2014/06/13

局地的に電波を供給するKDDIの秘密兵器 名古屋駅に向け放たれる『バズーカ式八木アンテナ』初公開

名古屋駅構内の電波品質向上のために、昨年、名古屋駅前のビルの屋上にある"秘密兵器"が投入された。

その名も「バズーカ式八木アンテナ」――。

1日の利用客数が100万人以上(JR名古屋駅、名鉄名古屋駅、近鉄名古屋駅の利用者合計)という、トラフィックが混雑しがちな名古屋駅周辺でも、auユーザーがストレスなく通信できるのは、このアンテナをなくしては語れない。

各キャリアの全国各地の電波品質を「趣味」で日々チェックしている熱狂的電波ファンの間で"バズーカアンテナ"とも呼ばれるこの秘密兵器は、通常、魚の骨状の形状をしたクロス八木アンテナを改良したものだ。

名古屋駅の新幹線ホーム方向に照準を合わせて設置された2基の"バズーカ"。一見、まったくアンテナには見えないが、そもそも、なぜ、このような形になったのだろうか?

名古屋駅周辺エリアの電波環境の管理を担当する、KDDI建設本部の馬淵香織に聞いた。馬淵は、基地局設置場所の選定からオーナーとの交渉、エリア設計、建設の
管理までを担当するKDDIの社内制度「エリア職人」の一人だ。

【CAP】 KDDI建設本部の馬淵香織。名古屋駅周辺エリアの電波環境管理を担当する「エリア職人」だ。

「まず、このエリアで最も効率良く電波を送り出す方法を検証しました。電波が入りづらい場所を特定し、それを改善するには、どの場所にアンテナを設置するべきか、ひたすら歩き回り探しました。そして、名古屋駅前のとあるビルの屋上にアンテナを設置すると、改善されることが分かったのですが、そこに通常のアンテナを置いても、まだ弱いと感じました。さらに、検証したところ、クロス八木アンテナをバズーカ型に改良すれば、より広域に強く電波を届けられることが分かったんです。つまり、あの形は、効率性を重視した結果です」

ちなみに、2基のバズーカアンテナは、それぞれ「800MHz帯」用と「2GHz帯」用に分けられている。前者の方が少し太目に仕上がっているが、これも効率性を重視した結果だという。

また、バズーカの角度も、電波状況に応じて角度を微妙に調整するという。こうした日々の努力があって初めて、このエリアの快適な通信環境が確保されている。そう、KDDIの「バズーカ式八木アンテナ」は、世界で唯一の平和なバズーカなのである。

文:コバタカヒト 撮影:今井裕治

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