2014/09/05

安心して子育てができる社会を――『安心ナビ』開発担当者がサービスに託す思い

家族間のコミュニケーションツールとして子どもに携帯電話を持たせる親が増えているが、中には防犯目的として「わが子にも」と取り入れた家庭も多いのではないだろうか。

KDDIからリリースされている「安心ナビ」は、モバイル端末に搭載されたGPS機能を使って子どもの居場所を探し出し、見守ることができるサービス。今回は、この安心ナビの企画・開発を手掛ける新規ビジネス推進本部の合田 但に話を聞いた。

合田:このサービスがスタートしたのは、今から9年前の2005年7月。もちろん当時は、日本ではスマートフォンは登場していませんでしたから、フィーチャーフォンのGPS機能を使ったサービスとして展開していました。

昨年5月のリニューアル後、現在は7つの機能を搭載している同サービス。あらかじめ指定したエリアへ子どもが出入りしたときに自動で知らせてくれる「エリアでお知らせ」や、他社サービスにはない、子どもが移動した経路を地図で確認できる「みまもりサーチ」など、日常的に使える機能を厳選し、設計している。

合田:開発にあたって苦労したのは、2013年のリニューアルの際に実施した"マルチデバイス対応"です。安心ナビは、それまで親と子のアプリ間でしか使うことができませんでしたし、使える端末も限定的でした。しかし、それではサービスを利用するシーンも限られてしまいます。そこで、au IDがあれば、PCなどからもアクセスができるようにし、探す側の端末を選ばないようにしました。また、実際にご使用いただくユーザーインターフェース(UI)部分にも力を入れています。安心ナビのメインのユーザーは30~40代の女性ですが、どうしても凝ったUIや難しいデザインにすると、取っ付きづらく、敬遠してしまう方も多い。そこで、画面もできるだけシンプルにし、どこに何のサービスがあるかも直感的に分かるよう、意識して設計しています。

今年7月、安心ナビは子どもたちの安全・安心に貢献するデザインに贈られる「第8回 キッズデザイン賞」を受賞した。

合田:今回の受賞にあたっては、一般ユーザーの方から、キッズデザイン賞の事務局に推薦があったとも聞いており、より一層嬉しく思っています。このような賞をいただくことで、親御さんにとっても、このサービスが安心してご利用いただけるという一つの判断基準になると期待しています。

「ユーザーが一番使いやすいサービスを意識して取り組んできた」と、合田は言う。今後、同サービスに託す思いについてこう話す。

合田: 30~40代といえば、家事に仕事にと、人生の中でもでも最も忙しいターム。そんな親御さんの育児における不安を少しでも取り除くツールとして、生活をサポートできるような存在になれば嬉しいです。また、お子さんが高校生や中学生になってもある種の保険のようなものとして、ずっと使い続けていただけるようなサービスになってほしいと思います。

安心ナビのトップ画面。直観的に使えるシンプルなUIにこだわった

「みまもりサーチ」では、子どもが通過した経路が地図上に表示される

文:田代くるみ