2014/11/13

答えは大阪城を歩いて探せ! 大阪の陣400周年の謎解きイベントをARで楽しもう

「全問正解率は1桁かも」とまで予想される超難問を揃えた謎解き歴史ゲームが、11月16日(日)に大阪城公園で開催される「大阪城からの挑戦状」だ。歴史好きには挑戦しがいのあるイベントになりそうなこのクイズラリーを、KDDI研究所が開発したAR Viewer「SATCH VIEWER」がスマートフォンとAR(拡張現実感)で盛り上げる。この企画の楽しみどころについて、KDDI 新規ビジネス推進本部の北﨑修央に聞いた。

正解を探してスマートフォンをかざすクイズラリー

「大阪城からの挑戦状」は、大阪市などが主催する「大坂の陣400年天下一祭」にケーブルテレビのJ:COMが協賛したプレミアムイベントとして実施される。クイズの問題はJ:COMで放送されている歴史専門チャンネル「ヒストリーチャンネル」と「大阪歴史博物館」館長が協力して作成。現在、ウェブで公開されている「腕試しクイズ」を見れば、大阪城や大坂の陣について知り尽くしていなければ全問正解はおぼつかない難問揃いだと分かる。

11月16日に行われる「大阪城からの挑戦状」イベントを、KDDIの「SATCH VIEWER」の技術で協力するKDDI新規ビジネス推進本部の北﨑修央

11月16日に行われる「大阪城からの挑戦状」は、大阪城公園内に存在するクイズの答えを、参加者が実際に歩いて探し回るというかたちで行われ、誰でも参加できる。答えには石、橋、石垣、銅像、柱などの歴史的なモノが選ばれており、正解のモノにARアプリ「SATCH VIEWER」を起動したスマートフォンやタブレットのカメラをかざすと、「正解」というタグが表示されるという仕掛けだ。

歴史クイズスタンプラリーという企画は、子どもから大人まで参加できて、公園内を歩き回れる企画としてJ:COMが準備していたもの。当初は正解となる歴史物にカードを置くことを考えていたが、「通りすがりの人が見ただけではこれが答えだとは分からない仕組みの方が楽しいだろう」と考え、スマートフォンを利用して解答を表示するというアイデアが生まれた。

特別な機材を用意しなくても、解答が正解かどうかを判断できる方法として、かざすだけでカメラが捉えたモノを認識し、結果も表示できるARアプリ「SATCH VIEWER」が採用された。「J:COMでは、J:COMマガジン(契約者に送付する冊子)の表紙にARで画像を表示するなど、すでにARを使った企画もしていたこともあり、声をかけていただきました」(北﨑)。

動画を活用して、どこからかざしても正解を判定

公園内にあるモノにカメラをかざしてAR表示をするときに問題になるのが、写っているものの認識だ。カメラで捉えた画像とあらかじめ登録しておいた画像をマッチングさせて同じものかどうかを判定する。平面や他にはない特徴のあるモノなどを認識するのであれば判定は容易だが、屋外の公園に置かれたモノは、写真を撮影する方向や、時間帯・天候による光の変化によって異なって見えるので、「同じモノである」という判定が難しくなる。

そこで、「SATCH VIEWER」では、スマートフォンやタブレットのカメラで撮影する際に、静止画ではなく動画で撮影することで、登録した画像とマッチングする可能性を高めているが、今回の企画では、登録する画像の撮影にも動画を利用している。正解のモノを、カメラを動かしながら、さまざまな角度から1秒30コマの動画で撮影しておき、クイズ参加者のカメラが捉えた動画と、登録した動画から取り出した正解の「特異点」(そのモノの特徴を表す点)をマッチングする。さまざまな天候や時間帯の条件で動画を撮影することで、どんな時間帯に、どんな角度から撮ってもマッチングさせることができる。画像の特異点の抽出時に発生しやすい光の反射による誤認識も、さまざまな角度から撮影した画像を使用することで減らすことに成功した。

こうした新しい技術を使った認識精度の向上が可能になったのは、スマートフォンの性能が向上し、データ処理能力が上がったことが大きい。撮影時のボケやブレもリアルタイムに補正することで、正しい結果が得られるようになる。「マッチングの精度としては、100%マッチしないと反応しない厳しいパターンから、6割ぐらい合致していれば正解にするぐらいのゆるいパターンまでコントロールできます。大阪城公園と似たような環境の場所を東京で探し、皇居の楠木正成像などで実験を繰り返した結果、まったく違うものにかざしたときに誤って正解と表示されるようなことはないと考えています」と、北﨑は自信を見せる。

「ポスターなどの平面物をカメラで捉えてARを表示する、という企画はよくありますが、実際にそこにある立体物をモチーフとしてカメラをかざしてAR表示をするという企画は初めて」(北﨑)。KDDI研究所も新たな試みとして積極的に協力しており、J:COMも今後全国各地で行うイベントに活用していきたい意向だという。

ARを「かざす」検索プラットフォームへ

「大阪城からの挑戦状」

「J:COMとの協力はSATCH VIEWERにとって大きなメリットがあります。例えば、J:COMマガジンだけで300万冊発行している媒体ですから、表紙にかざすキャンペーンだけでアプリのダウンロード数が跳ね上がります。一方、J:COMも、イベントでの活用や、自社で提供しているVODサービスとの連動など、さまざまな可能性を考えていると思います。この協力を通して、もっとARを世の中に広め、多くの人にSATCH VIEWERをダウンロードして使ってほしい。SATCH VIEWERでスマホをかざせば、写したモノに応じて何かしら反応がある、という時代になれば面白いと思います」と北﨑は語る。

ペーパーメディアとSATCH VIEWERの組み合わせも注目されている。講談社の雑誌「大人の週末」には、写真にかざすと料理写真などを音と映像で見られる連載企画が掲載されている。「肉の写真にかざすと、コメントもなしに延々と肉を焼いているシーンが流れるような動画がとても評判がいい。取材時に動画も撮影して、紙では伝えられない情報を動画で提供するような企画が受けています」(北﨑)。

「SATCH VIEWERはARをビジネスや販売に直結させる方向を考えており、最終的には『かざすと販売サイトに飛んで、その商品の情報を得て、そのまま買い物ができる』ようなことを意識しています。検索エンジンにキーワードを入力して検索するのではなく、かざすと関連情報が表示できる検索プラットフォームを目指しています」と北﨑。今そこにあるものを認識することで、目の前にあるすべてのモノがインタラクティブなコンテンツに変身する。SATCH VIEWERには、さまざまな可能性が広がっている。

文:板垣朝子

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