2017/04/04

女子に人気の美肌アプリをオッサン(47)で試してみた

写真・動画の加工アプリが、えらい勢いで進化している。ちょっと前から流行っているsnowは、ご存じの方も多いだろう。カメラに映った人の顔を認識し、自動でスタンプをくっつけたり、加工を施したりするアプリだ。全世界で1億人以上が使っているというくらいだから、名前を知らなくても動物の耳や口をくっつけたり、目をデカくした自撮り写真を見たことがある人は多いと思う。

こういうオモシロ写真はひと目で加工したものとわかるが、もう少しひっそりと、オジさんたちの知らないところで広まっているのが、同様の顔認識機能を使った写真加工・補整アプリ。いわゆる美肌アプリと呼ばれているジャンルのものだ。すっぴんでも肌をなめらかにしたり、化粧をしたような加工ができ、顔のパーツのみならず体形まで補整してくれるアプリまであるという。SNSにあがった自撮り写真をよく見てみると、このようなアプリで補整済みの写真もちらほら見られるようだ。

美肌アプリは、オッサンが使ってもいいんじゃないか?

さて、女子の自撮り写真を詐欺だ、インチキだと糾弾するのが本稿の目的ではない。果たしてこうした美肌アプリは、オッサンが使ってみても美しくなれるのか。それを検証してみようと思う。

モデルに起用したのはT&S編集部のO。47歳のオッサンである。今回はビフォー/アフターをわかりやすくするため、あえて少し眠そうな表情の写真を選んだ。

まずは、今年2月にどんな仏頂面も笑顔にできると話題になったiOS/Androidアプリの「FaceApp」(Wireless Lab/無料)。顔写真を自動で認識し、真顔の写真を笑わせたり、老けさせたり若返らせたり、性別を変えたりできるアプリだ。アプリで撮影するか、カメラロールにある写真を選んでメニューボタンをタップするだけ。上の元写真がこんなふうになる。

左上「HOT」(魅力増)/右上「SMILE」(笑)/左下「FEMALE」(女性)/右下「OLD」(老化)

老人から女性まで、まるでOの家族写真を見ているようである。このアプリは人間の脳の仕組みを模したニューラルネットワークというAI技術を用いて、膨大な数の画像を学習しているそうで、ほかのアプリと比べても精度が高い。プログラムが自動で補整しているとは思えないクオリティだ。

HOT!

「HOT」に加工した写真は肌のたるみやしわが消え、ドーランを塗ったような仕上がりに。どことなく外国人っぽい印象になったのは、アプリが学習している写真に欧米人が多いからだろうか。ただ、なんとなく生気がなく蝋人形のようにも見えるので、この写真を再びFaceAppに取り込んで笑わせてみた。

SMILE!

・・・・・・笑った。つくりものっぽい印象は和らいだが、よく見ると目が怖い。このように、カメラロールに保存した加工済み画像を再度アプリに取り込めば、「HOT」×「SMILE」の掛け合わせや、「OLD」×「OLD」での老化2倍増し加工も可能になる。

ただ、あまり加工を重ねると画質が劣化したり、自動認識がおかしくなって気持ち悪い写真になったりするみたいなので、ほどほどにした方がよさそうだ。

これは写真の補整というより、プチ整形だ

FaceAppで素地は整ったが、もう少し加工を加えてみよう。次に使ったのは、美肌加工や化粧に加え、顔の輪郭や体形を整形できる自撮りアプリ「Photo Wonder」(Baidu HK/無料)だ。プリクラ感覚で補整やデコレーションができると人気らしい。

先ほどFaceAppで加工したHOTな写真を取り込んで、ワンタッチで全体を調整する「即美顔補正」をかけてみた。輪郭をほっそりさせたり目を大きく見せるといった機能を使って、自動でバランスを調整してくれる。補整のレベルは5段階から選べる。

こちらがレベル1。輪郭がややスリムになり、肌の陰影が抑えられてよりなめらかになった。さわやかには見えるが、まだオッサンはオッサンだ。補整レベルを上げてみよう。

レベル3。頬骨がさらに削られ、目も大きくなった。Oの面影は残しつつ中性的な印象に。美容というのは、男臭さを消す作業なのかもしれない。

最大まで補整レベルを高めると、さすがにやりすぎかなという印象。華奢な輪郭に大きすぎる瞳がアンバランスで、アニメのキャラを無理やり実写化したような違和感がある。

カラコンをつけたり、瞳を大きくしたりと、手動でもさまざまな調整が可能。だが、いろいろ試しているうちに現生人類の枠を超えた顔に進化した。オッサンが使いこなすには慣れが必要だ。

おっと、失敗。

最後にPhotoshopで仕上げる

最後の仕上げに使ったのが、「Adobe Photoshop FIX」(アドビシステムズ/無料)。Photoshopといえばプロのカメラマンやデザイナーも使用する画像編集ソフトだが、このスマホ向けアプリでは、タッチパネルを使ってより直感的なレタッチ加工ができるようになっている。

たとえば、元画像をレタッチしたときに刻印された「FaceApp」の文字も、指でなぞるだけで消せる。風景のなかに写りこんだ電線など、邪魔なものを消したりもできる。顔認識・加工機能も充実しており、マニュアルだけでなく自動メニューで手軽に写真を加工できるのがうれしい。

前出のふたつのアプリを使ってほぼレタッチは済んでいるが、細かいほくろやくすみを消して、目や口の大きさや位置を微調整した。

目が大きくなっている分バランスを取るため、目の間をすこし空けた。また、ちょっと細くなりすぎた輪郭も、自然な感じで頬と顎に丸みを持たせた。こうして完成したのが、下の写真だ。

いかがだろう。元写真と比べると、美肌アプリを使えば、オッサンでも美しくなるといえるのではないだろうか。ただ、ここまで写真をいじっていると、なにが自然なのかわからなくなってきた。成功かどうかは、読者の皆さんに判断を委ねたい。

文:T&S編集部