2015/02/19

業務負担を減らすだけじゃない! 患者やその家族とつながる医療サービス

病院で「長時間待たされた」という経験、誰にでもあるだろう。医者は、多くの患者を一人で診る上、こまごまとした事務作業に日々追われている。しかも、スタッフ間の情報共有はノートやホワイトボードなど、結構アナログな方法を用いていることが多い。意外にも非効率な業務が多い、というのが医療の現場の"現実"だった。

というのも、実は昨年の8月まで、病院内では携帯電話が使用できなかったことが大きい。しかし、電波環境協議会から、新たに病院内での携帯電話の使い方に関する指針「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」が発表され、場所または使い方によっては携帯電話が使用できるようになった。

医療機関専用コミュニケーションプラットフォーム「Dr.JOY」。業務の引継ぎから、チーム内のコミュニケーションがこれ一つで完結します

そこに目を付けたのが、主にアプリなどを開発するDr.JOY株式会社だ。同社は、医療機関専用のコミュニケーションプラットフォーム「Dr.JOY」をリリースした。

「Dr.JOY」は、医師と医療者間の情報共有を手軽に実現できるコミュニケーションプラットフォームだ。現場でふと気付いたことや業務上の改善案などといった些細な情報発信から、医局会の資料や委員会の議事録に至るまで、SNS感覚で簡単に共有でき、チーム内のスムーズなコミュニケーションと結束を可能にする。

同社代表取締役を務める石松宏章さんは、大分県出身の30歳。現役内科医だ。東京医科大学を卒業後、東京女子医大に勤務し、現在は沖縄県内にある病院に勤めている。Dr.JOYの開発にあたって石松さんはなんと1年間、病院に住み込んで、医療に必要な機能を吟味したという。

医療機関専用ソーシャルフォーム「Dr.JOY」を開発した、Dr.JOY株式会社代表取締役の石松宏章さん

「『Dr.JOY』は、Facebookのように手軽に情報をシェアでき、LINEのようにスムーズに連絡を取り合える。このようにシンプルなつくりにすることで、これまでの業務負担を大幅に軽減できます。また、このサービスを利用すれば、『チーム医療』としてだけでなく、患者さんとその家族ともコミュニケーションを取ることができるんです」

このサービス、KDDIが行っているスタートアップ企業支援プログラム「KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)」第7期に参加し、見事「最優秀チーム」に選出された。同プログラムでは、日本最大の総合商社である三井物産のサポートを受けることとなり、石松さんは、考え方だけでなく気持ちの部分でも変化があったという。

「私は医者が専門なので、ビジネスのプロである三井物産さんからアドバイスを受けることでとても成長できました。特に『ビジネス』としての考え方が強まり、ひとつのことに対して深堀りすることで、自分がやりたいことに近付けたと思います」

同サービスは、既に3つの大学病院への導入が決まっている。医療者間だけでなく、患者さん、そしてその家族とのコミュニケーションを通じて安心を与えられる「Dr.JOY」。医療業界において、革新的なサービスの登場となるだろう。

文:山田滝音

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