2015/02/18
パートナー連合プログラムでパワーアップしたチームが成果を披露! KDDI ∞ Labo 7th DemoDay開催
「KDDI ∞ Labo」第7期の成果を発表する「KDDI ∞ Labo 7th DemoDay」が、1月27日開催された。2014年9月にスタートした第7期プログラムの締めくくりとなるイベントだ。
前期に引き続き、まだ世の中に出ていない新しいアイデアを具現化するという意味を持つ「0→1」というキーメッセージの下で実施された今期のプログラムからは、KDDIに加えて、さまざまな業種のパートナー企業13社がアセット、ノウハウを提供する「パートナー連合プログラム」による支援が行われている。また、それぞれのチームに対して、KDDI社員のメンターだけでなく、パートナー企業の中からメンタリング企業1社が付き、より深いコミットメントを行った。
DemoDayでは、参加5チームによる成果発表が行われた。各チームの発表と、メンタリング企業からのコメントを紹介しよう。
Sakaseru(株式会社goal 代表:西山祐介氏) Bloom with Tech賞
メンタリング企業:プラス株式会社
"Sakaseru"の成果発表をする株式会社goalの西山祐介氏と小尾龍太郎氏
イメージカラーとフラワーデザイナーを指名して、ヒアリングシートとチャットによるコミュニケーションで、オンリーワンの「花(フラワーアレンジメント)」を注文できるサービスを提供する。西山氏は「花は思いを込めることでオンリーワンの贈り物になる。それを形にするのがフラワーデザイナー。花とITとロジスティクスを一つにすることで感動を届けたい」と語った。プレゼンテーションでは、このサービスを利用して結婚記念日のための花をフラワーデザイナーであるローラン・ボーニッシュ氏に注文した顧客が、サプライズで妻に花を贈る演出で盛り上げた。1月27日からサービスを開始している。
メンタリング企業、プラス株式会社の伊藤羊一氏は、このチームを支援した理由を「彼らに気合いが入っていたから。必ず化けるサービスだと思った」と説明。プロジェクトの3カ月間は、「壁打ちの壁となってコンセプト、仕組み固め、UX設計など、あらゆるチェックをサポート」「考え方のレクチャーや物流センター見学などのスキル・ノウハウ提供」「知人や家族に花を贈って実験台になる」という3つの支援をしてきたことを紹介した。
Ingram(株式会社アドクオリティ 代表:松田総一氏) New Lifestyle賞
メンタリング企業:株式会社セブン&アイ・ホールディングス
"Ingram"の成果発表を株式会社アドクオリティの松田総一氏
「芸能人が着ていた服や、すれ違った人が持っていたバッグなど、いいなと思っても名前がわからなくては、それが何かを探せないのが今の検索システム。Ingramは、ものにかざすだけで、それが何かを判別し、関連する情報を検索表示する、新しい検索システムです」と、代表の松田氏。ものの判別には独自開発の人工知能を用いる。精度の肝となるのが、大量のデータをいかにして人工知能に学習させるかだが、Ingramではユーザーが使ったデータを1カ所に集めることで学習を深化させる自律学習型エコシステムを利用する。「エコシステムの確立で、検索の新たなスタンダードづくりを目指す」と意欲を見せた。
メンタリング企業の株式会社セブン&アイ・ホールディングスの畑 知志氏は、「彼はこのプログラムを通じて人工知能は世界を変えると言い続けてきた。写真を撮れば目の前にあるものが何だか分かる、彼の技術は近い将来検索のスタンダードとして、インターネットの世界をより便利にするのではないか」とコメント。プロジェクト期間中に、グループ会社のニッセンと連携し、サービス構築のための商品データを提供している。
HADO(株式会社meleap 代表:福田浩士氏) New Excitement賞
メンタリング企業:株式会社テレビ朝日
"HADO"の成果発表をする株式会社meleapの福田浩士氏
「子どものころ"カメハメ波"を撃ちたいと思ったことはありませんか? 私たちは魔法を使って戦う世界を実現します!」と福田氏は力強く言い切った。開発したのは、スマートウォッチ(Android Wear)を使用したモーション認識技術とスマホ挿入型ヘッドマウントディスプレイのAR技術で、ジェスチャーによって目の前に広がる現実世界に炎や雷などのエフェクトを表示し、チームプレイで敵と戦うアプリ「HADO」。これらの技術でITとスポーツが融合した新しいジャンルのスポーツ「テクノスポーツ」を世界に対して提案し、2020年の「テクノスポーツ五輪」開催を目指すと宣言した。
メンタリング企業の株式会社テレビ朝日の森 悠紀氏は、「彼らと出会った瞬間、運命の電撃が走った。3カ月間、彼らを信じて闘ってこられた」と述べた。プロジェクト期間中はバーチャルリアリティ映像制作やプロモーションビデオの制作をサポートしてきた。今後はHADOとの共同コンテンツや番組制作も検討中とのことだ。
∞books(ムゲンブックス 代表:佐田幸宏氏) Unlock the Future賞
メンタリング企業:コクヨ株式会社
"∞books"の成果発表をするムゲンブックスの佐田幸宏氏
「無料で本をつくれる」ウェブサービス。ブログを書いて公開するような手軽さで縦書きのEPUBファイルが作成でき、電子書籍はKindle、紙の書籍はAmazonおよび全国の書店で販売できる。「ウェブも最初はほとんどの人が『自分には作れない』と思っていたけれど、いまやブログで誰でも手軽に自分の書きたいことを発信できるようになった。本もそれと同じことだと思っているので、ウェブ業界で起こったことを出版業界でも起こしたい」と、佐田氏は目標を語った。サービス開始は2月下旬を予定している。
メンタリング企業のコクヨ株式会社・安永哲郎氏は、「このサービスが使いやすく、分かりやすくなることを徹底的に考えた」という。チームと議論を繰り返して、「誰もが持っている"眠れるコンテンツ"を本にする。"書きたい!"を形にするコミュニティ出版であり、ロングテールで文化を創る、深い本質を込めたサービス」と言う結論にたどり着いたと言う。プロジェクト期間中に、同社のワーキングマザーコミュニティが持つコンテンツを集約して、実際に出版物を編集した。
Dr.JOY(Dr.JOY株式会社 代表:石松宏章氏) Challenge the Frontier賞
メンタリング企業:三井物産株式会社
"Dr.JOY"の成果発表をするDr.JOY株式会社の石松宏章氏
現役医師が1年間病院に住み込んで開発した、医療機関専用ソーシャルプラットフォーム。カレンダー共有機能、グループ機能、医療に特化したスタンプ付きチャット機能などにより、病院における医師の引き継ぎ、スケジュール管理、タスク管理、連絡業務などの事務作業を減らし、本来の業務である診察に時間をかけられるように業務フローを改善する。プロジェクト期間中に山口県の医療機関で行った90日間の実証実験では好評価を得ており、既に3つの大学病院で採用が内定している。石松氏は、「自分の実家は開業医だったが、大きな病院に勤務するようになり、実家のような小さい診療所に比べてスタッフのコミュニケーションがうまくいっていないことを感じた。チーム医療がうまくいくことが、日本の医療を良くすることだと本気で考えている」と思いを語った。
メンタリング企業の三井物産株式会社の松井敏行氏は、Dr.JOYを採択した理由を、「治療データは患者本人のものであるべきなのに、実際はそのようになっていない。この課題に、現役医師の石松氏が挑戦したいという思いに共感した」と述べた。また、Dr.JOYは今後、病院のスタッフ間の情報共有だけでなく、患者・家族・スタッフを結ぶシステムになることを紹介した。プロジェクト期間中は、営業先となる病院の紹介や、事業の立ち上げをサポートした。
プレゼンテーションの終了後は、会場参加者の投票で選ばれる「オーディエンス賞」選定が行われ、Dr.JOYが選ばれた。そして最優秀チームにも、Dr.JOYが選ばれた。オーディエンス賞とのダブル受賞は初となる。
第8期はビジネスマッチング強化と地方創生にチャレンジ
チームによるプレゼンテーションの後は、KDDI 代表取締役執行役員専務 新規事業統括本部長の髙橋 誠が、第7期プログラムの振り返りと第8期の方針発表を行った。
第7期では、ハンズオンサポートのほか、パートナー企業との公開イベントの共催等により、KDDI ∞ Labo卒業生、KDDI Open Innovation Fund出資先などのスタートアップとパートナー企業のビジネスマッチングを実現してきた。また、パートナー企業内でもこうした活動を通して、スタートアップ支援への理解度が向上したことを紹介した。
第8期での3つの新たな方針として、「パートナー連合プログラムの拡大」「ビジネスマッチング強化」「地方創生(地方スタートアップへの支援)」を発表するKDDI代表取締役執行役員専務 新規事業統括本部長の髙橋 誠
第8期は、3つの新たな方針として、「パートナー連合プログラムの拡大」「ビジネスマッチング強化」「地方創生(地方スタートアップへの支援)」を掲げた。
パートナー連合プログラムには、株式会社日立製作所と株式会社クレディセゾンが新たに加わり、15社で第8期参加チームを支援する。メンタリング企業としては、クレディセゾン、テレビ朝日、凸版印刷、日立製作所、三井不動産の5社が名乗りを上げた。
ビジネスマッチングについては、スタートアップとの情報共有・協業促進のためのWebサイトコミュニティ構築やMeetUpイベントの開催などのマッチング施策を導入して、さらに強化を図る。
地方スタートアップ支援では、Osaka Innovation Hubとの提携を行う。支援内容としては、オフィススペースや端末の貸与、KDDI ∞ Laboコミュニティへの参加、ビジネスマッチング、DemoDayでの登壇、メンタリングなどを予定している。
KDDI ∞ Labo 第8期のエントリー期間は1月27日から2月20日まで。書類審査と面談を行い、3月下旬からプログラムのスタートとなる。次回はどんな新しいイノベーションが生まれるのか、期待したい。(第8期のエントリーは、こちらから)
文:板垣朝子 写真:斉藤美春
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