2015/02/17

KDDI財団がミャンマーの子どもたちの作品展覧会を開催 カンボジアでは10校目の学校を寄贈

ヤンゴンのギャラリーで子どもたちの絵を展示

花、家、木や椰子、川と魚、鳥、そして家族や友だち。ミャンマーのヤンゴンにあるギャラリー、New Zero Art Spaceにカラフルで力強い56枚の絵が飾られた。ヤンゴン郊外のペイネーコン村の小学生たちが生まれて初めて描いたものだ。

2014年10月4日、5日、KDDI財団が、ミャンマーの子どもたちのために開催したアートクラスの様子

展示即売会の会場で、自分の作品を探す子どもたち =New Zero Art Space(ミャンマー・ヤンゴン)

公益財団法人KDDI財団は、2004年から続くアジアにおける教育支援活動の一環として、アート普及に取り組むミャンマーのNGO「New Zero」、カンボジアで子どもたちのための美術スクールを運営する「小さな美術スクール」の協力を得て、昨年10月にペイネーコン村で子どもたちのためのアートクラス(お絵描き教室)を開催した。美術教育が一般的ではないミャンマーに、小さな美術スクールを主宰する笠原知子先生を派遣し、2日間にわたって、小学校3~4年生に絵の具とパステルを使ったお絵描きを指導したのだ。

そうして完成した子どもたちの作品を展示する展覧会を、今年1月17日から24日まで、New Zero Art Spaceで開催した。初日にはオープニングレセプションが開催され、アーティストやNew Zeroのアートクラスの生徒、各国のミャンマー大使館関係者などで賑わった。

絵を描いた子どもたち56人も、朝からトラック2台に分乗して会場を訪れた。子どもたちはヤンゴンに来るのも初めて。華やかなドレスやロンジー(巻きスカートのような伝統衣装)で目いっぱいおめかしをした子どもたちは、会場に到着したときは緊張した面持ちだったが、額に入れられてきれいに展示された自分の絵に目を丸くしたり、絵と一緒に先生に記念写真を撮ってもらったりするうちに、とても誇らしげでうれしそうな表情に変わっていった。展覧会の模様はミャンマー国営放送のニュースにも取り上げられ、子どもたちのインタビューも放送された。展示された絵は1枚30ドルで販売され、売上は子どもたちの学校に寄付されるが、初日に既に10枚程度に売約済みのシールが貼られていた。

カンボジアの子どもたちとビデオ通話で交流

ミャンマーの子どもたちが、スカイプでつないだカメラの前に絵を掲げて紹介する様子

ミャンマーとカンボジアを、スカイプでつなぎ交流を深めた =小さな美術スクール(カンボジア)

午後には、カンボジアの子どもたちとの間をSkype(ビデオ通話)でつないでワークショップを開催。ミャンマーでは安定した通信環境を確保することが難しいため、子どもたちは、ギャラリーに隣接するKDDIミャンマーの会議室に移動。会議室の貸し出しに加え、Skype等の設定はKDDIミャンマーのエンジニアが協力した。カンボジア側は、小さな美術スクールで絵を教わっている近隣の孤児院の子どもたちら約40人が、小さな美術スクールに集まった。ミャンマー側の会議室の壁に映し出されたカンボジア側の映像に笠原先生が映ると、開始前から、子どもたちはスクリーンを指さして「先生が見えた!」「また描きたい!」「先生、また来てください」と大喜び。

ワークショップでは、子どもたち一人ひとりが自分の描いた絵を持ってカメラの前に出て、自己紹介と絵の説明をした。外国の子どもと話をするのもビデオ通話も初めてな上に、ミャンマー側、カンボジア側それぞれに日本語通訳が入っての会話ということもあって、最初はぎごちない様子だった子どもたちも、2~3人目からはすっかり慣れて自然に会話が進む。

ひととおり自己紹介が終わると、今度はお互いに聞きたいことを質問し合う。ミャンマーの学校では、児童が手を挙げて発言する機会はほとんどないそうだが、この日ばかりは、子どもたちから次々と手が挙がる。すっかり仲良くなった子どもたちからは、「遊びに行ったらどこに連れて行ってくれるの?」「何を食べさせてくれますか?」と、会いに行きたい気持ちがあふれる質問も。約2時間のワークショップが終わる頃には、すっかり打ち解けて、近くて遠かった2つの国の子どもたちの間に強いつながりが生まれていた。

ミャンマーの子どもたち

子どもたちは、ワークショップの後、ヤンゴン動物園を見学して村に帰る。ヤンゴンから車で1時間程度とはいえ、村からほとんど出たことのなかった子どもたちにとっては、生まれて初めて尽くしの1日になった。アートクラスと展覧会のために尽力してくれたNew Zeroのメンバーは、「ミャンマーの子どもたちがこんなに楽しく過ごせる機会を作ってくれたことがすごくうれしい。この子たちの村は、生活をするのには何も問題はないけれど、何か楽しい出来事があるかというと、何もない村なんです。
だから、今日は彼らにとってすごい1日になっていて、大人になったときに、こういう楽しいことがあったと思い起こせる機会を提供してくれたことに感謝します」と、何度も言ってくれた。

カンボジアでは10校目のKDDIスクールを寄贈

カンボジアに「10校目のKDDIスクール」が開校。校舎の前で黄色い帽子をかぶった子どもたちと記念撮影

KDDI財団は、毎年開催しているチャリティーコンサートの収益と寄付金をもとに、カンボジアにおいては、NGO「World Assistance for Cambodia」と協力して学校寄贈活動を続けてきた。1月19日には、南西部の都市シアヌークビルに、10校目となる「The Samdech Euv KDDIスクール」が開校した。KDDI財団の寄贈するKDDIスクールは、カンボジアの将来を担う人財の育成のため、インターネットを利用可能なPCを整備するのに加え、PCや英語の授業も行なっている。

今回寄贈した学校は街中にあり、車の通りの激しい大通りに面しているため、開校式の後、現地の警察やNGOの協力を得て交通安全教室を開き、参加の証として、日本の学校ではおなじみの黄色い帽子をプレゼントした。この帽子は現地の女性に縫製してもらった帽子をKDDI財団が買い取ったものだ。

2014年2月に開催されたKDDI財団が開催した「チャリティコンサートクラシック2014」で、篳篥を演奏する東儀秀樹さん =紀尾井ホール(東京都千代田区)

KDDI財団のカンボジアにおける学校寄贈は、この学校でいったん終了し、今後はこれまでに寄贈してきた学校のメインテナンスやPC、英語授業の維持などを行なうとともに、カンボジア以外のアジア各国での支援や、美術や音楽、伝統芸能などを対象にした情操教育の支援にも力を入れていく予定だ。

なお、11回目を迎えるアジアにおける教育支援を目的とした「チャリティコンサートクラシック」は、2月18日に、東京・紀尾井町ホールで開催される。東京交響楽団弦楽四重奏団が、フルート、オーボエ、ヴァイオリンのソリストを迎えて、モーツァルトの四重奏曲や映画の中のクラシック音楽を奏でる、誰でも楽しめるコンサートになっている。会場にはカンボジアの子どもたちによる絵画作品も展示される。

チャリティコンサートクラシック2015

  • 開催日 2月18日 18:30会場 19:00開演
  • 場所 紀尾井町ホール
  • チケット代 S席 4,000円  A席 3,000円(当日券あり)

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