2014/04/25

時速270Kmの車内でも快適に動画視聴が可能 auが新幹線での通信品質テストを実施

4月23日、KDDIは、新幹線車内の通信品質の測定を実施した。3月に実人口カバー率が99%に達した同社の800MHz LTE。混雑率がアップするゴールデンウィークに向け、新幹線1両を貸し切り、東京駅-名古屋駅間で30台のスマートフォンを使い、混雑環境を想定しての電波調査だ。

今回の車両の座席数は75席。つまり、同じ車両内で半数弱の乗客がauのスマートフォンを利用しているという過酷な状況設定。また、東海道新幹線のぞみ号は、新横浜駅から名古屋駅まで停車することなく高速で移動し続ける、通信事業者泣かせの乗り物。いくら電波対策を積極的に施したとしても、最高時速270Kmで、どれほどのパフォーマンスを見せられるのかに注目した。

通信品質をチェックするのは、3人の技術スタッフ。真剣な表情でパソコンのモニターを見つめているが、彼らは30台のスマートフォンがLTEの電波をキャッチし続けているかどうか、目を光らせているのだ。彼ら技術者は、一瞬でもLTE回線から3G回線に「ハンドダウン」したら「負け」という、厳しいルールを自らに課している。

調査を取り仕切るKDDIエリア品質強化室長の木下雅臣はこう話す。

「当社社長の田中からは、東海道新幹線車内では絶対3Gに落としてはいけない、と強く言われています。現状"絶対"とは言い切れませんが、東京-名古屋間はほぼ3Gに落ちることなく、LTEのままで通信することができるようになっています」

東京-名古屋の約1時間半の調査結果は、一瞬でも3Gにハンドダウンした回数は5回。30台で5回なので、1台につき0.17回という計算。この結果は予想以上に優秀な数字で、技術者も一安心といった様子だ。

また、今回は通信品質のデータ収集とは別に1台のタブレットを使い、インターネット動画の視聴チェックも行った。調査目的は、ユーザー目線で通信品質を確認すること。その結果、視聴開始から終了までの1時間12分19秒のうち、1時間12分11秒の間、すなわち99.88%の時間率で、高画質動画を正常に視聴可能であることが確認できた。

記者も手持ちのスマートフォンで動画視聴を試みたが、こちらも一度も途切れることなく再生できた。同時にテザリング機能を使い、ノートパソコンとタブレットで動画を再生してみたが、こちらも全く切れない。ちなみに、名古屋まで記者のスマートフォンの画面から「LTE」の表示が消えることはなかった。

調査用ソフトがインストールされたスマートフォン

新幹線の時速表示とともに、調査用スマートフォン5台の画面を同時に見ることができ、LTEの速度状況が確認できる

この抜群の通信環境を支えるのは、東海道新幹線沿いに設置された約1,000局の基地局。KDDIは東海道新幹線のほかにも、高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、道の駅や観光地、温泉地、そして空港などでもLTE化を進めている。

「つながるなんて、もう、当たり前」。このキャッチコピーを実感する新幹線の通信品質テストとなった。

文:コバタカヒト 撮影:今井裕治

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