2013/12/05
au2013冬モデル特集『ARROWS Z FJL22』 うれしい急速充電 ユーザーに寄り添う使い心地を追求
スマートフォンの売り口上にはスペックの優劣を競う数値や性能が示されることが多かった。その中でも富士通モバイルコミュニケーションズの「ARROWS」ブランドの製品は、先進的なハイスペックがセールスポイントになることが多い。そう思ってKDDIのWebサイトで「ARRWOS Z FJL22」の特徴を見ていくと、どうも今までと印象が異なる。そこで、ARROWS Zの開発担当者であるKDDIの夏山光一に、新製品のコンセプトと、ユーザーへの訴求点を尋ねた。
開発担当者のKDDI夏山光一
夏山はこう語る。「ARROWSは、生まれ変わりました」。その心は? 「これまでのARROWSは、ハイスペックを前面に押し出してお客さまに訴求してきました。しかし、スマートフォンの普及も進み、心地よく使えることをARROWSシリーズの基本コンセプトに据えることにしました」。シンプルに使いやすく、持ちやすく、ストレスフリーで。ARRWOS Zは、そんなコンセプトを具体化した製品だというのだ。
ストレスフリーの第一は安心して使える「バッテリー」
ARROWS Z FJL22
スペックで"攻めない"ARROWS Zの最大のセールスポイントは、バッテリーの持ちの良さだ。大容量バッテリー、省電力の仕組みと急速充電機能を合わせ技にして、「感動の電池持ちを実現しました」(夏山)という。
バッテリー容量は2600mAh。3000mAh超のバッテリーを積む製品がある今となっては最大級とはいえないが、大容量バッテリーであることは間違いない。富士通は、電池持ちを良くするためにバッテリー容量をむやみに大きくする方向ではなく、消費電力を減らす方向で対策を施した。
その1つが、5インチのフルHDディスプレイに採用したRAM搭載TFT液晶。RAM搭載液晶とは耳慣れない言葉だ。夏山は、「液晶に画面データを保存するメモリー(RAM)を搭載しました。静止画を表示しているときはRAMに保存したデータを使い、CPUの動作を制限することで省電力につなげられます」と説明する。バッテリーを最も消費するディスプレイに省エネ機能を搭載し、電池が持つようにする工夫だ。富士通独自の「NX!エコ」「ヒューマンセントリックエンジン®」による省電力効果も合わせて、2600mAhのバッテリーで長時間の駆動を実現した。
減り方が少ないといっても、スマートフォンを使えばバッテリーの充電容量は減る。出勤前に充電の残りがほとんどないことに気付いて、がく然とすることもある。そんなときにARROWS Zの急速充電がユーザーを救ってくれる。ARROWS Zには急速充電対応卓上ホルダと、専用のACアダプタが付属する。卓上ホルダに載せて充電するだけで、素早く大容量バッテリーに充電してくれるのだ。フル充電までは110分。しかし、朝の忙しい時間に2時間近く充電するのは難しい。「ARROWS Zは充電の残量が15%になると警告が表示されます。その状態から10分充電するだけで、30%超まで充電できます。10分なら充電の時間を取れませんか?」と夏山は語る。使い方によって大きく異なるが、省電力設計が進んだARROWS Zならば、30%の充電で1日近く持たせることもできそうだ。
電池が減りにくい省電力設計で、減ってしまったときも短時間で充電が可能。これならば、バッテリーへの不安から解放されそうだ。
通信のストレスを軽減する「マルチコネクション」
Wi-Fiと4G LTE/3G通信を同時に使用。消費電力は4G LTE単独の通信とほとんど変わらない
4G LTE/3G接続時にWi-Fiを見つけると、4G LTE/3Gに接続したままWi-Fiに追加接続。切替動作がなく、快適スピードをキープ
ストレスフリーの考え方は、通信の新機能にも取り入れられている。ARROWS Zは富士通独自の新機能「マルチコネクション」を採用した。これは、4G LTEとWi-Fi(無線LAN)の同時通信を可能にする機能で、ARROWS Zではブラウザで利用できる。例えば、Webサイト中の画像はWi-Fiで、テキスト情報は4G LTEで同時にダウンロードできるようになる。2つの通信方式で同時に接続できるため、ダウンロードをスムーズに進めるだけでなく、通信環境が変化したときにも安定したデータ通信ができる。
例えば、地下鉄での移動中などでは通信が一時的に不安定になることがあり、「ページが表示できません」などと表示されてストレスを感じることがある。LTEとWi-Fiの"両面待ち"ができることで、つながらない事態に陥りにくくなり、ストレスはぐんと減りそうだ。
消費電力が増えないのだろうかと心配になるが、夏山は「4G LTEとWi-Fiを同時に接続するとなると、消費電力を気にする方も多いと思います。しかし、消費電力は、実際にダウンロードしたデータ量にほとんど依存するため、同じデータ量であれば消費電力は4G LTE単体での通信とほとんど変わりありません」と説明する。
デザインも細部の使い勝手も心地よさを表現
透明素材の美しさが印象的な「クリスタルデザイン」を採用。「ラウンドフォルム」は手に優しくなじむ
そして、生まれ変わったARROWSを表現するために、デザインコンセプトも刷新した。ハイスペックを主張するような角張ったフォルムではなく、柔らかで継ぎ目のないラウンドフォルムを採用。透明層で包み込んだような塗装を施した「クリスタルデザイン」で、KDDIオリジナルの柔らかなイメージを作り上げた。クリスタルデザインは「2色成型」という技術で作るのだが、夏山は「大きな面積を塗装しなければならないスマートフォンでは初めての試みで、透明感を出すのに苦労しました」と振り返る。ホワイトのやさしさ、ピンクの艶やかさ、ブラックの深さ、それぞれをクリスタルデザインの透明感が演出している。
指紋認証の起動がより高速に進化した「スイッチ付スマート指紋センサー」
大画面も片手で楽に操作できる「スライドディスプレイ」
ARROWSといえば、伝統的にセキュリティー対策に力をいれている。指紋センサーはこれまでよりも認証までの速度が速くなったほか、丸い形状でボディーと同色に進化した。スイッチ付きであるため、ボディー背面の指紋センサーを押すと画面がオンになり、指でなぞるとロック解除ができる。片手操作でロックと解除ができるわけだ。さらに、画面全体を下にスライドさせた表示ができる「スライドディスプレイ」を使えば、大画面でも片手で多くの操作が行える。
「プライバシーモード」も進化。指定した人物に対して、名前を非表示にするだけでなく、LINEなどのチャットアプリの新着表示を消すこともできる。文字入力の予測変換候補にもプライバシーモードは対応し、よく使う表現などを他人に見られずに済むようになった。
スペックを強調しないコンセプトといっても、ARROWS Zがフル装備のハイスペックマシンであることには変わりはない。2.2GHzのクアッドコアCPU、32GBのROMと2GBのRAM、2600mAhのバッテリー、1310万画素のカメラというスペックが、ストレスフリーの使い勝手を支える。フルセグ、おサイフケータイ、NFC、赤外線通信、防水と、必要な装備ももれなく用意し、安心感を高める。
機能や性能は十分に整えたその上で、シンプルに"使いやすさ"を訴求するのが新しいARROWS Zだ。スッキリしたデザイン、ストレスのない使い勝手、統一感のあるシンプルな画面や標準アプリのデザイン。尖ったところをなくし、やさしさを体現することで、多くの人の生活に密着する。ARROWS Zは、これまでのARROWSと一味違った、そんなスマートフォンへと"進化"を遂げたようだ。
文:岩元直久
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