2013/07/19
小学校向け『KDDIケータイ教室』レポート ケータイを通して見える広い世界、節度とルールを守り有効活用する
携帯電話(以下、ケータイ)、スマートフォン(以下、スマホ)、インターネットなど便利なコミュニケーションツールが急速に普及し、いつでもどこでもすぐに必要な人と連絡がとれ、便利な情報が簡単に入手できる一方、便利さの裏に潜む厄介なトラブルも発生している。
小学生・中学生のケータイ所有率が毎年上がっているという現状を踏まえ、KDDIグループは、全国の学校などに講師が出向いて「KDDIケータイ教室」を開催している。
KDDIケータイ教室は2005年度から開催しており、2012年度の開催実績は、1900回を超えている。地域差はあるものの、全般的に各地区とも前年度を上回る開催数となっている。この講座は、児童・生徒、保護者・教職員を対象にケータイやインターネットを安心かつ安全に使用するための正しい知識やルールを学び、社会の一員として守るべきルールを身につけ、自らの判断でトラブルに対処する能力を身につけてもらうことを目的に行っており、費用は無料。
講座の内容は、児童・生徒向け講座(小学生/45分、中・高校生/50分程度)と保護者・教職員向け講座(60分程度)に分かれている。講座別の回数は、小学校、中学校、高校、保護者の順で、特に保護者向け講座の増加が顕著となっている。これは、スマホに対する不安感の増大によるものだろう。講師は、講師としての講習を受けた社員らが担当する。
小学生とケータイ
小学生のケータイ所有率を全国的に見ると、東京、神奈川、大阪、千葉など都市部の都道府県が高い傾向にある。所有率は核家族化率や共働き率に比例し、子どもと連絡をとるために保護者が持たせているケースが多い。保護者の多くは、「子どもにケータイを持たせることは必要だが、電話機能とGPS機能があれば十分。メールやインターネットなどを使うと不安」と考えているようだ。学校へのケータイ持ち込みを許可しているところはほとんどなく、万が一、校内にケータイを持ち込んだ場合は教師が預かるなどの対策が取られている。子どもたちの多くはケータイを所有しており、家庭や塾など校外でさまざまな使い方をしている(ネットエイジア「小中学生の携帯電話所有に関する調査」による)。
一方、インターネット人口に小学生が占める割合が高くなるにつれ、正しい知識を持つことの重要性が問われている。インターネットの危険から子どもを守ることは急務となっている。小さい頃、交通ルールを早い時期に叩き込まれたように。
ケータイを便利に、安全に、楽しく使う
教室で実施されたケータイ教室。5年生1クラスの子どもたちが受講した
6月28日、東京都内の小学校で5年生の2クラスを対象としたケータイ教室「安心・安全講座」が行われた。教室では、児童28名と保護者数名が参加。
時間は給食・休憩の後だったが、児童たちは元気はつらつ。講座は、アニメーションによる映像教材を交えて、ケータイやインターネットの使用で発生する可能性のあるトラブルについて知って考える形式。事例ごとにクイズ形式で考えるスタイルでわかりやすく、そのためか終始活発な意見が出た。
ケータイ教室で使用される教材 キャラクターが親しみやすく解説する
講座で出題するクイズに対しては、複数の児童たちに考えを述べさせ、もし間違った回答が出た場合、なぜそれが良くないのか、わかりやすく理由を説明する。
例えば、「ある人のホームページに『ペットの写真をのせてます。かわいいよ。見てね。』と書いてあるボタンをうっかりクリックしてみたら、『閲覧料3,000円です。払わないと訴えます。』と書いてありました。あなたならどうしますか?」というクイズに対して、児童は、「お金は払う必要はない」「両親に言う」などと回答。意見を多く出させて、なぜそういう事態になったのか、ケースごとに、正しい答えへと導いていくとともに、算数の問題のように答えは一つではないことを示していた。
講師がクイズを出題すると、元気良く子どもたちの手が挙がった
この日の講座で紹介したポイントは次の4つだ。
1)ワンクリック詐欺
むやみにクリックしない。もしワンクリック詐欺にあったら、無視して、大人に報告する。
2)書き込み
自分が書いたことが相手に正しく伝わるか、書き込む前によく確認する。
3)無料ゲームサイト
ルールを決めて、自分をコントロールする。
4)ケータイのマナー
自分のケータイ使用が周囲に迷惑をかけていないか? 自分もみんなも気持ちよく過ごせるようなケータイの使い方を自らで考え、問題を解決する力を養うことが必要。
講座の最後に、受講した児童たちは、次のような感想を発表してくれた。
- ケータイでゲームをするよりも、外で元気一杯に遊んだ方がいいと思う。
- たまにPCでもゲームをするが、だらだらとやりすぎないように、親に時間やお金などを管理してもらう。
- ゲームをする場合は、眼などの健康のために、自分で時間を管理して楽しむようにしたい。
- 危険なサイトには十分に気を付けるようにする。
- 現在は親にケータイを管理してもらっていて一部の機能しか利用していないが、今日の講座を聞いて興味がでたので、大人になったら有効に活用したい。
思いやりやルールを大切にすることで、安心して使える道具となる
電話、メール、カメラ、ゲーム、インターネット......ケータイやスマホによってもたらされる楽しみや可能性は無限大だが、利用に際しては、子どもたち自身による管理、そして保護者の管理が必要なのは言うまでもない。子どもと連絡をとるなど防犯目的で持たせたはずが、大人の知らない間に様々な使い方をして子どもたちが危険にさらされることがないように、子どもがどんな使い方をしているのか把握し、日々話し合い、ケータイを持つ上でのルールを決めることが重要だ。
今回、ケータイ教室を受講したクラスの担任教諭は、「好奇心旺盛な子どもたちのケータイ利用に保護者が追いつけないということもあるようで、保護者からケータイについて相談されることもたまにあります。動画を使用した分かりやすい講座はとても参考になりました」と感想を述べた。
講師を務めたKDDI CSR・環境推進室の飯嶋正士氏は、「子どもたちのケータイに対する好奇心は強く、教える方も大変やりがいがある」と語った。
便利なモノは使い方やルールを正しく理解してこそ力強いツールとなる。快適なネットライフを実現するために、未来を担う子どもたちと共に考える「KDDIケータイ教室」は意義深い教育支援活動といえるだろう。
取材・文:桑島まさき 撮影:斉藤美春
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