2014/09/10
驚異の130Mbps超えも! 東京タワーでCAの“爆速”を体感
目下、日本中のあらゆる場所で着々と整備が進行しているLTEエリア。1年ほど前の電波環境に比べると、各所での通信速度の向上には目を見張るものがあるが、auでは今夏より新たに国内初となる「キャリアアグリゲーション(CA)」という技術の提供を開始している。そこで今回は、今も昔も東京のランドマークとして親しまれている東京タワーで、このCAの実力を調査した。
はじめに、今一度、CAについてその仕組みを説明しておきたい。CAとは、LTEの次世代通信システムであるLTE-Advancedの主要技術の一つで、複数の周波数帯を束ねて使用することで品質向上を実現するサービスだ。KDDIで提供している800MHz帯と2.1GHz帯という2つの周波数帯にはそれぞれの10MHz幅の帯域があり、受信時には最大75Mbpsの通信ができるが、2つの帯域を合わせて使うことで、最大で150Mbpsのデータ通信を可能としている。さらに、片方の電波の速度が遅くなっても、もう一方の電波で補うことができるため、これまでよりもより安定した通信が可能になる。まさしく、キャリア(電波)をアグリゲーション(集束)することで実現した、次世代型の高速通信システムというわけだ。
【参考】「60秒でわかるキャリアアグリゲーション」動画
CA、驚異の速度に開発担当者も驚きの声
auでは、今夏のモデルから次々とCA対応機種をリリースしてきたが、今回はその"爆速"を体感すべく、CA対応機種の「Xperia ZL2 SOL25」と、比較対象としてCA非対応端末「Xperia™ ZL2 SOL22」を携え、現地へ赴いた。
朝から観光客でにぎわう東京タワー。まずは早速、人通りの多いチケット売り場前で調査を開始。今回は、速度測定アプリ「RBB TODAY SPEED TEST」を使用し、ダウンロードスピードを中心に計測する。まずは1回目の測定。固唾をのんで結果を待っていると......なんと、対応機種の画面には早々に114.27Mbpsの数字が! これに対し、非対応機種は62.20Mbps。CA対応機種はおよそ2倍の測定結果が得られたことになる。
▲キャリアアグリゲーション(CA)対応機種で計測した場合
▲キャリアアグリゲーション(CA)非対応機種で計測した場合
しかし、通信速度は他のユーザーの利用状況などでも変わってくるため、常にこの速度が保たれているとは一概にはいえない。ところが、対応機種に関してはその後も125.25Mbps、そしてさらには131.54Mbpsという目を疑うような結果が叩き出された。「屋外の計測で、こんな数字は見たことがないかもしれない」と技術企画本部 モバイル技術企画部の中山典明も驚きの声を上げた。その後も、場所を移動し、敷地内の駐車場でも計測したところ、対応機種では平均して99.58Mbpsと、おおよそ100Mbpsに近い数字が出た。「極端に速度が下がる場面 もなく、通信も安定している」と中山は胸を張った。
auがCAの整備に真っ先に取り組んだ理由
2014年度12月末までには150Mbps対応の基地局を20,000局にまで増やす計画のKDDI。今年5月に、羽田空港で今回と同様のCA速度調査をしてからも、既存の基地局を改修したり、新たに増設し、徐々に多くのエリアでCAを使用した通信が可能となってきている。では、なぜKDDIは他社よりも早く、このCAの整備に乗り出したのだろうか?
中山いわく、その理由は2つあるという。「1つ目は 、保有周波数の課題を補って、お客様に場所を問わず安定した高速通信を提供するため、開発に乗り出しました。そして2つ目が、LTEの人口カバー率が既に99%を突破した今、LTE-Advancedという次の世界観を醸成しつつ、技術ノウハウをいち早く得たかったためです」(中山)。
auの端末では、これまでも2.1GHz帯の20MHz幅の帯域を使うことで受信最大150Mbpsという通信速度が実現可能であったが、それはユーザーの比較的少ない郊外に限ったことであった。「都心部の場合は、3Gのユーザーも2.1GHzを使っているので、すべての電波をLTEでまかなうには限度があります。そこで、800MHzと2.1GHzを組み合わせ、効率よく電波を分散させることで、通信量が集中しがちな都心部でも、地方と変わりなく受信最大150Mbpsという高速通信を実現できるようになったのです」(中山)。
また、CAをエリア内で実現するにはいくつかの条件があるが、これをクリアすることも容易ではなかったと、中山と共に導入を主導してきた勝池崇史も振り返る。まず800MHzと2.1GHzは基地局が異なるため、この2つの基地局をつなぐ必要がある。これに加え、その基地局同士をつなぐ有線回線も、より高速な通信に対応できるものに改修しなくてはならず、また、ソフトウェアのアップデートも必須であった。「これらの条件がすべて整わないことには、実際に手元の端末でCAを使った高速通信は実感いただけません。条件をすべて、同じタイミングでクリアするのには、地道な計画が必要不可欠でした」(勝池)。
▲KDDI 技術企画本部 モバイル技術企画部の中山典明(右)と勝池崇史
次世代型高速通信システムとして、今後もますますその注目度が上がっていくであろうCA。整備が進み、日本どこででもスムーズな動画再生や、ストレスフリーなアプリダウンロードが可能となってきている 。今後auからリリースされる新機種も、続々とCAに対応する予定だ。ぜひ、その"爆速"を自分の手で体感してみてほしい。
■測定条件
日時、場所:2014年9月8日、東京タワー敷地内の2カ所
端末:CA対応端末:Xperia™ ZL2 SOL25、CA非対応端末:Xperia™ ZL2 SOL22
測定方法:「RBB TODAY SPEED TEST」を利用し各5回実測
*最大通信速度はベストエフォートです。ご利用する場所や時間により実施の通信速度は異なります。今回の測定結果は実際の通信速度を保証するものではありません。
文:田代くるみ 撮影:今井裕治
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