2014/09/09

ミャンマーで始まった携帯電話市場の“垂直拡大”

MPTのSIMカードを求める人たちでごった返す携帯電話ショップ =9月1日、ミャンマー・ヤンゴン市

9月1日、平日にもかかわらず、ミャンマー各地の携帯電話ショップに熱い行列ができた。ミャンマー国営通信事業者(以下、MPT)が、携帯電話用のSIMカードの一般販売を開始したのだ。販売店各店はSIMカードを購入しようとする人々でまさにすし詰め状態となり、ショップの外側には長い列ができた。中には、購入希望者のあまりの多さにシャッターを閉めて入店制限をする店も出た。SIMカードを手にして満面の笑顔でショップから出てくる人々が相次ぐ一方で、2日間並んだにもかかわらず売り切れで入手できなかった人もいるとの報道もあるほどで、ミャンマーの人々の、このSIMカードへの待望のほどがうかがえる。

ミャンマーでは、100年以上にわたってMPTがすべての通信サービスを独占的に提供してきた。だが、軍事政権の下、欧米諸国等からの経済制裁によって経済発展が進まなかったこともあって、その実態は世界の通信の進歩から取り残されたような状況に陥っていた。2013年末で携帯電話の普及率はわずか10%にとどまっており、通信方式に関しても、今年1月にやっと3Gサービスの提供が始まったばかりだ。

しかし、2011年の民政移管以後、ミャンマーは急速な経済発展を始めている。ミャンマー政府は産業育成や輸入規制・外国企業進出規制の緩和等を推進するとともに、発展のバックボーンを支える通信およびICT産業の発展を促進する政策をとっており、携帯電話の普及率に関しては2016年末までに80%にする目標という目標を掲げている。実に3,500万前後の契約増を2年ちょっとで成し遂げようというのである。その実現のため、海外事業者2者に携帯電話市場を開放。そしてMPTは、7月16日にKDDI、住友商事と共同事業運営契約を締結し、3者のリソースを持ち寄って携帯電話から固定電話、インターネットまで、通信全般にわたるサービスを提供することにしたのである。

SIMカードの購入希望者が殺到した街中の携帯ショップの様子

店頭は、店内に入りきれないSIMカード購入希望者であふれかえる

ミャンマーでは、携帯電話は、携帯電話本体と通信契約が別々に提供されており、携帯電話を利用するには、契約情報を書き込んだSIMカードを入手する必要がある。ところが、通信設備やネットワークの整備が進んでいないことから契約数を絞らざるを得ず、SIMカードは非常に高価で売られていた。昨年からSIMカードの価格自体は一般1,500チャット(約160円)と廉価になったものの、一般販売は行われず、高い倍率の抽選方式でのみ販売されていた。このため、多くの国民が、携帯電話を利用したくてもSIMカードを入手できないために利用できないという状況に陥っていたのである。8月には、新規参入したカタールのooredooがSIMカードの一般販売を開始。そして、満を持して、全国に広いエリアを誇るMPTのSIMカードが一般販売を始めたことから、冒頭のような熱狂が生まれたのだ。

MPTがSIMカードを抽選なしで一般発売できるようになったのは、KDDI、住友商事との協力により、急激な契約数増加に対応できる通信インフラをスムーズに整備できる目途が立ったからである。MPTは9月中に70万以上、年末までには実に500万のSIMカードを一般販売する計画だ。販売店数も拡大する予定で、携帯電話を利用希望のすべての人にSIMカードが行き渡ることを目指している。

KDDIは、高い成長を期待できるとともに、国民の生活の質を向上させるために、KDDIの技術と経験を最も効果的に生かせる国として、ミャンマーへの進出を決めた。KDDIと住友商事は日本の通信品質をミャンマーに持ち込んで、携帯電話のエリアと通信品質を急速に改善するのはもちろん、通信速度や料金、サービス内容でも次々と新施策を打ち出してミャンマーの通信環境を国際水準にまで底上げしていく計画だ。9月12日には新しいロゴと新料金の発表も行われる予定で、ミャンマーの人々の新生MPTへの期待はますます高まっている。

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