2017/01/27

カメラを使ってスマホと街中の看板をシンクロ! 『CapCam』が、ディスプレイに革命を起こす

アナログの看板が次々とデジタルサイネージ(ネットワーク化された電子看板)に置き換えられるようになり、商業施設や駅構内などさまざまな場所で、タッチスクリーンタイプのディスプレイを設置する事例が増えている。

色パターンを読み取ることでスマホとディスプレイをシンクロ

そうした、街中で増えているディスプレイをもっと便利に使えるよう、タッチスクリーンディスプレイとスマホを瞬時にシンクロさせる「CapCam」という技術が、カーネギーメロン大学で開発されている。使い方は、写真やデータを相互にやりとりしたり、スマホアプリと組み合わせてキーボードや楽器を使えるようにしたり、ディスプレイの上にスマホをかざすとAR(拡張現実)技術で別の画像や情報が見えるようにしたり、アイデア次第でいろいろな使い方ができるという。

写真提供:Robert Xiao/Carnegie Mellon University

面白いのは、ディスプレイとスマホの間でデータをやりとりする仕組みで、通常は自動改札機やApple Payなどで使われているNFCやBluetoothといった通信機能を利用するが、CapCamはデバイスから点滅する色パターンをカメラで読み取ってデータを抽出するという方法を採用しているので、通信の不具合が少なく、シンクロ率がより正確になる。また、CapCamを搭載しているカメラ機能付きのデバイス同士なら、OSや機種に関係なく、簡単にデータをやりとりできるのが大きな特徴になっている。

写真提供:Robert Xiao/Carnegie Mellon University

クーポン配布やゲームに活用

開発に参加しているリサーチャーのRobert Xiao氏は、QRコードなどより手軽に、ディスプレイの情報をデバイスとやりとりできるようにしたいと考えて、誰でも使い方がわかるカメラを通信手段にすることを思いついたという。デジタルサイネージを提供している側にとっては、表示している情報に合わせてクーポンを発行したり、より詳しいお店情報を発信したり、簡単にデバイスに情報を保存してもらえるので、広告効果を高められるメリットもある。

ほかにも、ディスプレイにかざすだけで別の情報を表示させたり、アプリとシンクロさせたりできるので、新しいゲームやエンターテインメントのコントローラーとして、あるいはデジタルの学習教材を補足したり、ビジネスのプレゼンテーションなど、アイデア次第で用途はいくらでも広げられる。

現在、CapCamの開発者はライセンスと商業展開先を探しているところで、アプリの配布も近々検討されているとのこと。すでに、レノボがGoogle Tangoを搭載したスマホを開発するなど、これからAR技術が浸透しそうなだけに、カメラを使って情報をやりとりするCapCamのアイデアは注目を集めそうだ。

文:野々下裕子