2015/01/08

自宅がオンライン図書館に ニューヨークの公共図書館がモバイルルーターを無料貸し出し

ニューヨーク市は、1万台の公衆電話を無料Wi-Fiホットスポット化する「LinkNYC計画」を発表したばかりだが、続いて、公共図書館がワイヤレスホットスポット、日本でいうモバイルルーターの無料貸し出しサービスを2014年12月に始めた。主に低所得などで自宅にインターネット環境のない市民が対象で、グーグルからの100万ドル、NPOなどからの50万ドルの寄付とスプリントの協力を得ている。

エンパイアステートビルから数ブロック北のニューヨーク公共図書館等では、従来からWi-Fiサービスが提供されているが、今回の施策はニューヨーク公共図書館のほかクイーンズ図書館、ブルックリン公共図書館で、モバイルルーター1万台を無料で貸し出すというもの。半年前から100台のパイロットプログラムを行っていた。

貸し出し対象は図書館の提供する成人学習プログラムと英語学習プログラムの受講者、自宅にネット環境のない市民で、旅行者などには貸し出さない。貸し出し資格に応じて、借りられる期間などの条件が変わる。

自宅にネット環境のないニューヨーク市民は約250万人と見積もられており、公共図書館でネットを利用する人も多い。その一方で、図書館に設置されているPCは1日中満席になっていることが多く、さらに図書館がオンラインで提供するサービスが増加していることから、PCの不足は図書館にとっても大きな問題となっている。今回の施策は、地域におけるデジタルデバイド解消に向けた一歩といえるだろう。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。