2015/08/11

VRお化け屋敷登場! 『デジタルホラーハウス』の恐怖にあなたは耐えられるか

話題性があり、人気の高い日本のお化け屋敷は、"人"を使っていかに怖がらせる演出ができるかがポイントになっているが、果たして人がいなくても怖がらせることは可能なのか。「恐怖を与える技術の自動化」をテーマにした研究を行っている大阪電気通信大学デジタルゲーム学科の魚井研究室では、仮想現実技術を利用したバーチャルリアリティ(以下、VR)や、モーションセンサーなどを駆使した「デジタルホラーハウス」を実験的に制作。昨年夏に一般向けに公開したところ、特に宣伝などしなかったにもかかわらず、4日間で400人以上が来場する人気イベントとなった。

VRは、日本では1990年頃にブームになったデジタルテクノロジーで、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)という専用のゴーグルを着けることで、正面だけでなく頭を向けた方角にも立体的に映像が表示され、まるで実際の空間の中にいるような臨場感が味わえることが話題となった。ゲームやシミュレーションなどでの活用が期待されたが、当時は機材が高価で、コンテンツの作成も難しかったことから下火になった。しかし最近になって、米Oculus VR社の「オキュラスリフト」をはじめ、サムスンやソニーが新しいHMDを次々とリリース。さらに、UnityなどVR用の映像を簡単につくれるツールが登場したことから、世界で再びブームになり、さまざまなジャンルへ応用が広がっている。

実際に「デジタルホラーハウス」を体験している様子。ヘッドマウントディスプレイを装着し、いざデジタルホラーの世界へ......

そうした状況に先駆けて魚井研究室が開発した「デジタルホラーハウス」は、モデルハウスを思わせるリビングルームに1人で座り、HMDを装着してテレビを見るところから体験がスタートする。どんな恐怖映像が飛び出すかと身構えていると、どこからとなく風が吹いてきたり、音が聞こえてきたり、室内のあちこちにデジタル技術を駆使した恐怖の仕掛けが施されており、驚いて部屋を見回すと、さらにそこへ恐怖の仕掛けが用意されている。

これらの演出は、スタッフが操作するのではなく、すべて自動で行われているのがポイントだ。人の手を使わずに約3分のあいだでどこまで恐怖を演出できるのか? シナリオはもとより、どのテクロジーを組み合わせるのかが課題となるが、2014年に行った実験の結果、多くの体験者から"怖かった"という感想が寄せられ、全自動でも恐怖は演出できることが証明された。今年の8月7日から11日の5日間、グランフロント大阪内のナレッジキャピタルで公開された「デジタルホラーハウス2015」では、昨年の実験結果を踏まえて1人向けから2人同時に体験できるようバージョンアップ。複数同時でもVRやセンサーを使って恐怖体験を演出できるかという課題にも挑戦した。

長崎のハウステンボスも、今年7月にデジタルホラーハウス(正式名称はサバイバー フロム ザ ゾンビ ラボ)を公開したが、こちらはAR(拡張現実)技術が使われており、タブレットを片手にディスプレイに現れたゾンビを倒すというアトラクション仕立てになっている。ゾンビはスタッフが演じていて、最大で6人一緒に参加できるなど、これまでのホラーハウスにデジタル技術を組み合わせたものであり、こうした演出はその他のアトラクションでも見られるようになってきている。

今年1月に米国で開催されたIT&家電ショー「CES」の会場にて、Cyberithをデモ体験している様子

海外では、VRゲームを開発するFallen Planetスタジオが「AFFECTED」というホラー作品をオンラインで公開している。同社では、現在開発中の「Cyberith」というHMDを着けて、同じ場所で360度の方向に歩き回れるVRマシンと組み合わせたバーチャルなホラーハウスのデモを公開しており、どこでも手軽に恐怖を楽しみたいという需要があることがわかる。

VRマシン「Cyberith」とホラーゲーム「AFFECTED」を組み合わせたゲームのデモ映像

昔から親しまれてきた「お化け屋敷」というアトラクションが、情報技術の力で新しい進化の可能性を見せている。

文:野々下裕子

presented by KDDI