2017/03/31
VRでフィットネスも! ITで運動不足を解消する時代に
CES2016で登場した「空飛ぶVRフィットネスマシン」がいよいよ製品化
VR(バーチャル・リアリティー)で単調な運動を楽しくするマシンが登場している。2016年のCESで注目を集めていたミュンヘンのIcaros社によるワークアウト・マシン「ICAROS」の製品版がいよいよ出荷を開始した。VRのヘッドマウントディスプレーを顔面にセットし、マシンにうつ伏せに乗り、全身を使って、バーチャルな光景のなかで運動するという、豪華なフィットネス・マシーンだ。
ギリシア神話のイカロスは蝋で固めた翼をつかって自在に飛び回れたというが、21世紀のイカロスは、ハンドルのローラーで操作してバーチャルな世界を飛び回る。目の前の光景が、まるで自分が空中を飛んでいるように後ろに流れていくのだ。
どのようにエクササイズできるのかというと、たとえば、バーチャルな空間に浮かんだバーチャルな輪をいくつもくぐり抜けるために、体を前後左右にひねる。こうした目からの情報と、ゲームを進めるための戦術の立案実行に気を奪われているあいだに、知らず知らずに長時間、全身のさまざまな筋肉に負担がかかるよう工夫されている。
家に置くには最低でも1.5m×2.5mのスペースが必要で、重さは120kgある。だが自宅で空を飛べるような体験ができるのだから、7,900ユーロなら安い買い物かもしれない。
教育的なコンテンツを見させようと子どもにスマホやタブレットを渡すと、ゲームや動画でいつまでも遊び続けてしまい運動不足になるのは、各国共通の親の悩みらしい。
楽しく遊んで、運動も勉強も同時にできる「スマート・サイクル」
写真提供:Fisher-Price
ニューヨークの老舗教育玩具メーカーFisher-Price社が今年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)に出品したThink & Learnブランドのスマート・サイクルは、子ども向けのエクササイズ用バイクだ。
同社が2007年に発売したスマート・サイクルの新しいバージョンになる。前バージョンではハンドルの間にゲームのコントローラーが取り付けられており、ペダルを踏むと遊べる仕掛けになっていたが、2017年バージョンではコントローラーの上にタブレットを取り付けることができる。また、タブレットの代わりに、BluetoothでテレビとつないでApple TVやAndroid TVとも連携できる。以前はできなかったゲーム途中のセーブ機能なども追加されている。親たちは、運動時間や、何を勉強したかの記録を見ることができる。
このスマート・サイクルは、子どものタブレットやゲームの使用を無理に禁止したり使い方を強制するよりも、遊ばせて、運動不足も解消させてしまおうという商品である。3歳から6歳向けで、本体は150ドル、ソフトは5ドル。単なるゲームだけでなく、算数や科学、社会などを学べる学習用アプリもある。
デジタル時代には、親も運動不足になる。ジムに通ってトレッドミルやバイクなどで運動することもできるが、ただ歩いたりペダルを踏むだけでは退屈だから、音楽を聴いたり、テレビを見たり、本を読んだりしながら運動する。スマート・サイクルはそういう親には理解しやすい製品で、子どもに買い与えようという気になるのかもしれない。
文:幸野百太郎