2019/06/07
新規格『USB4』って? 特徴や進化ポイントを歴代バージョンと比較で解説
PCやスマホなど、さまざまなデジタル機器の接続規格「USB」に、その次世代規格となる「USB4」が2019年3月に発表された。はたして、「USB4」とはどんなものなのか? 何がどう変わるのか? 知っておきたいポイントをまとめてみた。
なお、USBの規格は「USB 2.0」のように「USB 数字」で表記される「転送速度の進化を表したもの」と、「USB Type-A」のように「USB Type-アルファベット」で表記される「コネクタ形状の規格を示す」場合の両方がある。 本記事では、主に前者の転送規格の最新情報について解説する。
USBとは
まずはUSBの由来から。そもそも「USB」とは、「ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus)」の略で、PCなどに周辺機器を接続するための統一規格だ。
当初はIBM、Intel、Microsoft、NECなど7社が合同で開発し、現在はIntel、Microsoft、Appleなどが主導する「USBインプリメンターズ・フォーラム(USB-IF)」が仕様の策定や管理を行っており、「USB4」は、1996年に発表された初代「USB 1.0」から数えて6度目のバージョンアップとなる。ちなみに歴代のUSBの名称と規格選定年は以下の通り。
USB 1.0 | 1996年 |
---|---|
USB 1.1 | 1998年 |
USB 2.0 | 2000年 |
USB 3.2 Gen1(旧USB 3.0) | 2008年 |
USB 3.2 Gen2(旧USB 3.1) | 2013年 |
USB 3.2 Gen2×2(旧USB 3.2) | 2017年 |
USB4 | 2019年 |
USB4の特徴
・データ転送速度は現行規格の2倍に!
「USB4」のウリはなんといっても、IntelとAppleが共同開発したデータ転送技術「Thunderbolt 3」をベースにした、最大40Gbpsというデータ転送速度にある。この速度は、これまでの最新規格として発表されているUSB 3.2(Gen2×2)の2倍にあたる。
・コネクタの形状は?
USB4のコネクタは、「Type-C」が採用される。「Type-A」のように、裏表の挿し間違いにわずらわされることもなく、コンパクトで汎用性も高い。
・供給電源
最高100Wまでの電源供給が可能。
・互換性
さらに、上位の規格が下位の規格に合わせて使える後方互換も保たれる。そのため、USB 1.0以降の古いバージョンの機器も使うことができる。
なお、ベースとなった「Thunderbolt 3」との互換性もまったく問題がない。そもそも「Thunderbolt 3」は2015年に発表されたもので、USB 3.1からUSBデバイスをThunderboltポートに接続できるようになっていたが、40Gbpsというデータ転送速度の恩恵は受けられなかった。このUSB4でようやくその実力がフルに発揮できるようになったというわけだ。
対応ハードウェアの登場はいつ?
さて、ここまで「USB4」を説明してきたが、対応ハードウェアの登場はまだまだ先の話。 実のところ、2017年に仕様が公開されたひとつ前のバージョン「USB 3.2(USB 3.2 Gen2×2)」ですら、対応製品が2019年後半から発売と“予想”されている段階にすぎない。2019年6月時点で発売されている最新USB製品は、さらにもうひとつ手前のUSB 3.1 (USB 3.2 Gen2)という状況だ。そこから考えると、2019年に発表した「USB4」に対応した機器の登場は、まだ数年先かもしれない。
そもそもUSBは、機器ごとにいろんな接続ケーブルやコネクタを用意しなくていいようにと開発された規格だ。PCやスマホといった機器が年々スペックアップし、扱うデータ量も大きくなるに伴ってVer.を重ねてきた経緯がある。さまざまなコネクタの形状が登場し、名称も刻まれてきたものの、今回、USB4の登場で、真の統一規格となる期待が持てるのも事実。それまでは今のUSBの規格を把握し、USB4の登場に期待したい。
文:のび@び助