2015/10/05
【つながるひみつ】第3話 「高層ビルは“電波の幽霊”がいっぱい!」
携帯電話やスマートフォンがつながるのはなぜなんだろう? 遠く離れたところにいる人の声がアッというまに届くしくみには、一体どんなひみつが隠されているんだろう?
ビルや人でいっぱいの繁華街からでも、高層ビルのてっぺんからでも、携帯電話でちゃんと通話ができます。だれもが、このことを当たり前のことと思っているけど、この「当たり前」の裏側には、実はたくさんのアンテナたちの活躍があるんです。
大ちゃんは久しぶりに電波くんとにぎやかな商店街で待ち合わせしました。
大ちゃん「お店や人でいっぱいのところでも通話ができるのは、いろんなところにたくさんアンテナが設置されているからだよね。そのくらい、ボクだってわかるよ!」
電波くん「そうだね。ほら、あそこにも、ほら、あそこにもアンテナがあるね」
大ちゃん「そうだ、これから高層ビルの40階にいるあずきちゃんに電話をかけるから、ボクも電波くんと一緒に行って驚かせよう!」
電波くん「お安いご用さ」
大ちゃんはスマホであずきちゃんに電話をかけて、「元気?」と言うと、すぐに電波くんの背中に跳び乗り、アンテナに向かって飛んでいきます。それから、あっという間に光に変身して光ケーブルの中を、あずきちゃんのいちばん近くにあるアンテナを目指して駆け抜けていきました。
気がつくと、大ちゃんたちは高層ビルの下にいました。
大ちゃん「え、窓の外から高層ビルの中に飛び込むんじゃないの?」
電波くん「それが違うんだ。空中の高いところでは電波の幽霊がたくさん出るから、高層階まではビルの中を光ケーブルで進むように対策をしてあるんだよ」
大ちゃん「で、電波の幽霊!? やだなにそれこわい!」
電波は光に似た性質を持っていて、ぶつかった相手の性質によって、反射したり、曲がりながら通り抜けたりします。しかも電波は波のように進むので、アンテナから発射された電波が、都会の建ち並ぶビルに邪魔されて弱くなったりします。
高層階は基地局よりも高い場所にあるので元気な電波が届きにくく、ビルの外のたくさんのアンテナから弱くなった電波だけがやって来て、つながりにくくなったりするのです。
電波くん「つまり、元気のない僕がたくさんはい上がってくるんだ。まるで幽霊みたいにね」
大ちゃん「いやぁぁぁぁ! 幽霊電波くんが追いかけてくるぅぅぅ!」
電波くん「それを防ぐために、高層ビルの中にアンテナを作って、元気な電波がそこからいっぱい出て行くようにするんだ。だから、高層ビルにはフロアごとに数十メートル間隔で、たくさんのアンテナを設置しているんだよ」
大ちゃん「僕らが住んでいるマンションもいっしょ?」
電波くん「個人の住まいでは、お部屋の中に小型の基地局のフェムトセルっていうのを置いて対策するんだよ」
怖〜い幽霊に追いかけられながらも、大ちゃんと電波くんは高層ビルの40階のフロアにいくつも設置されたアンテナの一つから、電波になって飛び出しました。
あずきちゃん「やだ、大ちゃん、どうしたの? 実家の土蔵みたいな顔色になってるけど......」
大ちゃん「や、やぁ、あずきちゃん。元気かな?」
あずきちゃん「いや、大ちゃんのほうが心配だって......」
ほうほうの体で、ようやうくあずきちゃんのスマホにたどり着いた大ちゃん。今回の旅はちょっと怖かったけど、高層ビルの中でつながるひみつがわかってよかったね!
次回、【つながるひみつ】第4話もお楽しみに!
文:T&S編集部
絵:沼田光太郎
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