2014/05/15

陰湿なネットいじめの対抗策は、証拠を学校に転送できる"通報アプリ"

文部科学省が2013年に発表した「問題行動調査」によれば、2012年度の全国の国公立私立小中高校などが確認したいじめの件数は、19万8108件。前年度と比べて、約3倍の増加だった。

こうしたいじめの中でも、発覚しにくいといわれるのがネット上でのいじめだ。教師や親の目が届きにくいSNSやネット掲示板などで、いつでもどこでも誹謗中傷や仲間外れ、他人に見られたくない画像の拡散などが行えることから、日本をはじめ欧米など諸外国で自殺者が出るなど、深刻な問題になっている。

米企業「フェニックスベンチャーグループLLC」は、そのような状況を重く見て、ネットいじめ通報アプリ「STOPit」を開発した。ネットいじめの被害者はもちろん、これまでいじめを見て見ぬふりをしてきた子どもたちも、いじめの存在を大人や学校の管理者へ通報することが可能になった。

使い方はシンプルで、ユーザーがタップする主なボタンは「STOPit」「HELPit」「FRIENDit」「REPORTit」の4つだ。

1.「STOPit」
もしインターネット上で、自分を批判する書き込みを見つけた場合、「STOPit」ボタンをタップすることで画面がスクリーンキャプチャーされ、親や先生などに転送される。

2.「HELPit」
自身がいじめをネット上で受けた際、「HELPit」を押せば、直ちに親へ助けを求めることができる。心ない誹謗中傷によって、突発的な自殺や自傷行為を防ぐことにつながる。

3.「FRIENDit」
今までいじめの存在を知りながらも、傍観するだけだった子どもが、「FRIENDit」を使用することで、名前を伏せたまま、いじめの存在を学校や大人へ通報することができる。

4.「REPORTit」
いじめが長期間続き凶悪化し、生徒や親で解決できない危険な領域に達した際、「REPORTit」でいじめの事実を学校や警察に通報できる。

2013年12月にリリースされた「STOPit」。アメリカではアプリでのネットいじめ被害者の救済が始まったばかりだ。こうした動きを踏まえて、日本でも対策が急務といえそうだ。テクノロジーの力で1人でも多くの子どもが救われることに期待したい。

文:山中一生