2013/02/25

Firefox OSが生み出す“面白さ”で「選べる自由」を拡げる ----KDDI石川取締役


Firefox OS搭載スマートフォンの国内提供に、KDDIが名乗りを上げた。Firefox OSを導入する理由や、今後のビジネス戦略をどう考えているのか。 そしてユーザーにはどのようなメリットがあるのか。Mobile World Congress 2013(MWC 2013)が開催されるスペイン・バルセロナで、KDDI取締役 執行役員専務の石川雄三氏に突撃インタビューを行った。

——Firefox OSを導入することになった背景を教えて下さい。

石川氏: これは、KDDIがどういうキャリアになりたいのか、ということにかかわっています。お客さまの視点で面白く新しいことを実現するために、革新的な技術を採用していく——そうしたスタンスが基本にあります。auでは「選べる自由」をブランドコンセプトとして掲げていますから、新しい技術はお客さまが次に欲しいと感じる選択肢を作ることにもつながります。

Firefox OSは、オープンなOSです。「面白そう」だと感じています。もちろん他のOSも進化しています。ただ、それらとは異なる部分に位置づけられる可能性のあるOSとして、auユーザーに「選べる自由」を提供できるのではと考えました。

——「面白そう」というのは、どのようなことですか?

石川氏: Firefox OSはオープンなプラットフォームで、本当にほとんど制限がないと感じています。さまざまなデバイスとの連携の可能性や、今後の進化の可能性などに、制限がないことが効いてくるのではないでしょうか。

違う見方をしましょう。他のOSも高度に進化していきますが、経験的にある程度その進化の方向や度合いが見えています。しかしFirefox OSには今までの経験値を超えた異なる進化の形が考えられるのです。例えば、スマートフォンに限らず、フィーチャーフォンですらFirefox OSで作れる可能性があるでしょう。自分たちで今後の道筋を考えられるということは、とても面白いことです。

現段階ではどんなコンセプトでどんなプロダクトを作るかを、KDDIとしては決めていません。Firefox OSの提唱元であるMozillaやチップベンダー、端末メーカーと一緒に考えながら方向性を決めていきたいと考えています。Firefox OSはHTML5をベースにした非常にオープンなOSですけれど、実はどういう商品に育てるのかという部分まで含めて“オープンな”OSであるわけです。

——KDDIがFirefox OSの導入を国内キャリアとしていち早く発表したことの意義をどのように考えていますか。

石川氏: 新しいものにチャレンジするという方向性を宣言したと考えて下さい。モバイルOSには確実にFirefox OSのような形があり得ると考えていますし、HTML5の完成度も上がっています。今まさに注目すべきOSに取り組むというKDDIの姿勢を示しているのです。

Firefox OSの導入には、異なる側面もあります。それはモバイルで経験を積んだキャリアとしてFirefox OSの開発にかかわっていくことです。通信するデータ量の制御などによるモバイルネットワークとの整合性や、セキュリティ対策など、KDDIが知見を持っている分野は多くあります。例えば、オープンになればなるほどセキュリティリスクも高まるので、安心して使っていただける端末やサービスを作るには十分なセキュリティ対策が必要です。KDDIの知見をFirefox OSに盛り込むことで、Firefox OSの進化にも積極的に貢献するつもりです。

——いつごろ、どのような形で製品化されると考えていますか。

石川氏: 次に欲しいものを実現すると宣言して取り組むのですから、スピード感を持って検討をしなければならないと思っています。しかし、とりあえず早く出せばいいとは思っていません。さまざまな可能性を秘めているOSだけに、拙速な製品化により方向性が規定されてしまうことは避けなければなりません。今は、どんなコンセプトで世に問うのかを練っている段階です。いいものに仕上げることを前提にすると、製品化の時期は2014年以降になると考えています。

端末のコンセプトもこれから詰めていく段階ですが、Firefox OSではビジネスモデルや料金設定についてもオープンに考え直すことができるでしょう。HTML5によるWebアプリでコンテンツを書けることは、アプリの作り手をプログラマーからクリエイターに拡げることを意味します。これまでに考えられなかったような新しいコンテンツが生まれる可能性が十分にあります。データ通信の仕方も変わる可能性があり、料金設定にも工夫する余地が生まれます。

オープンなFirefox OSを導入することで、KDDIは新しい製品やサービスを考える面白さに再び触れることができます。新しい市場を切り開くことで「選べる自由」を広げて行きたいと考えています。面白くて、ワクワクしてもらえるような製品とサービスの登場に期待していてください。

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