2017/01/24
六本木が舞台の『リアル脱出ゲーム』に挑戦したら、脳みそが脳みそ痛になりました
それは2016年の年の瀬だった。クリスマスムードとは関係なく、渋くいなたく盛り上がる飯田橋の串焼き屋さん「串鐵(くしてつ)」。界隈の飲みスケの味方であるこの店は、なにを隠そうTIME & SPACE編集部の「夜の編集会議」の舞台でもある。この場では毎回、他部署のゲストを招き、TIME & SPACEで記事化できそうなネタの情報交換を行っている。
「あのー、今度au STARが協賛するイベントがあるんですけど、『リアル脱出ゲーム』って知ってます・・・・・・?」
最近買って正解だったもの、アメリカの新政権、焼鳥はタレ派か塩派かなど、世相を鋭く斬るトークをひととおり楽しんだあと、この日のゲストであるau STAR担当者からの突然のパスだった。
『リアル脱出ゲーム』は深夜のテレビで見たことがある。愉快犯が警察に突きつけた謎めいた挑戦状を次々と読み解き、仕掛けられた爆弾のありかを特定するのだ。スマホやPCで視聴者と参加することができるともに、謎を解いて事件解決を目指すというドラマ仕立てのものだ。
ちなみにau STARは、auがお客さまに感謝を込めてお届けする会員制プログラムである。au WALLETポイントを毎月還元したり、ギフト券のプレゼントといった、お得な会員特典が魅力のサービスで、このイベントもauのAndroidスマートフォンをご利用のau STAR会員1,600名をご招待するというものだ。
イベント名は「au STAR presents "SANTA & SIX GIFT BOXES"(サンタクロースと6つのプレゼント)」。テーマはクリスマスで、サンタとトナカイと子どもたちのストーリーだという。
参加者はトナカイに扮し、子どもたちがサンタクロースに送った「プレゼントにこれくださいメッセージ」に秘められた子どもたちの真実を導き出し、真のプレゼントを届けるという。「そのイベントレポートをTIME&SPACEで記事化してほしい」というのが、いわば担当者の「クリスマスのお願い」というわけだ。
オレは隣に座る編集部No.1若手のハラダにアイコンタクトを送る。だがハラダは虚ろな目で焼き鳥を凝視しつつ、「塩もいいけどタレだな。あ、ちょ待てよ、やっぱ塩で・・・・・・」とうわ言を繰り返すだけだった。
タケダ「やりましょう!」
オレは考えた。リアル脱出ゲームといえば、クリアするためにとっさの機転やひらめきが求められる、いわば頭脳の総合格闘技。カギとなるのはつまり「編集力」である。
T&S編集部でもNo.1若手として期待され続けて早2年。ハラダが、編集者としてどれだけ成長したのかを見極めるグッドチャンスかもしれない。ちなみに以前も書いたが、「No.1」は「若手のなかでNo.1」ではなく、単に「No.1に若い」の意味だ。2年経ってもNo.1だ。
ハラダ「あwwwやるんすねwww 12月22日ですけどwww」
予定があるフリをしやがる。
すでにして「編集力」を欠いているのだ。クリスマスの恋愛濃度はイブをピークにそこから離れれば離れるほど薄まるものだ。従って、「22日に予定がある」のは、一切ラブとは関係ない。それを喝破したオレは、ハラダの答えを聞くまでもなく、体験ルポ取材を快諾した。
リアル脱出ゲーム、スタート!
舞台は六本木ヒルズのカフェ。
オレたちは、白い帽子に白ニット、白いパンツのおねえさんたちのレクチャーを受けていた。彼女たちはサンタさんのアシスタントの「コビトさん」らしい。そしてオレたちは「トナカイ」。色とりどりのビニール製のふかふかのツノを手渡される。
ハラダ「赤もいいけど黄色だな。あ、ちょ待てよ、やっぱ赤で・・・・・・」
ハラダの希望を無視し、オレは赤を取った。不満げなハラダに背を向ける。ハラダよ、この理不尽さを覚えておけ。いつかきっと役に立つだろう。立たないかもしれないが。
ともあれ、我々トナカイはここで、サンタさんの代わりに子どもたちに正しいプレゼントをお届けするというミッションを課せられたのだ。
まず、大ぶりのケーキが入っているような青い箱を渡された。中から出てきたのはジョンという子からの手紙とサンタさんからのヒント。それにスマホとタブレット。クリスマスツリーのデザインをあしらった台紙。紙でできたオーナメント。
ジョンからの手紙とサンタさんからの指示を手掛かりに、ジョンが本当に欲しがっているプレゼントを特定し、会場に設営された「プレゼントコーナー」にある品々を参照しながら、答えをメッセージカードに書く。係のコビトさんがいるカウンターに提出して正解ならば、新たな箱を受け取り、次の子どもからのお手紙とサンタさんからの指示でまた新たな謎を解くという流れらしい。これが6人分ある。
ジョンからの手紙は「サッカー応援グッズがほしい」。
ヒントは「去年のクリスマスにジョンが記念撮影をしたツリーを完成させろ」だ。
ITリテラシーだけではまったく歯が立たないのである
ハラダ「応援グッズなんだから、サッカーボールかブブゼラじゃないすか?」
タケダ「かもしれないが、ちゃんとそれが特定できる回答がなくちゃならない。『編集力』を働かせるんだ!」
ハラダ「・・・・・・・・・・」
タケダ「・・・・・・・・・・」
ハラダ「・・・・・・・・・・」
やべえ、全然わからない。そもそも、子どもがサンタさんにプレゼントをお願いするのに、なぜ本心を書かないのか。そんな身も蓋もない疑問を持ち始めたところで、「去年のクリスマスイブのGoogleを見てみたら?」というコビトさんの声が聞こえた。
タケダ「どういうことだ?」
ハラダ「ヒントに『記念撮影をしたツリー』って書いてあるから、Googleフォトを見ろっていうことじゃないスかね。わかんないスけどwww」
そうか! 「去年のクリスマス」のGoogleフォトをタブレットかスマホで見るのか!
Googleフォトなら検索もチョチョイのチョイだ。ジョンが完成させたクリスマスツリーの画像がチョチョイのチョイと見つかった。
手元にあるツリー型の台紙に、去年のツリーの画像どおりに紙のオーナメントを並べてみると・・・・・・!!
タケダ「☆のメールよめ・・・・・・か」
ハラダ「星のメール読めっスねwww命令形wwwウケるwww」
でも「星のメール」ってなんだ?
「あ、それなら・・・・・・」とタブレットをスイスイ操作するハラダ。GoogleのメールだからGmail、「☆のメール、すなわちスター付きメールっスよ」。☆つきメールとは、見逃してはいけないメールに目印がつけられて便利な機能だ。
果たしてそこには、ジョンからの「レイトン・オリエント」というクラブの試合を見に行くというメールが収納されていたのである。
「レイトン・オリエント」をGoogleで検索してみると、これ、実在のサッカークラブなんですね。応援グッズなら、チームカラーを探り出せば特定できる。そして「コビトのお姉さん」がいる棚の左端の上から2段目には、レイトン・オリエントのチームカラーである赤いリストバンドと、関係ない黒いリストバンドが・・・・・・!
「赤のリストバンド」と回答用紙に記して、コビトさんに提出&1問目無事クリア!
やるじゃないかハラダ!
恐るべし『リアル脱出ゲーム』本編
2問めに行ってみよう。
タブレットの上に重ねるフィルム状のシートを渡され、写真のように指示された順にアイコンをクリックしていく。と、Googleマップが立ち上がり、目的地を指し示した。
六本木ヒルズなのである! しかも会場となっているカフェからすぐ近く! 外だ! 興奮して立ち上がったオレにハラダが言う。「えーwww行くんスかーwww、タケダさんとーwww」
「なぜこの時期の六本木ヒルズを、オッサンとふたりでうろつかねばならないのか」。目がそう訴えているが無視する。これは仕事なのだ。いやそれよりなにより、オレたちはトナカイさんじゃないか! 子どもたちにプレゼントを届けないでどうするのだ!
まさしくクリスマスシーズンの六本木ヒルズ、ウエストウォークはカップルだらけなのであった。小粋な男女がそぞろ歩き、おしゃれショップにはステキなアイテムたちが並ぶ。デート感、全開である。館内のあちこちに飾られたこのイベントのバナーやポスターも、雰囲気を壊さず調和していた。で、Googleマップの指示通りにオレたちが到着した目的地は、ただの壁。
ハラダ「ここで間違いないっスねwwwあきらめますかwww」
オレのタブレットもハラダのスマホも同じ位置を示している。だが巨大な『リアル脱出ゲーム』の横断幕が貼られているだけ。しかし・・・・・・。
なんと、『リアル脱出ゲーム』の告知&クリスマスデコレーションの横断幕にあしらわれたプレゼントの箱が"めくれる"のであった! そしてそこにはあるアイコンが。それと同じアイコンが我々のタブレット&スマホにもあり、クリックすると新たな指示が下されるのだった!
ポスターをめくったあと、ヒルズ内に掲げられた『リアル脱出ゲーム』の旗の間違い探しをし、一見なんの関係もないと思われる雪だるまのデコレーションから新たなヒントを得て、ウエストウォーク内で待っていたかわいい「コビトさん」にVサインを送るよう指示されたのであった。
そう、謎はモニターの中だけでは解決しないのだ。施設にもギミックが仕掛けられていて、複雑に絡み合っている。それだけに、解けた瞬間のカタルシスはなかなかのものだ。オレとのランデブーに拒否の姿勢を見せたハラダも「ブイ!」「ブイ!」と、白くてかわいい「コビトさん」にコーフンをぶつけるのであった。
「よくできたね! サンタさんからのお手紙はこれだよ!」
役になりきった「コビトさん」から、さらに先に進むヒントをもらう。やべえ! なんか楽しくなってきた! しかし同時に、次々と出される謎に答えていくたびに実感する。
頭を使うのって、体力も使う〜〜〜〜〜〜!
4問めを答えるあたりではオレはもうヘロヘロ。脳が完全に疲弊しきっているのであった。
一方、問題には一切立ち向かえなくても、ハラダはとにかく粛々と先へ進んでいく。「オッケーっす〜」「へーそうなんスか〜」と無数の「www」(ワールド・ワイド・ウェブではない)を挿入しつつ、ノーガードで前に進むハラダの態度に、オレは徐々に謎のリスペクトさえ感じるのであった。「編集力」という意味では特筆すべき点はまったく見られなかったが・・・・・・!
そして、よもやの「感動」が訪れるのであった
終盤、オレたちが持つ端末のディスプレイに「黄色いトナカイ」のアイコンがデカデカと表示された。しかも、六本木ヒルズのオレたちのいる会場に。・・・・・・なにこれ!
ハラダを見ると、暇そうに自身のツノを揉みしだいている。頭部に装着したもにゃもにゃのビニールのツノを。・・・・・・黄色い・・・・・・トナカイの。
「黄色いトナカイ!」
瞬間、オレたちはハモった。TAKE & HARADAだ。被り物と同じく黄色いトナカイのマークが描かれているハラダのIDカードをホルダーから抜き出す。すると、コンビニとかで時々もらえるスピードくじみたいにペリペリとめくれ、さらに先に進むための真実が隠されていたのだ! オレたちは改めて顔を見合わせた。
オレたちはついにすべての謎を解き、最終ステージに進むのであった。どうだろう、我ながらこの晴れ晴れとした表情は!
ずっと謎を解いてきた部屋を出て、最後の謎の答えを告げる場所に赴き、年の瀬、ふたりでともに持てるスキルを出し合いながら、クリアしてきた問題がいよいよ終わるという場所にとどりついたとき、これまでにない感慨がわき上がった。
全問クリア。
そしてハンドシェイク。
オレたちがこの『リアル脱出ゲーム』にかかわったのは、1時間7分11秒。最速でゴールしたチームからは約23分遅れ。参加9組中5番めという順位だった。・・・・・・だがそんなことはもはや関係ない。
最初にサンタさんは、このミッションをやり遂げれば、「トナカイのみんなにも素敵なプレゼントが与えられるよ!」というようなことを言った。
確かにそうだ。ハラダとT&S編集部のバディとして同じ課題に全力で取り組んでいるという喜びを感じている己に驚きを禁じ得ずにいた。「編集力」という意味では特筆すべき点はまったく見られなかったが・・・・・・!
というわけで、年の瀬の『リアル脱出ゲーム』、おっさん(タケダ)から若人(ハラダ)まで、かなり楽しめました。70分間、真剣に取り組んだら、脳みそが筋肉痛のようになってヘロヘロ。普段使わない回路を必死につないで、物事を横とか裏とかから見て考える力を使わされたのかもしれません。
ちなみに体験した一般のお客さまからも「とっても楽しかったです! 忘れられないクリスマスになりました」、「謎ときがわからないときに、スタッフの方が声をかけてヒントをくれたのでストレスなく進むことができました。楽しい時間でした。また機会があったらぜひ参加したいです」、「今まで知らなかったAndroidの機能がわかって、もっとスマホを使いこなせるようになりそうです。楽しかった!」などの声が集まり、ご好評をいただけたようです。
今後もauではAndroidユーザー向けイベントを検討していきます。またイベントあったらお知らせしますね。面白うれしい特典いっぱいのau STARにまだ登録していない方はこれを機に。会員のみなさんは、続々届くお知らせをお楽しみに!
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文:武田篤典
写真:玉井幹郎
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