2014/10/24

タブレットで計算ドリル、クラス内SNSも活用 KDDIと福岡市が推進する『次世代型教育』とは

今年9月から来年3月まで、KDDIは福岡市教育委員会と共同でICT(情報通信技術)を活用した教育実証研究を実施している。この実証研究を通し、福岡市における教育の情報化推進に向けた資料収集と効果検証が目的だ。

実施対象校は、福岡市立賀茂小学校。同校の5年生に100台のタブレット端末を配備し、算数や英語のアプリを活用した授業を行い、さまざまな検証を行っている。

10月9日、その賀茂小学校で、ICTを活用した授業が公開された。

公開授業の課目は算数。授業開始早々、タブレットを手にした児童たちは、教師の指示に従い「計算ドリル」を開始。まだタブレットの扱いに慣れていない児童も多かったが、鉛筆と紙も使用しながら全105問の計算問題を次々と解いていく表情は真剣そのもの。教師は「50問を超えたら問題が難しくなるので頑張ってください」と児童らに声を掛けていた。

なお、配布されたタブレット端末は、好きな時に学習でき、自分なりの使い方を模索できるため、各児童の「学習理解度」に合わせた問題でドリル学習ができるのも、ICT教育ならではだ。

福岡市教育委員会の池田一司指導部長はこう言う。

「ICTを積極的に活用することで、より個に応じた個別学習に取り組むことができます。結果として、学力の向上につながるのではないかと期待しています」。

もちろん、実証研究では、セキュリティにも万全を期している。各クラスに設置された無線LAN機器には、そのクラスに割り当てられた端末以外はつながらず、外部からクラス内の無線LAN機器を使用することもできない。また、学習アプリの通信には、KDDI研究所の高速ストリーム暗号技術「KCipher-2」を採用し、学習にはフィルターで許されたサイトのみ表示する仕組みになっている。

端末側も同様に安全には配慮されている。使用不可のアプリは事前に削除されており、児童が追加アプリのダウンロードをすることはできない。また、端末からのインターネットアクセス等は記録されるなど、安心・安全に配慮したICT環境を整えている。

また、今回の実証研究では、教育向けSNS「Edmodo」を利用したコミュニケーションの活性化や情報モラル教育にも取り組んでいる。同SNSは米国で2008年から始まった教育現場向けのサービスで、現在、世界190カ国で4300万人のユーザーが登録。教師や生徒、保護者など、学校およびクラス関係者専用の閉じたSNSである点や、生徒同士の1対1のコミュニケーションが禁止されている点などが特徴だ。このSNSを使うことで、教師、児童らの情報リテラシーの向上を目指す。

ICTを活用した授業は、まだ始まったばかり。今後、こうした取り組みが、児童の学習向上に寄与していくことを期待したい。

文:山田優太

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