2014/06/10
今さらだけど『クラウドファンディング』って? 仕組みと代表的サイト、利用の注意点
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは、特定のプロジェクトに対して資金を必要としている人と、出資したいプロジェクトを探している人をつなぐWebサービスだ。「インターネット募金」とも言い換えられる。
海外では資金を集める方法、また投資方法のひとつとして定着。日本では2011年に東日本大震災の募金活動がクラウドファンディングによって行われたことでその存在が一気に知られるようになった。Web上のサービスなので匿名性が高く、「ハードルの低い募金・投資」として認識されたのが急速な人気上昇の理由だと考えられている。
アイデアや技術があっても開発資金がないクリエーターや、需要は少ないが、意欲的な商品を開発して欲しい人に確実に届けたいメーカーにとって、また、そういった商品を欲しかったり必要とする人にはとてもメリットがあるサービスとして、世界的に広がっている。
クラウドファンディングは3つのタイプに分類される
クラウドファンディングは出資側が受け取るリターンによって以下の3タイプに大別できる。
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・寄付型
「応援」の形で出資するタイプ。原則として出資側にリターンはない。災害援助プロジェクトや、非営利団体が実施するプロジェクトに多く見られる。・投資型
出資に対するリターンを金銭で受け取るタイプ。貸し付けを行い、設定された利率によって利益を得るタイプは「ソーシャルレンディング」とも呼ばれる。・購入型
リターンを特定の権利や商品で受取るタイプ。もっとも多いのは製品リリースまでのコストに対して出資を募り、リターンとしてその製品を市場に先んじて提供するケース。
過去に成立したプロジェクト
クラウドファンディングでは多くのプロジェクトが目標出資額に到達し、成立している。興味深い例をいくつかご紹介しよう。
■アカデミー賞 短編ドキュメンタリー賞受賞の『Inocente』
クラウドファンディングによる支援を受けて撮影された映画が過去に数作品、アカデミー賞にノミネートされている。なかでも世界的なクラウドファンディング「Kickstarter」で資金調達した、15歳のホームレスの少女がアートを通じて成長していくドキュメンタリー映画『Inocente』は、ノミネートだけではなく、第85回アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞に輝いた。
■約4億円の出資額を集めた家庭用ロボット「Jibo」
インターネットに接続してコミュニケーションを取ったりスケジュールの確認をしたりしてくれる家庭用ロボット「Jibo」の開発プロジェクトは、クラウドファンディングサイト「Indiegogo」で世界中から注目が集め、約4億円もの出資額を集めた。その後の開発は難航したようだが、2017年9月19日ついに出荷開始が発表。今後は、日本に向けての発売が予定されている。
■ウィンクひとつで撮影できるメガネ「BLINCAM」
カメラを構え、シャッターを押すという一連の動作を、ウィンクひとつでできるメガネ「BLINCAM」。「見えているままの世界を写真に収められるウェアラブルデバイス」として注目を集めて、国内最大のクラウドファンディングサイト「Makuake」で、瞬く間に目標額へと到達した。
■「INFOBAR」が「トランスフォーマー」に
KDDIでもクラウドファンディングを実施している。タカラトミーの「トランスフォーマー」とauのケータイ「INFOBAR」がコラボレーションして限定フィギュアを製作した「au×TRANSFORMERS PROJECT」だ。クラウドファンディングサイト「Makuake」にて3,230%(!)の達成率でプロジェクト成功。TIME & SPACEではプロダクトデザイナーの深澤直人さん、トランスフォーマーデザイナーの大西裕弥さんの開発秘話など、関連記事も掲載している。
クラウドファンディングを利用するときの注意点
一方で、クラウドファンディングを利用する際はユーザー側が注意しておくべきこともある。
たとえば投資したプロジェクトの資金達成が失敗に終わった場合、そのプロジェクトは失敗となり、商品やサービスが提供されることはない。心配なのは「投資したお金が戻ってくるかどうか」だが、クラウドファンディングには「達成後支援型」と「即時支援型」があり、前者の場合、目標金額に達成しなかった場合は決済そのものが行われないが、後者では支援を決定した時点で決済が行われる。
ほかにも「商品が届くまでに時間がかかる」「思っていたものと違う」「保証がない」といった、Amazonなど一般的な物販サイトと同じような感覚で利用すると、思わぬ痛手を被ることもある。
サイトやプロジェクトによってそれぞれ異なるので、支援する前によく確認し、理解したうえで利用するのがいいだろう。
最大手の「Kickstarter」日本上陸で、日本でもますます盛り上がる?
現在、日本でもクラウドファンディングが盛り上がりを見せている要因のひとつに、アメリカ最大手のクラウドファンディングサイト「Kickstarter」が今年の9月に日本上陸を果たしたことが挙げられる。Kickstarterとは2009年にアメリカで立ち上がったクラウドファンディングの草分け的な存在だ。
日本でも2013年にサイバーエージェントが立ち上げた「Makuake」をはじめとしたクラウドファンディングサイトが盛り上げを見せており、クラウドファンディングは今後ますます身近な存在になっていくだろう。
文:TIME & SPACE編集部