2014/07/16

急成長するミャンマーの通信環境整備にKDDIと住友商事が進出

ヤンゴンの中心部 Image : Francisco Anzola(CC-BY)http://goo.gl/PEhfMA

7月16日、KDDIと住友商事は、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(以下MPT)との事業提携を発表した。両社は共同でミャンマーの通信市場に参入する。

ミャンマーはインドシナ半島北西部に位置している。1960年頃(当時の国名はビルマ)までは豊富な天然資源を背景に東南アジア有数の豊かな国として知られていたが、1962年の社会主義政権成立以降、経済は停滞。1988年には民主化デモを鎮圧した国軍により成立した軍事政権が経済開放政策を進めるものの、民主化運動に対する弾圧などを非難する欧米諸国からの経済制裁により、産業発展は周辺諸国に比べると大きく立ち遅れていた。

しかし2010年に総選挙が実施され、翌年2011年に民政移管が実現したことを受け、欧米諸国からの経済制裁も2012年から2013年にかけて相次いで解除された。ミャンマーの人口は2013年末で約6,500万人で、15才から59才までの労働人口がその約65%を占めており、今後、大きな成長の可能性を秘めた国として世界から注目されている。

ミャンマー最大都市であるヤンゴン市の中心部に開設した、KDDIミャンマービジネスセンター

戦前から日本との交流が深く、現在でも国民の多くが親日的であることから、日本企業の進出も急ピッチで進んでいる。KDDIは2013年1月に「KDDIミャンマー」を設立。ミャンマー最大の都市であり経済特区でもあるヤンゴンに開設したITサポート付きレンタルオフィス「KDDIミャンマービジネスセンター」をはじめとして、日系企業の現地オフィス立ち上げをICTの側面からサポートしている。

長らく続いた経済停滞により、ミャンマーの通信事情もグローバル市場からは取り残された状況となっていた。携帯電話の普及率は、2012年末の時点で地理的に近いカンボジアが70%、ラオスが87%で、タイでは100%を超えているのに対し、ミャンマーでは2013年末でようやく10%に達したといわれている。また、固定通信に関しても、光ファイバー網の整備はまだ限定的で、利用者はごく限られているという状況にある。

ミャンマー政府は電気通信及びICT産業の発展を促す政策を推進しており、携帯電話の人口普及率については、2015年までに50%、2016年までに75~80%とする通信インフラ整備目標を設定している。

その一環として、これまで国営企業であるMPTにより独占されていた通信事業を民間企業や海外資本に開放する方針を打ち出した。2013年には通信事業者免許のオークションを実施し、ノルウェーのTelenorとカタールのOoredoo(旧カタールテレコム)の2社が落札。両社は2014年第3四半期のサービス開始を目指している。これらの企業と今後は競争環境に置かれるMPTも技術力や資金力の増強が急務となっている。

政府の掲げる目標の通り2016年に携帯電話の普及率が80%に達すれば、およそ3年間で4000万件の新規需要が発生する計算となる。サービス展開にはインフラとして基地局網やバックホールとなる光ファイバー網の整備も必要となる。KDDI・住友商事とMPTの事業提携は、文字通り急成長するミャンマー通信市場を支える役割を果たすものとなる。

ミャンマーの位置と国旗

ミャンマーの概要
(出典:外務省「各国地域情勢」http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/myanmar/ を基に作成)

人口ピラミッド(2010年)
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ミャンマー通信市場概況
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