2014/05/30
故障かな?と思ったらまず診断! “スマートフォン自動診断アプリ”で、まずは設定を確認しよう
スマートフォンは高機能で便利だが、設定の変更やアプリのインストールで不具合が起きると原因を突き止めるのが難しい––そんな悩みを解決するのが、昨年、KDDIから提供開始されたアプリ「スマートフォン自動診断」だ。開発を担当したKDDIプロダクト品質管理部の木村 昭と林 達雄に、その狙いを聞いた。
修理依頼の多くが「異常無し」で返却される状況を改善したい
開発のきっかけは、スマートフォンの普及に伴い、お客さまから修理を依頼される端末の中に、「実は故障していなかった」ものが増えてきたことだった。例を挙げると、「突然インターネットができなくなった」とauショップに持ち込まれた端末が、実はデータ通信機能がオフになっていただけだったり、「画面が暗くて見えない」と思われた端末は、画面の明るさ調整が低くなっていたり、といったケースだ。携帯電話と異なり、機能が多く設定項目も多いスマートフォンでは、無意識のうちに設定を変更してしまい、「何も変えていないのにおかしくなった」と感じて、修理依頼に駆け込むお客さまが増えているのだ。
また、スマートフォン特有の問題として、アプリの挙動によるトラブルがある。本体には問題がなくても、お客さまがインストールしたアプリの不具合によって、電源が頻繁に落ちるといった、一見ハードウェアのトラブルに見えるような障害が発生し、「故障ではないか」と持ち込まれるケースだ。
設定やアプリの不具合など、さまざまな要因が絡み合っている可能性もあり、修理依頼を受け付けるauショップの窓口でも、こうしたケースを完全にチェックすることは難しく、その結果、修理依頼の多くが「端末自体には問題がない」ケースだったという。そこで、「故障かな?」と思ったお客さまが修理を依頼される前に、端末の故障でない場合は修理に出さなくても大丈夫なことをお知らせする機能を提供するアプリとして開発されたのが、Androidスマートフォン用の「スマートフォン自動診断」(以下自動診断アプリ)だ。
不具合の原因となる設定やアプリの確認、対処まで自動で解決
自動診断アプリでは、これまでの修理依頼データを参考に、「故障と勘違いされやすい」ポイントを重点的にチェックしている。例えば通信であれば、モバイルデータ通信機能やWi-Fi機能、機内モードのON/OFFをチェックし、これらの機能の状態を診断して修復する。
診断にはスマートフォンのアプリやセンサーの動作記録が必要となるため、アプリを利用する場合は、最初にユーザーの了承を得る画面が出てくる。この自動診断アプリは、「auお客さまサポート」アプリの中の「おすすめアプリ」から利用可能だ。
使い方は簡単だ。スマートフォンを使用していて異常を感じた時にアプリを起動し、「自動診断」「問題を検出する」の順でタップすると、自動的に診断を開始する。およそ30秒から1分程度で診断は完了し、問題の原因となっている可能性がある設定やアプリをお知らせする。
「スマートフォン自動診断」ならではの特徴が、スマートフォンの動作に影響を与えているアプリを検出する機能だ。プリインストールされているアプリだけでなく、お客さまがインストールしたアプリも対象にしている。スマートフォンの動作記録をもとにアプリごとの動作状況を確認し、エラーが大量に発生しているアプリはないか、致命的なエラーを生じさせているアプリはないかなどをチェックする。
診断終了後の対処もアプリ内から簡単にできる。設定に問題の可能性がある場合は、「修復する」をタップするだけで、設定画面を呼び出すことなく、診断アプリから設定を変更できる。問題があるアプリを検出した場合は、その場で該当アプリのアンインストールが可能だ。最後に端末の再起動を促されるので、一度端末の電源を切り、再度立ち上げると修復が完了する。
調子が良かった時点まで設定を巻き戻せる「コンディションレコーダー」
過去の調子をグラフで表示
自動診断アプリのもう一つの機能が、スマートフォンの"調子"を記録してくれる「コンディションレコーダー」だ。設定変更やアプリのインストール・アンインストールの履歴を記録しており、調子が悪くなったと感じたら「過去の調子が良かった時点」の設定やアプリの状態に戻すことができる。自動診断アプリに先立ち2012年にアプリとして提供開始しており、現在では自動診断アプリの一機能となっている。
スマートフォンの調子は、電池残量の減り方、アプリのエラー頻度とその重要度から判定し、数値化している。コンディションレコーダーを起動すると、過去2週間のスマートフォンの"調子"がグラフで表示され、設定やアプリのインストールなどの履歴が表示される。グラフを見ながら調子が良かった日時を選ぶと、その時の設定に戻される。戻した時点から現在までにお客さまが作成したデータはそのまま残るので、撮影した写真などが消える心配はない。
お客さまの感じる不具合を予想して、診断箇所を選定
スマートフォン自動診断アプリの開発を担当するKDDIプロダクト品質管理部の林 達雄(左)と木村 昭
自動診断アプリの開発目標は、「スマートフォン初心者にも分かりやすく、不具合でない場合はそう伝えること」だった。事前に不具合についての問い合わせ内容を調査したところ、「スマートフォンの使い方であるタッチ、フリック、ピンチという用語や、画面名をご存じないお客さまが多いということが分かりました」(木村)。
そのようなお客さまに電話で操作をお教えするのは難しい。「おかしいと思ったら、auに問い合わせる前に自動診断アプリで診断していただくのが開発の狙いです。お客さまにとっても、サポート部門にとってもそのほうがよいと思っています」(木村)。
開発時に苦労したのは、チェックする項目の抽出だった。「お客さまがどんな時に故障だと感じるのか、その時に役立つ診断をしなくては意味がないので、ポイントがずれないように診断箇所を決めるのに時間をかけました」(林)。お客さまからの故障申告は内容が詳しく書いてあるわけではないので、行間を読みつつ2カ月分の修理依頼のデータをすべて調べてチェック項目を特定した。
現在では、安心ケータイサポートセンターのコールセンターでも、故障の問い合わせがあった場合は、まず自動診断アプリを案内して診断することをお勧めしている。診断が終わると診断コードが表示され、それを伝えればコールセンターでスマートフォンの状態が分かるので、問題だった点と対応方法を的確に伝えられる。
また、アプリで診断して対応しても調子が良くならなかった場合は、不具合の申告を診断アプリからauのサーバーに送信できる機能もあり、端末の状態も一緒に送信される。このデータをauとメーカーで共有することで、不具合の解決に役立てるためだ。
自動診断アプリの導入効果はどうだったのだろうか。木村は、「1ヶ月に5万人以上のお客さまにこのアプリをご利用いただいております」という。そして、「現在は自動診断の結果からチェックポイントを導出していますが、将来はお客さまのクセなどを基に、不適切な設定を予測し、警告できるようなアプリを作りたいと思っています」と将来の抱負を語る。従来の携帯電話よりも高機能になった分、仕組みも複雑になったスマートフォンを、すべてのお客さまに使いこなしていただくために、欠かせないアプリになりそうだ。
文:板垣朝子
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