2014/08/19

これが次世代の読書だ! 雑誌や書籍は眼鏡型ウエアラブル端末で読む

本や雑誌を読む時、あなたがどのような体勢を取るかを少し思い浮かべてほしい。それぞれお気に入りの場所や格好があるだろうけど、読む物は「手に持つ」、あるいは「どこかに置く」というのが普通で、そんなこといちいち言うまでもないくらい当たり前、のはずだった。

そこでもう一つ想像してみてほしい。眼鏡をかけて、そこに文字などが映ったらどうだろうか。従来の「読書」の常識が根底から覆ってしまうのではないだろうか。エプソンと大日本印刷(DNP)が開発しているものが、まさしくそうしたテクノロジーだ。

エプソンのスマートグラス「MOVERIO(モベリオ)シリーズ」は、眼鏡型のウエアラブル端末。装着することで視界に映像が広がり、完全なパーソナルシアターを実現するヘッドマウントタイプのディスプレイだ。

一方、DNPが、このスマートグラスで閲覧するための電子書籍、およびデジタル雑誌を開発。従来型の読書スタイルを打ち破るまったく新しい「読書」を可能とするもので、7月上旬に東京ビッグサイトで開催された「第21回 東京国際ブックフェア」のDNPブースで披露され、注目を集めた。

操作方法は、なんと「手を使わない」というもの。頭を上下左右に動かせば、ページをめくったり、スクロールしたりできる。これによって寝ても立っても座っても、どのような体勢でも読書を楽しむことが可能となった。

スマートグラスはシースルー画面で、視界が完全に遮られることがないため、AR(拡張現実)コンテンツの表示にも有効だ。ARコンテンツとは、現実の風景などにコンピューターが視覚的に情報を投影するもので、漫画『ドラゴンボール』に出てくるスカウターがこれに当たる、といえば少しは分かりいいだろうか。例えば、スマートグラスをかけてある図を見ると、それが3D表示されたり、ある単行本の表紙を見ると、その漫画の映画版の予告映像が流れる、といった具合に、印刷媒体の可能性をも広げるツールとして期待が集まっている。

DNPはこうした技術を今後も研究・開発していくとのこと。読書に革命が起きる日も近いかもしれない。

文:武藤弘樹