2018/11/07

初代から『INFOBAR xv』まで! すべてのカラーを手がけた塗料工場で初のファンミーティング

今年7月、初代INFOBAR発売から15周年を記念した携帯電話「INFOBAR xv」が発表されました。

KDDIは、2002年に「au Design project」(以下・aDp)をスタート。当時は機能一辺倒だった携帯電話にデザインという概念を持ち込みました。そしてその第一弾として深澤直人さんのデザインで発表されたのがINFOBAR。昨年開催の「auおもいでケータイグランプリ」では堂々の第1位に輝いた、長らく愛され続けるケータイなのです。

そんな声に後押しされ、初代「INFOBAR」と同じく、プロダクトデザイナー・深澤 直人さんがデザインを手がけた、INFOBAR xvが登場。

そして長年の支持への感謝と、「実際に熱い声を受け止めたい」という開発者の気持ちから、今回のファンミーティングが開催されました。

題して「INFOBARファンミーティング」。8月末の「au SHINJUKU」を皮切りに「au KYOTO」「au NAGOYA」と行われ、今回はなんと塗料工場で。

なぜファンミーティングが塗料工場で?

武蔵塗料株式会社の入口

こちらの武蔵塗料株式会社は埼玉県入間市にある、塗料工場。INFOBAR xv制作チームが決めた塗装色を、実際の塗料として調合する工場。INFOBARの塗料は初代から武蔵塗料さんがずっと手がけています。のみならず、こちらの開発した特殊塗料は昔から多くのクルマや家電などに採用されている、創業60年を迎えるこだわりのメーカーさんです。で、今回のように一般の方を招いたイベントを行うのは初めてのことだそう。

このイベントが行われたのは9月7日金曜日、スタートは午後1時30分。多くの社会人にはハードルの高い日程ですが、初めてINFOBAR xvの“動く実機”に触ることができ、塗料工場の見学というレアな体験も相まってか、定員の5倍以上の応募が殺到しました。抽選の結果集まったのは20名。最高齢の方は69歳というから驚き! そんなみなさんと一緒に、TIME & SPACE編集部も参加してきましたよ!

INFOBARファンミーティング御一同様と書かれたパネル

ファンミーティングは、KDDI 商品・CS統括本部 プロダクト企画部の砂原哲と美田惇平によるプレゼンテーションからスタート。砂原はaDpに最初期から関わり、すべてのINFOBARに携わってきました。美田は最新作のINFOBAR xvのプロダクトネージャー、いわばKDDI側の開発責任者です。

KDDIの美田(左)と砂原(右)が進行

プレゼンテーションでは、INFOBAR xvの機能を公開

まずプレゼンテーションでは、INFOBAR xvのUIや機能などについて紹介されました。カウントダウンからスタートし、“電源が入った実機”が白い布の中から出てくるや否や大歓声。どんなUIでどんな機能なのか、こちらでまとめて紹介していきましょう。

・ストレート、テンキー、モノクロの待ち受け

電源の入ったINFOBAR xvが3色勢ぞろい

待ち受け画面は印象的なモノトーンのアナログ時計。ディスプレー下のテンキーは物理ボタンで、タッチスクリーン機能はなく、ディスプレイ真下の十字キーでカーソルを移動させて丸ボタンで決定する方式。テンキーの配列はINFOBAR 2と同じ。当然ながらフリック入力はなく、「トグル入力」(たとえば、あ行のキーを1回押せば“あ”、もう1回押せば“い”→“う”……と、同じキーを何度も押して入力する方式。いわゆるケータイ入力)のほかに、ポケベル時代をご存じの方にはおなじみの2タッチ入力(2つの数字の組み合わせで文字を入力する方式。懐かしい!)も可能です。

・「置き時計モード」だけ時計が横表示に

INFOBAR xvが3色勢ぞろい。中央が「置き時計モード」

充電ケーブルを挿した同梱の卓上ホルダにセットすれば、「置き時計モード」に(事前に設定が必要)。左に90度倒すことも可能。時計が横表示になるのは、このモードだけ。FMラジオチューナーを搭載しているので、おしゃれな時計を表示させながらラジオを聴くこともできます。

・深澤直人さんデザインの卓上ホルダも同梱

INFOBAR xvに同梱される深澤直人さんデザインの卓上ホルダ

もちろん、卓上ホルダも深澤直人さんのオリジナルデザイン。円錐形のスタンドに可動式の充電アームが付属。本体をスタンドに置くときは、スルリと気持ちよく挿さり、90度回転させる時のカチリと止まる感触も心地いい!

・メニュー画面はINFOBAR 2を彷彿させるデザイン
メニュー画面はINFOBAR 2を思わせるデザインになっており、参加されたファンのみなさんもかなりグッときた模様。ご覧のようにモノクロ……なのですが、十字キーで選択されたアイコンだけがカラーになり、表示も日本語に変わります。

INFOBAR xvのメニュー画面

ちなみに今選択してるのは一番上のまん中「アプリサービス」。選択したアイコンはカラー&日本語だけでなくアニメで表示されるかわいらしいギミックも。実機を手にした際はぜひ確かめてくださいね!

・キーに機能のショートカットを割り当て
「1」〜「3」のテンキーをさまざまな機能へのショートカットに割り当てることができ、初期状態では待受け画面で「1」の長押しでLINEが起動しました。操作感も上々。

INFOBAR xvにはLINEを搭載

4G LTEのケータイとしては初めて、「+メッセージ(プラスメッセージ)」を搭載しています。

なお「2」のキーの割り当ては「スマホ音声アシスタント呼出機能」。これは、INFOBAR xvとiPhoneやAndroidを2台持ちする場合に使える機能。「2」のキーを長押しすると、連携したスマホの音声アシスタントが立ち上がるというもの。そしてINFOBAR xvで、普通に通話しているみたいなスタイルで、SiriやGoogleアシスタントに指示が出せるという。ちょっと便利な機能です。

「3」のキーは長押しで、簡易ライトが起動しました。

待受画面でキー「3」を長押しするとライトがつく
待受画面でキー「3」を長押しするとライトがつく

・SIMカード取り出し用のピンもINFOBAR xv型

SIMカード取り出し用のピンもINFOBAR xv型

それと、小さいけれどかなり大事なこだわりが、SIMカードスロットを引き出すためのピン。こちらも完全オリジナル。紹介された際、「かわいい!」「欲しい!」の声が上がりました。INFOBAR xvのフォルムをもとにデザインされ、本体には「INFOBAR xv」のレーザー刻印というこだわりよう。

なお、INFOBAR xvの簡単な機能を動画にまとめてみました。着信音もちょっとだけ収録。ぜひご覧ください!

そして塗料へのこだわりたるや!

続いてのプレゼンテーションは、いかにしてINFOBAR xvの塗料がつくられるかという話。

INFOBAR xv

INFOBAR xvは、手前から「NASUKON」「NISHIKIGOI」「CHERRY BERRY」。INFOBARは初代からユニークな配色で、黒やグレーが多かったケータイの世界に独自のトーンを持ち込みました。それはもちろん、今回も健在。NISHIKIGOIは、落ち着いたトーンの赤が印象的。NASUKONの深い紺色に、CHERRY BERRYの灰色がかった赤紫も、他のケータイではなかなか見かけない色合い。

そんな塗料をどうやって作っていくのか。

武蔵塗料での塗料製造の工程 武蔵塗料の製品が使用されている例

第一工程ではすべての色の元となる透明な塗料「クリアー」を製造。これがツヤや光沢、触感など10種類以上に分かれるそう。第2工程では「クリアー」にさまざまな顔料を混ぜ、「原色」をつくります。顔料は粒子が大きくジャリジャリなので、ビーズを入れてかくはんすることでなめらかな仕上がりに。そして第3工程が「調色」。「原色」を組み合わせて、文字どおり色を調える作業。

どんな色にするか、デザイン上ではおおむね決定し工場と共有されますが、そのレシピどおりに塗料を混ぜ合わせてもイメージどおりの色になるとは限りません。工場では「色板」と呼ばれる樹脂のプレートに混ぜ合わせた塗料をテスト塗装し、職人さんが目視で微調整。それを工場内で待機するデザインチームが確認するという流れ。

ときには、徹夜になる大変な作業なんです!」と付け加える砂原に、参加者のみなさん、大きくうなずくのでした。

武蔵塗料の工場を見学

プレゼンが行われた、こだわりの塗料が生み出される現場を3班に分かれて見学しました。支給されたキャップと白衣、マスクにレシーバーを装着し、いざ出発!

白衣を身にまとい武蔵塗料の工場見学へ

こちらで塗料をつくった端末も展示されていました。

武蔵塗料が担当したauの過去のケータイたち

TORQUEにQua phone、画面奥のほうにはtalbyも見えます。これまでにこちらの会社が手がけた塗料は、なんと10万色以上。すべて既製品ではなくオーダーメイドだそうです。

ファンミーティングの展示物に盛り上がる参加者たち

「わー、超なつかしー」「これ使ってたわー」と、昔の端末に盛り上がる参加者のみなさん。さすがケータイ好き! そして、ふと気づいたりするのです! 「ああ、これも武蔵塗料さんだったんだね!」と。こちらに出張してファンミーティングを開いた甲斐があります。

「生産棟」と呼ばれる、実際に塗料製造を行う建物で工程のレクチャーを受けた後、調色を行う「技術ラボ」に場所を移してデモンストレーションを見学。

この白い樹脂の板を塗装します。

調色した塗料を塗装テストするための樹脂の板

塗装する場所は、色を混ぜ合わせてオーダーどおりの調色を行う社内のラボに隣接。

調色したNISHIKIGOIの赤を塗装

スタンドに板をセットし、調色された色を塗装します。

NISHIKIGOIの赤が塗られた樹脂の板

こちら、INFOBAR xv「NISHIKIGOI」のベースになる赤。塗装後、80℃のヒーターで乾燥。

塗料の上からコーティング、紫外線で定着させる作業
塗料の上からコーティング、紫外線で定着させる作業

表面を保護するためのUVコーティングを行い、さらに80℃のヒーターで乾燥。でも乾燥直後の板は、簡単に傷が付いてしまいます。仕上げは紫外線。おおよそ1分照射することで、コーティングはしっかり固まります。

こうして完成した色板を、デザインチームが現場でチェック。オーダーどおりの色になるまで、調色を何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返すのだそう。

INFOBARにたずさわってきた塗料の職人さんを囲んで

初代INFOBARから調色を担当してきた職人さんに聞きました。

「INFOBAR xvで難しかったのは配色。オーダーどおりに調色し、事前に色見本をデザイナーさんと共有していたのですが、その色自体はOKだったんですが、たとえばNISHIKIGOIに使う3色を並べてみるとバランスがよくなくて。色を組み合わせた状態でベストに仕上げるのが難しかったです」

ちなみに、過去のINFOBAR関連でもっとも苦労したのは「INFOBAR 2の緑。あの鮮やかな発色を再現するのは大変でしたよ!(笑)」

ファンのみなさん、実機に触れつつ開発者と交流

工場見学のあとは、プレゼンテーションを行ったKDDIの砂原と司会の美田、INFOBAR xv開発メーカーの担当者のみなさんも交えて、いよいよ電源の入る実機に触れる瞬間が! もちろん質問があれば、きちんと答えます。

開発者の砂原たちもみなさんのテーブルで談笑 開発者の砂原たちもみなさんのテーブルで談笑

「本体にストラップホールがあるのがうれしいですね!」「タッチパネルにしなかったのがすごい! 十字キー押すのがINFOBARな感じですよ!」などなど、興奮のコメントが次々。「テンキー部分のボタンをフラットにするのに、苦労しました」と言う開発者に、参加者のみなさんはキーを指先で触りながら「わかります!」

INFOBAR xvに触れる男性

「いやぁ、めっちゃいいですね! 予約開始されてたんですけど、実際に自分で触って、色を見てから決めたいと思って今日まで待ってたんです。たぶん、今使ってるiPhoneと2台持ちかな!」

INFOBAR xvに触れる男性

「これは触ってみて、良さがわかりますね! 今はスマホに慣れちゃってるから、どう使おうかなあ……」

INFOBAR xvに触れる女性

触り心地最高です! UIも良かった! 思ったより重量感もあって。ケータイって、軽すぎると安っぽく仕上がっちゃうじゃないですか。これは使いたいなあ」

INFOBAR xvに触れる女性

「写真で見るだけだと質感がわからなかったんですけど、すごくいいです。今使ってるガラケーよりレスポンスも早いし、早く欲しいです」

イベントが予約開始後だったこともあり、すでに予約済みの人が多数。なかには「全色予約しました!」という人や、「ここで見て、触って一層欲しくなった」「色へのこだわりがわかって、前よりもっといいなと思った」との声も。

開発者のこだわりはもちろん、塗料のプロフェッショナルの仕事への熱意もバッチリ伝わりました。

クイズ大会&ノベルティグッズでも大盛り上がり!

最後はクイズ大会。

INFOBARファンミーティングでのクイズ大会のもよう
クイズ大会の優勝賞品を掲げる男性

優勝者には「au×TRANSFORMERS PROJECT」よりINFOBAR OPTIMUS PRIME(NISHIKIGOI)をプレゼント。
惜しくも最後の1問で敗退したみなさんには、書籍『ケータイの形態学』をプレゼント。

INFOBAR 2発売当時のノベルティも賞品のひとつ

INFOBAR 2発売時のノベルティだったショッパーも賞品に出ましたよ! 「いいなー」「いいなー」の大合唱になるのは、さすがINFOBARファンミーティングですね!

そして全員にプレゼントされたのがスタッフ着用のINFOBAR xvのオリジナルTシャツと、初代INFOBARのピンズ。これでみなさんのテンション上がりまくり!

INFOBARファンミーティングのおみやげはオリジナルTシャツとピンズ

「父がINFOBARを使っていた影響でaDpが好きになりました。私、aDpに育てられたみたいな感じがしてるんですよね(笑)」という、愛媛から日帰りで参加された方がいました。プロダクトデザインの勉強中でスケッチを持参し、熱心にお話いただいた方からは「この道を目指すようになったのはaDpがきっかけでした。ぜひ将来はaDpでデザインできるよう努力を重ねます!」なんて熱すぎるメッセージも。最後はそんなすべてのみなさんと一緒に記念撮影。

参加者と武蔵塗料のみなさん、スタッフ全員で記念撮影

工場見学という非常に貴重な場を提供してくれた武蔵塗料の山下さんからも「参加者さまに関してもINFOBARの発売の待ち遠しさを感じました。良い体験をさせていただき、ありがとうございました」というコメントをいただき、制作に関わる全員が、改めてみなさんのINFOBARへの熱い思いを肌で感じることができました。参加者のみなさん、本当にありがとうございました! 残念ながらイベントに参加できなかったみなさんも、これからのINFOBAR xvの展開にもぜひご期待くださいね!

早速INFOBAR xv 続々新展開

「新・ケータイ INFOBAR 展」
実機に触れることができる展覧会を開催します。

■イベント詳細
2018年10月31日(水)〜11月12日(月)
10:00〜19:00
会期中無休 入場無料
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン内

11/2からはオリジナルグッズも販売!

取材・文:武田篤典
撮影:稲田 平

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