2014/09/03
KDDIが『学校の森・子どもサミット』に協賛 タブレットを利用した『自然体験学習』を開催
「学校の森・子どもサミット」は、林野庁と関係団体や開催地域の自治体で構成する実行委員会が主催し、森林環境教育を実施するイベント。8月5日~6日、東京港区の京都造形芸術大学・東北芸術工科大学 外苑キャンパスで実施された同イベントにKDDIは協賛した。全国の小学校から集まった子どもたちが、森林を活用した学校での教育活動の成果や、未来の森林づくりについて発表、自然体験活動を行う。同時に、教員同士が意見交換を行う貴重な場となっている。
KDDIが協賛した背景には、携帯電話の取扱説明書などのリサイクルで得た古紙売却金を活用して、森林環境教育に役立てる取り組みがある。
KDDIは2007年から、使われなくなった携帯電話の取扱説明書や説明チラシなどを回収してリサイクルしている。また、古紙の売却の際に生じた利益全額を、森林保全のために活用してきた。2013年9月には、「au取扱説明書リサイクルの森 八戸」を、同年12月、宮城県南三陸町に「au取扱説明書リサイクルの森 南三陸」を開設した。これらの森から切り出した間伐材を利用したカタログスタンドを製作するなど、その活動は広がりを見せている。
そうした取り組みが実を結び、今年3月、林野庁が推奨する環境への貢献度を示す「木づかいサイクルマーク」を、国内通信事業者として初めて取得。今回はそれらの取り組みの一環としてKDDIが支援した、東京渋谷区の明治神宮で行われた「自然体験学習」をレポートする。
■森林保全から森林環境教育へ
はじめに、今回の「学校の森・子どもサミット」にKDDIが協賛した狙いについて、プロダクト企画本部の柳 良樹に話を聞いた。
「取扱説明書の紙のリサイクルで得た収益で、全国各地の森林保全活動を実施しているのですが、今回はその活動を教育の分野にまで広げました。深刻化する地球温暖化や自然破壊などの環境問題に対して、将来を担う子どもたちへの"森林環境教育"が極めて重要だと思ったからです。今回のフィールドである明治神宮は神聖な場所なので、葉っぱや小石などを一切持ち帰ることができないことから、写真や動画で簡単に想い出を記録できるようにとタブレット端末(Xperia Z2 Tablet)を無償で提供させていただきました。また、現地で撮影したものをEdmodo(エドモド:教育用SNS)によって、クラスや全国の友だちと情報共有していただければと思います」(柳)。
Edmodoは、シリコンバレーで生まれた教育向けSNSだ。教師と生徒、保護者が「教室」という物理的限界を超えて、登録者のみのクローズな環境でさまざまな情報や資料を共有し、双方向でやりとりできるように作られているのが特徴といえる。
そして、教育の現場でのタブレット端末の活用は、国が2020年までに小中学校の生徒1人につき1台を配備する目標を掲げるなど、すでに活発化している。今回のイベントでも教員にタブレット端末で写真を撮影してもらうなどして、タブレット端末を活用してもらった。
■森から自然のしくみと大切さを学ぶ
東京渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターの広場には、早朝から全国12校の小学生たちが集合していた。同所で、各教員にタブレット端末Xperia Z2 Tabletを支給後、明治神宮へ移動しながらの体験学習が始まった。
教員・子どもたちと行動を共にするのは、実行委員会関係者、森林インストラクター、タブレット端末講師。彼ら大人を含めて約10人ごとに班に分かれ、いよいよ野外学習がスタートだ。道中、森林インストラクターが、「ひのきの名前の由来は、よく燃えるから"ひのき"」など、子どもたちに植物にまつわる豆知識をレクチャー。子どもたちはもちろん、大人も大きくうなずく場面もあった。
社務所では"明治神宮の社"を管理する田中さんが、その歴史を振り返りながら、「人の手によって作られてから今年で94年目を迎える明治神宮の社は、年間7トンもの葉を落とします。当然、参道の清掃が必要になりますが、神聖な場所ですから、機械ではなく、音をなるべく立てないほうきを使います。落ち葉をすべて森に返すことで森が育ち、生物たちのすみかになる、というような循環が起こります。試しに落ち葉をつついたら、ミミズが出てくるか試してみてください」と、自然の仕組みを子どもたちに分かりやすく説明した。
■"明治神宮の社"を実際に歩き、自然と触れ合う
講習の後は、本格的な野外学習に突入。森林インストラクターが明治神宮の各所を案内しながら、植物や歴史について解説していく。
まず、前出の田中さんの話を実践する形で、落ち葉の下にミミズを発見すべく、子どもたちは木の棒をつかんで、一生懸命に地面とにらめっこ。すると、たくさんのミミズを発見し、みんなで大喜び。
続いて、日本一の大鳥居では、ひのきの大木を取り囲んだ。実はこの木は2代目で台湾から取り寄せたものであることなどを教えてもらいながら、実際にひのきの香りを嗅いでみるといった、五感で自然を感じる体験学習も行われた。
また、"明治神宮の社"に数多くの植物が存在することから、植物の解説も随所で行われた。
森林インストラクターは「ミズナラの別名はオオナラ、おならみたいだね」など、小学生の笑いのツボを心得た指導が多く、笑顔が絶えない。
「この木はアオキという名前だからアオキさんって呼んで覚えてね!」と指導したところ、子どもたちは、「アオキさん! アオキさん!」と何度も復唱。繰り返し声を発することで、しっかりと記憶に刻んでいたようだった。
野外学習に参加した30代の女性教員は、「操作に慣れれば、とても使い勝手がいい」と述べつつ、児童たちの行動や表情をうれしそうに逐一、タブレット端末で撮影していた。子どもたちにとっては貴重な体験であると同時に、夏休みの良い思い出になったはずだ。
参加した児童のひとりは、「ミミズを見つけたり、友だちとこうやって歩いたりするのがとても楽しかったです。それから、いろいろと自然の話を聞けたのも良かったです。特に葉っぱが何トンも落ちるのには驚きました」と感想を述べた。
実行委員会の構成員である林野庁の国有林野部 経営企画課 国有林野総合利用推進室 佐藤智一課長補佐、伊豫田 望推進係長は「官民一体となって、この森林環境教育イベントを成功できて心から嬉しい。今後も、さまざまな企業や団体と協力する機会をつくり、森の大切さを伝えていきたい」と笑顔で語ってくれた。
森林の大切さを子どもたちに伝えることで、次世代への森林保全へとつなげていく同イベント。子どもたちがそれぞれの学校に帰っても、写真と自身の記憶とが相まって、森と親しんだ今日の出来事が鮮明に思い出されることだろう。
文:山中一生
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