2014/11/04
現代人必読? より良いITライフの指南書『デジタル・ダイエット』とは
生活するにあたって、何かと便利であり、各種情報コンテンツやアプリなどの娯楽性を備え、他者とのコミュニケーションツールとしての機能を兼ね備えたスマートフォンは、現代人にとって欠かせない重要なアイテムだ。仮に今、「明日からスマホ抜きの世界で生きてください」と言われても、これに従うのはなかなか難しいはず。
一方で、"スマホ依存"と呼ばれる"使い過ぎ状態"の懸念も。対人コミュニケーションがウェブ上でしか円滑にできなくなったり、依存のし過ぎで普段の生活に現実感を持つことができなくなったり、といった可能性が指摘されているのだ。
そうなってしまうと、"便利なツール"であるはずのスマートフォンに、今度は使用者が支配されるといったような逆転現象が起きてしまう。ツールといわれるものは、本来、使用者によって使われるべき存在であるはずだ。
そうした危険性に警鐘を鳴らす指南書『デジタル・ダイエット』の日本語版が、この度発売された。内容は本書の売り文句にもあるとおり、ずばり「スマホから人生を取り戻す」。とはいえ、スマホを敵視するような、いわゆる"デジタル断食"を推奨するようなものでは断じてない。あくまでスマホを使いこなし、ITライフをより有意義なものにするためのあれこれが綴られた指南書になっている。
著者はダニエル・シーバーグという人で、肩書は一応、記者になるのだろうか。エミー賞に4度ノミネートされたほか、環境ジャーナリスト協会や技術分野系シンクタンクから権威のある賞を与えられている経歴の持ち主。2007年には、ビジネス誌『ポートフィリオ』が"ビジネス・ブロードキャスティングのスター"とまで呼んだ傑物だ。
そんなITに深く関わってきた彼だからこそ、『デジタル・ダイエット』は彼にしか書けないような内容が目白押しとなっている。デジタルに支配されることなく、デジタルをうまく使いこなすことのできる21世紀人になるための必読書といっても過言ではないかもしれない。IT依存の兆候がある人のみならず、ITに接することのあるすべての人に贈りたい一冊だ。
文:武藤弘樹