2017/06/30
マッチングアプリが世界を救う? 食料を廃棄する人、引き取りたい人を引き合わせるMealConnect
世界の先進国では食べ物を大量に廃棄する一方で、十分な食事を買うことができない人たちがまだたくさん存在している。こうした深刻な社会問題となっている食糧供給のミスマッチを解消するため、全米で食糧支援を行うフードバンクのネットワークを展開するFeeding Americaは、「MealConnect」というテクノロジープラットフォームを立ち上げ、解決に挑んでいる。
廃棄する人、引き取りたい人をマッチング
MealConnectの仕組みそのものはシンプルで、店やレストランが廃棄しようとしている食料品の種類や量と、それらを引き取りたい支援団体とを、専用アプリとオンラインマップを使ってマッチングするというものだ。廃棄する側がアプリにデータを登録するとリアルタイムでマップに表示され、それを見た支援組織が同じアプリで連絡を取り、食料を引き取る。登録やアプリのダウンロードはもちろん無料で、簡単な登録だけで使える。
これまでにも同じような活動は行われていて、たとえば、シリコンバレーでフリーミールを提供している企業のなかには、社員に提供した食事の残りを、教会や支援団体の施設に寄付することがよくある。ただし、残り物の量は日々変わるうえに、どれだけ寄付できるかを確認する作業もお互い手間がかかってしまう。また、安全や賞味期限の問題もあるため、やむなく廃棄することが多かった。
MealConnectを利用すれば、食糧の登録からピックアップ、追跡もできるので、マッチングはもちろんのこと、寄付の記録も正確に残すことができる。企業側も社会にどれだけ貢献したかが明確になるので、次のアクションにもつながりやすくなる。さらに、複数のフードバンクとのマッチングができるので、寄付の機会も増えることになる。
アプリやプラットフォームはGoogle.orgが開発
現在、ニューヨークをはじめとした全米地域でMealConnectを利用でき、2,500以上の支援団体が定期的に利用している。アプリとプラットフォームの開発はGoogleの公共支援グループであるGoogle.orgが行っているためか、公共機関のサイトにしては使い勝手もかなり良いものになっており、食糧以外にお金の寄付も受け付けるなど、機能も少しずつアップグレードされている。同様の問題は日本や世界中でもおきているため、このソリューションが世界で活用されるようになるかもしれない。
文:野々下裕子