2014/04/04
沖縄離島の子供たちが直面する"15の春"を応援するプロジェクト発足、 スマートデバイスを活用した教育サポートや親子ケータイ教室を開始
2014年3月17日、沖縄県那覇市松山において、「15の春 旅立ち応援プロジェクト」の発表記者会見が行われた。
海に飛び込み別れを惜しむ子供たちも
本プロジェクトは、株式会社カルティベイト、沖縄セルラー株式会社、KDDI株式会社および京都大学の若林靖永教授が共同でチームを組み、沖縄離島に住む子供たちの教育環境と情報リテラシーの向上をサポートすることを目的として推進していくものだ。
沖縄県内で高校がある島は、沖縄本島と石垣島、宮古島、久米島の4島しかない。隣接する島を除く23島に今回のプロジェクト名にもある"15の春"という問題が存在する。この"15の春"とは、沖縄本島などの高校に進学する子供たちが、生まれ育った島を離れて生活する際に起こる問題で、新しい環境になじめず孤立したり、情報リテラシーの格差が原因で人間関係がうまく構築できなかったりすることがしばしば起こるのだという。
プロジェクトの一つ「親子ケータイ教室」では、北大東島に住む中学3年生の親子を対象に、スマートフォンの安全で便利な使い方を案内。島内に高校がないため、中学卒業と同時に沖縄本島で一人暮らしを始める子供が多い中、親子の連絡ツールとなる携帯電話を安心して利用できるように、注意すべき点やトラブル回避術を具体例とともに紹介した。
このほか、2014年度からはタブレット端末を活用した「スマート教材」の開発・導入や、英語で離島を紹介するガイドプログラム「Shimap!(シマップ)」の提供も実施予定。これら3つのコンテンツを充実させることにより、"15の春"を迎え、島を離れる子どもたちが自立・自走できるよう支援していく。
本プロジェクトの趣旨について、株式会社カルティベイト代表取締役社長・開 梨香氏は「15歳を機に旅立たなければならないという、通常の子どもたちとは違う教育環境に置かれている沖縄の小規模離島の子どもたちが、楽しい高校生活を送れるようになることが本プロジェクトのゴールである」とコメント。その実現にあたっては、高速通信サービス「LTE」の整備が必要不可欠。KDDIは800MHz「4G LTE」の実人口カバー率が99%に達している。この99%のカバー率を達成するためには、人があまり住んでいない場所にも基地局を設置しなければならない。沖縄本島から東へ360キロの地点にある人口500人強の北大東島もそのひとつで、さとうきび畑の真ん中にLTEの基地局を設置し、LTEのエリア構築に力を入れている。
親子ケータイ教室
北大東島に設置された基地局
なお、本プロジェクトは北大東島、南大東島、多良間島の3島からスタートし、希望があれば順次、他の離島へも拡大していく予定だ。
文:片貝久美子