2014/05/29

「置くだけで充電できる」 ワイヤレス給電規格『Qi(チー)』

今、「Qi(チー)」と呼ばれる無線給電規格が話題だ。無線給電規格とは、ワイヤレスで充電ができる規格で、最近ではスマートフォンでも対象機種が登場した。

2008年から本格開発が始まった「Qi」規格は、Wireless Power Consortium(WPS)が普及を目指している無接点充電技術のことで、国際標準化が進められている。「Qi」規格の充電器を持っていれば、この規格のアイテムをケーブルなしで充電することができるのだ。

このワイヤレス充電「Qi」は、「電磁誘導型」と呼ばれる技術を取り入れている。簡単に説明すると、充電器側から磁界を発生させると機器と共振し、そこに電力が発生して充電ができる仕組み。では、この技術ではどんなものが充電できるのだろうか。

現在「Qi」規格は、5W以下の低電力のみの規格となっており、電池、バッテリー、ワイヤレスマウス、スマートフォンなどで充電可能な機器が出ている。将来的には15Wから120Wまでの給電が可能になると予想されており、ノートPCの充電もできるようになるかもしれない。

また、この「Qi」以外にも「電磁誘導型」の技術を応用したものは既に登場している。 例えば、韓国では「オンライン電気自動車」がその技術を応用している。「オンライン電気自動車」とは、道路に埋められた架線から、電磁誘導によって無線で電力の供給を受けて走る自動車である。架線のない区間はバッテリーで走行する。日本でも同じように、決められた場所に7分間車を止めておくと5km走行できる、といった技術が既に開発されている。また、宇宙空間にある太陽発電所から地球上に電気を送るという研究も、その技術の応用である。

今後、この技術の進歩によって、スマートフォンやマウスだけでなく、身の回りのあらゆるものをワイヤレスで充電することが当たり前、という時代がくるかもしれない。

文:山田滝音