2014/03/14
| 更新
2018/03/15
今さら聞けないWi-Fi講座 遅い、つながらない原因、セキュリティを大解剖
いまや家でもカフェでも飛行機の中でも、どこでもつながる便利な「Wi-Fi(ワイファイ)」。でも、そもそもWi-Fiってなに?
Wi-Fiとは、無線LANの国際規格のひとつ。無線LANは、家庭やオフィスといった狭いエリアの中で、IT機器を無線の電波でつないでつくるネットワークのこと。Wi-Fiが普及する前は、パソコンもプリンターもゲーム機も、電話線のようなケーブルでつないで、有線LANでネットワークをつくっていた。そのケーブルのかわりを無線の電波でおこなうのが無線LANだ。
Wi-Fiルーターがネットと端末をつないでる
Wi-Fiはどんな機器で構成されているのか、家庭の場合を例に説明しよう。まず、インターネットをつなげるために家に引き込まれた光ケーブルなどの先端には、「モデム」というお弁当箱ほどの装置がくっついている。この「モデム」を介してインターネットで情報をやり取りする。
次に「モデム」と「Wi-Fiルーター」という機器をつなぐ。そうすると、この「Wi-Fiルーター」から電波が飛んで、家の中のスマホやパソコン、タブレットやAIスピーカーなどがインターネットに接続できるのだ。
こういった仕組みはカフェでも駅でも、たとえ飛行機の中でも同じだ。つまり、
[インターネット]←→[モデム]←→[Wi-Fiルーター]←[電波]→[スマホやパソコンなど]
という流れで情報が行き交う。だから、自宅にWi-Fiの環境をつくりたければ、Wi-Fiルーターを買って設置すればそれでOK(インターネット回線が引き込まれている必要があるけど)。Wi-Fiルーターの価格は1万円前後。誰でも手軽にWi-Fi環境をつくることができる。
Wi-Fiが遅い、そのわけは
ところで、カフェなどで「Wi-Fiがつながらない」「Wi-Fiが遅い」という声をきく。これにはいろんな原因がある。ひとつずつ説明していこう。
●Wi-Fiルーターの規格が古い
Wi-Fiルーターも年々進化している。新しいもののほうが通信速度が速く、通信量も大きい。現在、一般的なWi-Fiの規格は「IEEE 802.11n」というもの。長いので末尾だけとって「11n」と呼ぶのが通例である。これのひとつ前が「11g」という規格。この「11g」の通信速度は「11n」のおよそ10分の1。つまり、古いWi-Fiルーターを使っているところはWi-Fiが遅いということになる。
なお、最新の規格は「11ac」で、これは「11n」の最大で11倍近い通信速度。この「11ac」対応のWi-Fiルーターを使っているところでは、「このWi-Fi、サクサクつながるね」ということになる。自宅で新しくWi-Fi環境をつくるなら、最新の「11ac」対応のWi-Fiルーターをチョイスすると快適になるだろう。
●電子レンジやコードレス電話に注意!
Bluetoothが約10m程度の近距離通信であるのに対し、100mの長距離でも通信が可能なWi-Fiは、近所のWi-Fiルーターの電波などの影響も受けてしまう。同じ周波数帯域の電波が飛び交うと、電波干渉が起きることがあるのだ。スマホでWi-Fiネットワークの接続先を選ぶ時、知らないネットワーク名がたくさん表示されるが、それだけ多くのWi-Fiの電波を拾っているということだ。
また、電子レンジやコードレス電話なども周波数帯域が似ているので、Wi-Fiと電波干渉を起こすことがある。そのため、Wi-Fiルーターは電子レンジから離れたところに置くか、周波数帯を変えるのがよい。
●機器がたくさんつながりすぎて回線が混雑
Wi-Fiルーターの能力には限度もある。ルーターのスペックや機能にもよるが10台以上の機器が接続しても大丈夫とされていても、当然、つながっている機器が増えれば増えるほどWi-Fiルーターへの負荷は大きくなり、処理速度は遅くなる。カフェなどで回線がつながりにくい最大の原因は、このようにつながっている機器が多すぎるという場合が多いので、場所を変えるなどするといいだろう。
●電波の届きにくい場所にいる
電波はコンクリートの壁などの障害物があると届きにくくなる。自宅でもカフェなどのお店でも、Wi-Fiルーターから離れていたり、コンクリート壁で隔てられたスペースだったりすると、電波はガクンと弱まってしまう。部屋のドア(とくに鉄製のドア)を閉めただけでも電波は弱くなる。
これを解決する方法は、場所を変える以外にないが、どの場所が電波が強いのか、電波は目に見えないのでわからない。そこで役立つのが、たとえば「Wi-Fiミレル」という、Wi-Fiの電波の強さを数値で教えてくれるアプリ。
「Wi-Fiミレル」をインストールしたスマホで店内の電波の強い場所を探し出し、その近辺のテーブルに座ってみよう。また、自宅でも、どの場所が電波が弱いのかが調べられるから、その結果に応じてWi-Fiルーターの位置を変えたり、あるいはWi-Fi中継器を置いたりするといいだろう。
セキュリティに気をつけて楽しもう
自宅にWi-Fiルーターを設置する時に必ず気をつけなければいけないことは、SSID(ネットワークの名前のこと)とパスワードを購入したときの状態にしておかないこと。簡単に他人が推測できないものに変えよう。
Wi-Fiの電波は約100mと、比較的遠くまで届く。となりのアパートや、同じマンションの違う階に、悪意のあるハッカーがいないとも限らない。購入したときのままのSSIDやパスワードだと、彼らは簡単に侵入できるのだ。
また、カフェや駅、ホテルなど、たくさんの人が集まる場所では、スマートバンキングなどでお金を振り込んだり、クレジットカードを使ってネットショップで買い物をしたりはしないようにしよう。あなたのシークレット情報をWi-Fi経由で盗み出すハッカーがいるかもしれない。
セキュリティに十分気をつけて上手にWi-Fiを利用し、スマホやパソコンで快適な通信を楽しんでほしい。
文:太田 穣