2014/11/14

20代でビリオネアに上り詰めた、学歴不要のクールな『神童』 ~デヴィッド・カープ~

デヴィッド・カープ/Tumblr CEO

【何をした人?】世界中で1億人のユーザーがいるブログプラットフォーム「Tumblr(タンブラー)」の創業者
【何ですごいの?】サービス開始から6年足らずで米Yahoo!に11億ドル(約1,110億円)で売却
【今は何をしているの?】Yahoo!による買収後も、TumblrのCEO としてセンス溢れるライフスタイルを投稿し、人々を魅了し続けている

テクノロジー界では、大学中退で成功した起業家が多く存在する。ビル・ゲイツ(Microsoft)、スティーブ・ジョブス(Apple)、マイケル・デル(DELL)を筆頭に、若手ではマーク・ザッカーバーグ(Facebook)もその一人だ。しかし、高校卒業も必要としなかった成功者がいる。それが、デヴィッド・カープだ。

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■学校教育という枠に収まらない「神童」

1986年7月6日、ニューヨークで生まれたデヴィッド・カープ。11歳のときに独学でHTMLを学び始め、14歳のときにはのちにGoogleに買収されるNext New Networksで、エンジニアインターンをしていた。

そんな「神童」カープにとって、学校ほど退屈なものはなかったのかもしれない。彼は15歳のとき、マンハッタンにある私立高校を中退する。そして、16歳で子育てをする母親たちのための情報交換サイト「UrbanBaby」のCTOに就任。カープは学校教育の枠を軽々と飛び越え、実業家として力を付けていった。ちなみに、母親は彼の高校で科学の教師をしており、彼の才能と情熱に理解を示し、高校中退を勧めたといわれている。インターン先も母親の紹介だった。

■マンハッタン育ちならではのこだわり

2007年、カープは19歳のときに、マイクロブログサービス「Tumblr」をスタートさせた。誰でも使えるシンプルさ、人々を飽きさせない汎用性、そして、スタイリッシュなデザイン性を追求したブログ、それが彼の生み出した「Tumblr」だ。

当初の彼のオフィスは、マンハッタンにあり、たった2名の従業員が働く小さなものだった。しかし、アートな雰囲気を漂わせるブログ機能に加え、SNSのように他の記事を引用する形でエントリーを投稿する「リブログ機能」が人気を呼び、「Tumblr」は瞬く間に全世界へと拡大。クリエイティブ系ブロガーからセレブ、政治家までがTumblrを利用し、そのユーザー(ブログ数)は1億を超えた。

■世間を驚かせた巨額の買収劇

2013年5月20日、「Tumblr」はサービス開始からわずか6年足らずで、米「Yahoo!」により11億ドルで買収された。これはYouTube、Instagramと並ぶインターネット史上に残る巨額の買収劇だ。(注:GoogleのYouTube買収2006年に16億5000万ドル、FacebookのInstagram買収2012年に10億ドル)

若くして巨額の富を手にしたカープだが、「私は投資家やベンチャーキャピタリストとしての野望を持っているわけではありません。ただ、夢をもつ友達を支援するためにそのコミュニティーが生かせればうれしい」と極めてクールなコメントを残している。

彼自身のTumblrに見るインテリアやファッションのセンスは、ただのコンピューターエンジニアのそれではない。もはやクリエイターといってもいい。テクノロジー界の「神童」カープ。学歴不要の天才は、次はどんな発想で世間を驚かせようとしているのか。そしてその新しい"何か"の発表を、世界中が待ちわびている。

文:赤坂匡介(with HK)