2014/08/25
自分と同じものに熱中する仲間を見つけよう ~マリッサ・メイヤー~
マリッサ・メイヤー/Yahoo! CEO
【何をした人?】 グーグルの20人目の社員であり、後に副社長を務めた
【何ですごいの?】 Gmailなど、100以上のサービスを立ち上げた
【今は何をしているの?】 米ヤフーのCEOに就任した
グーグルの副社長(ユーザー・エクスペリエンス担当)を務めた後、2012年7月に米ヤフーCEOに就任したマリッサ・メイヤー。シリコンバレーのスーパースターとなった彼女が、2009年にイリノイ工科大学の卒業式で語った「人生でもっとも大切なこと」とは何か?
* * *
メイヤーは1999年に20人目の従業員として設立されたばかりのグーグルに入社した。当時の役職はエンジニア。女性としては同社初の採用だった。
現在は、米ヤフーのCEOを務めるかたわら、一児の母として、さらには雑誌『ヴォーグ』にも登場したファッションリーダーとしての顔も持つ。しかし、グーグルに入社した頃の彼女は、現在の姿からは遠い「コンピューターおたく」だった。だからこそ、同じようなタイプの人材が集まっていたグーグルは、どこよりも居心地の良い場所だったという。
イリノイ工科大学の卒業式で、彼女はこうスピーチしている。
「自分にとって居心地の良い場所を見つけてください。シャイであったり、他人を気にし過すぎたり、自分の意見を言わなければ、世界を変えることはできません。信じられないかもしれませんが、私だって本当はとてもシャイだったんです。小学生の頃はクラスで手を挙げられなかったくらいです。でも、グーグルに入って、自分と同じような人々が働いていることに勇気づけられました。それ以来、私はシャイではなくなったのです」
しかし、これは単に、気が楽になる場所を探そう、という意味ではない。自分が熱中できるものに、同じように熱中している人たちがいる場所を探そう、という意味である。
だからメイヤーは、人生でもっとも大切なことについて、
「何か、自分がアツくなれるものを見つけること」(Find something that you are really passionate about.)
と言い切っている。
当時の彼女が関心を抱いていたのは、「シンボリックシステム」の研究だった。それは人間とコンピューターの関係をさまざまな側面から追求するもので、人工知能の研究や、グーグルにおける検索機能の最適化もそこに含まれている。
メイヤーは学生時代、まだまだ発展途上の分野だったシンボリックシステムの研究のため、ドイツ語ができないにもかかわらず、スイス・チューリッヒのUBS研究所に留学している。つまり、シンボリックシステムの研究は、現在のように各国に研究者がいる人気の学問ではなかったのだ。
それだけに、自分と同じ研究に熱中している人々が集まるグーグルは、彼女にとって楽園に思えたのだろう。もはやメイヤーは"シャイ"ではなく、自分のアイデアを仲間たちと共に次々と現実のものにしていった。
グーグル検索、グーグルニュース、Gmail、グーグルマップ、グーグルアースなど、同社の代表的サービスのほとんどの構築に携わり、その数は100以上にも及んだ。すべては、メイヤーがシンボリックシステムという研究に熱中し、共に熱中できる仲間を探し求めた結果として誕生したものだ。
「熱中できる何かを見つければ、自らに目的意識が生まれる。そして、それが幸福の大部分を占めているのです」
限りある人生の中で、いかに自分にとって大切なものを見つけるか。それがあなたの成功を左右する――。メイヤーが社会に出ていく学生たちに送ったのは、そんなメッセージだった。
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メイヤーは1999年に20人目の従業員として設立されたばかりのグーグルに入社した。当時の役職はエンジニア。女性としては同社初の採用だった。
現在は、米ヤフーのCEOを務めるかたわら、一児の母として、さらには雑誌『ヴォーグ』にも登場したファッションリーダーとしての顔も持つ。しかし、グーグルに入社した頃の彼女は、現在の姿からは遠い「コンピューターおたく」だった。だからこそ、同じようなタイプの人材が集まっていたグーグルは、どこよりも居心地の良い場所だったという。
イリノイ工科大学の卒業式で、彼女はこうスピーチしている。
「自分にとって居心地の良い場所を見つけてください。シャイであったり、他人を気にし過すぎたり、自分の意見を言わなければ、世界を変えることはできません。信じられないかもしれませんが、私だって本当はとてもシャイだったんです。小学生の頃はクラスで手を挙げられなかったくらいです。でも、グーグルに入って、自分と同じような人々が働いていることに勇気づけられました。それ以来、私はシャイではなくなったのです」
しかし、これは単に、気が楽になる場所を探そう、という意味ではない。自分が熱中できるものに、同じように熱中している人たちがいる場所を探そう、という意味である。
だからメイヤーは、人生でもっとも大切なことについて、
「何か、自分がアツくなれるものを見つけること」(Find something that you are really passionate about.)
と言い切っている。
当時の彼女が関心を抱いていたのは、「シンボリックシステム」の研究だった。それは人間とコンピューターの関係をさまざまな側面から追求するもので、人工知能の研究や、グーグルにおける検索機能の最適化もそこに含まれている。
メイヤーは学生時代、まだまだ発展途上の分野だったシンボリックシステムの研究のため、ドイツ語ができないにもかかわらず、スイス・チューリッヒのUBS研究所に留学している。つまり、シンボリックシステムの研究は、現在のように各国に研究者がいる人気の学問ではなかったのだ。
それだけに、自分と同じ研究に熱中している人々が集まるグーグルは、彼女にとって楽園に思えたのだろう。もはやメイヤーは"シャイ"ではなく、自分のアイデアを仲間たちと共に次々と現実のものにしていった。
グーグル検索、グーグルニュース、Gmail、グーグルマップ、グーグルアースなど、同社の代表的サービスのほとんどの構築に携わり、その数は100以上にも及んだ。すべては、メイヤーがシンボリックシステムという研究に熱中し、共に熱中できる仲間を探し求めた結果として誕生したものだ。
「熱中できる何かを見つければ、自らに目的意識が生まれる。そして、それが幸福の大部分を占めているのです」
限りある人生の中で、いかに自分にとって大切なものを見つけるか。それがあなたの成功を左右する――。メイヤーが社会に出ていく学生たちに送ったのは、そんなメッセージだった。
文:小山田裕哉