2014/02/26
KDDI ∞ Labo 5th DemoDayレポート――ブランド古着をスマホだけで手軽に売れる『スマオク』が最優秀に
KDDI代表取締役執行役員専務の高橋 誠(左)と第5期参加チームの皆さん
KDDIは、1月24日にインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)」の第5期参加チームの成果を発表するKDDI ∞ Labo 5th DemoDayを開催し、5チームの中から、最優秀賞として女子向けのオークションサービス「スマオク」を提供したザワットを選出した。
登壇したKDDI ∞ Laboの江幡智広ラボ長は、「KDDI ∞ Laboは2年半前にエンジニアの力になりたいという思いからスタートし、これまでに24チームと一緒に新サービスを生み出してきた。今日は、第5期のデモデーを迎えることができた。これからもワクワクするサービスを世の中に出していきたい」と語った。
今すぐ役立つサービスが続々と産声を上げる
DemoDayでは、各賞の発表の前に各チームが開発したサービスをプレゼンテーションするのが恒例だ。プレゼンテーションは、来場者がその場でスマートフォンを使って投票する「オーディエンス賞」へのアピールの場でもあり、それぞれ5分間の制限時間でサービスへの思いを伝えようという熱い言葉がほとばしっていた。
スマオク(ザワット):最優秀賞、Coolデザイン賞
最優秀賞、Coolデザイン賞を獲得した「スマオク」を提供するザワット代表の原田大作氏
KDDIの高橋 誠(左)とザワット代表の原田大作氏が握手
オトナ女子向けのオークションサービスを提供したのが、ザワットの「スマオク」。ザワット代表の原田大作氏は、「女性のクローゼットは非常に多くの服で大変なことになっている。もっとおしゃれをしたいが、捨てられないし、古着屋に持っていくと定価の5~10%になってしまう。売却のお手伝いをするために、簡単操作で安心に取引できるオークションサービスを提供した」と語る。女性のおしゃれ心を満足させる、女性のためのブランド古着オークションサービスだ。簡単に利用できるようにするため、操作はスマートフォンで品物の写真を撮影するだけ。安心な取引ができるように、真贋鑑定や匿名配送、決済トラブルを防ぐための仕組みも導入した。最優秀賞に選ばれ、2014年春にはauスマートパスに掲載予定と、大きな飛躍が期待できそうだ。
ズカンドットコム(ズカンドットコム):オーディエンス賞、グローバルクリエイト賞
オーディエンス賞、グローバルクリエイト賞を受賞した「ズカンドットコム」を提供するズカンドットコム取締役の中城亮祐氏と直江憲一氏
“みんなで作るWeb大図鑑”というコンセプトの図鑑プラットフォームを開発したのがズカンドットコム。会社名と同名のサービス「ズカンドットコム」について、同社取締役の直江憲一氏と中城亮祐氏は「人々の興味の対象はどんどん広がっているが、Webはそこに達していない。世界中の誰もが、分類さえ作れば手軽に図鑑や写真集を作れるサービスを提供した。ズカンドットコムで作った『WEB魚図鑑』はGoogleで魚の図鑑を検索して最上位にくるように、日本を代表する図鑑に育った」とアピールする。スプレッドシートで分類を作れば図鑑が作れる手軽さで、これまでに17件の図鑑を公開。iPhone向けアプリも1月24日に公開したほか、KDDI研究所の協力を得て、写真を撮ると魚の名称を教えてくれるアプリを2014年春にリリースする計画もある。
Dr.Wallet(Bear Tail):ベストエンジニア賞
ベストエンジニア賞を受賞した「Dr.Wallet」を提供するBear Tail代表の黒崎賢一氏
つくば発の全員がエンジニア力を持ったチームと紹介された学生枠のBear Tail。その名前は、こぐま座のしっぽにある北極星のように、人に道標を与えることが目標というところから付けたという。提供するサービス「Dr.Wallet」は、最も簡単な家計簿作成サービスを目指したもの。代表の黒崎賢一氏は「レシートを撮影するだけで、ユーザーの代わりにオペレーターがデータを入力する家計簿サービス。人間が入力するので認識率は日本ナンバーワンで、利用者にとっては入力の手間がゼロで家計簿を付けられる」と、サービスの着想を語る。手軽に入力できるだけでなく、キャンペーン対象商品のレシートを撮影して送ると、自動的にキャッシュバックが得られる仕組みを用意した。家計簿を付けて家計を管理することを超えて、メリットが得られる家計簿サービスを提供する。
PEDALRest(自転車創業):ソーシャルアントレプレナー賞
ソーシャルアントレプレナー賞を受賞した「PEDALRest」を提供する自転車創業の代表取締役 中島 大氏
プレゼンテーションの壇上へ自転車に乗って登場したのが、その名も「自転車創業」の代表取締役 中島 大氏だ。駐輪場問題を解決するサービス「PEDALRest」を提供する。「サービス名称は、ペダルを休めるという意味。余っている土地にペダル(自転車)を置ける駐輪場を作る仲立ちをし、駐輪場問題を解決したい」と語る。サービスでは、遊休地を駐輪場に転用するためのインフラとして、仲介、決済、駐輪のための設備を提供し、手数料を徴収する。まず、東京で月極の駐輪場から提供を始め、時間貸し、全国へと対象を拡大していく計画だ。すでにオープンベータ版を開設、「ここに駐輪場を開設してほしい」というリクエストも受け付ける。自転車でどこに出掛けても、目的地から100m以内に駐輪場がある世界を目指すと、夢は大きく広がる。
アオイゼミ(葵):Create the Future賞
Create the Future賞を受賞した「アオイゼミ」を提供する葵の代表取締役 石井貴基氏
オンラインの学習塾サービスを提供するのがアオイゼミ。提供会社である葵の代表取締役で、アオイゼミの教鞭も取っているのが石井貴基氏だ。「前職はファイナンシャルプランナーで、いろいろな家庭を見てきた中で、教育費の負担が重いことを実感してきた。IT時代なのに負担が軽減しないのはなぜだろうと考え、フリーミアムモデルのオンライン学習塾を立ち上げた」という。「教室をSNSやWebで再現した」と言うように、コメントやスタンプを投稿することで、講師や友だちがサポートして励まし、競い合う環境を提供する。もっと勉強したい人には有料のコンテンツも用意する。これまで中学生向けに提供してきたサービスでは、第一志望高校合格率83.6%という実績を得たという。4月からは高校生向けの講座も開講し、「5年後には日本でナンバーワンのオンライン学習塾になっていたい」(石井氏)とアピールした。
KDDI ∞ Laboの第6期は「原点に戻る」
「第6期は原点に戻って、最初の“FUN”が生み出される部分にかかわっていきたい」と語る江幡智広ラボ長
第5期を終え、第6期の参加チーム募集について説明した江幡ラボ長は、「これまで実施してきて、いろいろと感じることもあったし、勉強させてもらった。第6期を迎えるに当たって、KDDI ∞ Laboは原点に帰ろうと思う。ワクワクするサービスを世の中に出したいという思いの、最初の“FUN”が生み出される部分にかかわっていきたい」と語った。
具体的なキーワードとして江幡氏は「0→1」を掲げた。KDDI ∞ Laboが0から1を生み出すきっかけを提供し、「1」を生み出す苦しみも楽しみとして一緒にやっていける人を求めるというメッセージだ。応募要項も第5期までから少し変更し、応募サービスは外部公表前のものに限定し、外部法人からの資金調達無しなどの項目が加わった。
「0→1」のキーワードの通り、これからモノを作り出す人をターゲットにするという意味合いを明確にし、最初の立ち上がりで必要な支援を中心に提供する。第6期ではどんな「0→1」が集まってくるのか、参加チームのアイデアに期待したい。
文・撮影:岩本直久
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