2017/11/06
スマホと連動して麺をすする音をかき消す! 『音彦』はヌーハラに一石を投じるか?
蕎麦やラーメン、さらにはパスタといった麺類に付きまとうのが「麺をすする時の音問題」だ。そして麺を豪快にすすって美味しく食べたい人と、麺すすり音を不快に感じる人とのあいだに生じる軋轢が「ヌードル・ハラスメント」である。
この「ヌーハラ」問題を解消しましょうということで、本気なのか冗談なのかわからないが、とにかく革新的なデバイスが登場したので紹介したい。
“麺すすり音”を絶妙なタイミングでカモフラージュ
麺にまつわる音については前述したとおり両者相容れないわけだが、日清食品株式会社が発表したフォーク『音彦 -OTOHIKO-』は、スマホと連動して麺すすり音を「かき消してくれる」デバイスである。
その仕組みはこう。フォークに搭載されている高性能集音マイクが麺のすすり音を感知すると、専用アプリをインストールしたスマホ(iOSのみ)に近距離無線通信で「いま麺をすすったぞ」という信号を送信。
すると受信したスマホが麺すすり音にかぶせて即座にカモフラージュ音源を再生する。まるでジェットエンジンのような、勢いのある爽快な音が絶妙なタイミングでスマホから流れ出すのである。
麺すすり音はジェット音に似ている
「音彦」はカモフラージュ音にも徹底的にこだわっている。環境音を素材とした音楽作品を生み出すサウンドクリエイター清川進也氏が制作を監修。「5,000回未満」(公式)という多いのか少ないのかわからない数の音を収集・解析し、麺すすり音の特徴点を抽出したという。
こうしたデータマイニングの結果、どんなにかすかな“すすり”も逃さない精度を実現したのだという。清川氏曰く、「麺すすり音はジェット音に近い」そうで、このジェット音に近いさまざまな残響音をかぶせることで、勢いのある爽快な音になるのだという。ズルズルというただの麺すすり音が、スマホを通して楽器になる瞬間だ。
目には目を、歯には歯を、音には音を
音をカモフラージュするという発想とそのネーミングから、賢明な読者ならもうお気づきだろう。そう、この「音彦」は、TOTO株式会社の「音姫」(トイレ用擬音装置)に着想を得たのだという。
「音彦」は数量指定の完全受注生産販売商品で、価格は14,800円(税込)。10月23日から12月15日までの申込期間中に、予約申込数が5,000個集まった場合のみ販売する。
サイズは幅44mm×奥行き44mm×高さ152mm、重さは110gと、食器の概念を覆すサイズ感。素材は、本体はABS樹脂、底部はアルミ、本体内部はシリコン。ビスはスチール、フォーク部はステンレスでできている。本体の充電はマイクロUSBで約30分。
世の中にはこうした身近な“食にまつわるさまざまな問題”が存在するが、日清食品はこうした問題に焦点を当てるプロジェクト『PRODUCT X (プロダクト・ペケ)』として、今後もアプローチしていくのだとか。日清の本気を感じる一品。筆者はこれ欲しいです。
文:内山内内子