2014/02/26

アジアのファーストランナーが連携してNFCのグローバル展開を推進

NFC(Near Field Communication:近距離無線通信技術)は、モバイル分野で今後さまざまな展開が期待されている技術。携帯通信事業者の業界団体「GSM Association」も、NFCを今後の通信事業ビジネスにおける中核技術と位置付けている。

NFCは、
・ICカード機能:スマートフォンをICカードとして利用できる機能
・リーダーライター機能:NFCタグの情報を読み取る機能
・Peer to Peer機能:NFC対応機器の間で情報をやり取りする機能
の3つの機能を備えている。

現状、日本において、非接触型のICカードでは、JR東日本のSUICAなどに使われている「FeliCa」が主流となっているが、NFCは国際標準規格として定められ、世界各国のサービスで採用されている。

スマートフォンをクレジットカードや電子マネー、交通チケットとして利用したり(ICカード機能)、NFCタグが付けられたポスターなどにスマートフォンをかざすだけで情報を表示したり(リーダーライター機能)、同じくスマートフォンをNFC対応機器にかざすだけで機器を設定して、機器同士をつなげる(Peer to Peer機能)ことができる。スマートフォンの使い方をいろいろな領域に広げることができるのが、NFCだ。

これまでKDDIは、2012年1月に日本で初めてNFCに対応した端末を発売、同年10月には日本航空(JAL)と協力して、世界で初めてNFCを活用した航空チケット「JALタッチ&ゴー」を全国の航空で開始するなど、「NFCといえばKDDI」といわれるくらいに積極的な展開を行ってきた。

もちろん、KDDIのみが独自にNFCサービスを展開しているわけではなく、NTTドコモ、ソフトバンクと「モバイル非接触ICサービス普及協議会」を設立。国際標準規格であるNFCの国内での普及と展開を推進している。

そして今回、こうしたNFCへの積極的な取り組みを海外にも拡大。「アジアNFCアライアンス」を、韓国、香港、台湾の通信事業者と連携してスタートさせた。

KDDIも含め、アジアの通信事業者が結集したのは、NFCサービスにおいてはアジアが世界のトップランナーであるため。日本人渡航者が多く、NFCサービスの導入が進んでいるアジア諸国を中心に、仕様の共通化と利用場所の拡大を図っていく予定だ。

NFCサービスの普及と拡大を目指して、国内・国外を問わず先進的な取り組みを進めているKDDI。今回、話を聞いたのは、サービス企画本部ライフデザインサービス企画部(左から)の角田大輔、八島利浩、阪東謙一

そしてもう一つ、「アジアNFCアライアンス」は重要な意味を持っている。それは、NFCの「ファーストランナー」が集まって、NFCを強力に推進しようとしている点にある。

NFCは、国際標準規格だが、国際標準としては大きな枠組みが決められているのみで、実際にサービス展開していく際には細かい取り決めが必要になる。技術的な課題はもちろん、例えばサービスを表す統一マークの策定など、具体的かつ実務的なことを、NFCへの情熱が高い事業者、NFCへのリテラシーが高い事業者が集まって策定し、世界を引っ張っていこうというのが、「アジアNFCアライアンス」なのだ。

お客さまには、さまざまなNFCサービスを国内外を問わず、気軽に使っていただけるように。サービス提供者には、NFCを活用して、低コストでサービスが提供できるように。ベンダーには、標準化を進めることで、低コストでNFC機器を開発・提供できるように。そして、通信事業者はNFCによって新しいビジネスモデルを構築できるように――アジアNFCアライアンスは、NFCのエコシステムを実現し、NFCサービスを拡大するための、強力なエンジンであり、跳躍台といえる。

そして、国内での取り組みと同様、「アジアNFCアライアンス」は極めてオープンな取り組みだ。今はファーストランナーたちが結集して、スタートダッシュをしようというフェーズだが、今後、世界各国の他のキャリアを巻き込んでいく見通しだ。

文:増田隆幸

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

presented by KDDI