っています。みなさんから意見をいただきながら、またワクワクしていただけるような製品をお届けできたらと思っています。」
なんと! aDpの新作スマホが、発売の可能性がある!? 確かにaDpで販売されたモデルには、コンセプトモデルを発表後から時間を経て製品化したという歴史は数多く存在する。みなさんのaDpへの熱い想いがそれを可能にするかもしれません!
現在、au Design project 15周年特設サイトでは、「au Design project」に期待することや、こんなケータイが欲しい!といったご要望を募集しています。今後の製品検討・開発に皆様のご意見を参考にさせていただきますので、是非メッセージをお寄せください。
文:吉州正行
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