2014/12/26

【世界のドローン4】空中を漂って大気を浄化してくれる未来のドローン

UrbanCone(エレクトロラックス提供)

ドローンといえば、まだまだいかついイメージがあるけれど、未来のドローンは、もっと自由なカタチをしているかもしれない。

Michat Pospiechがデザインした「UrbanCONE」と名付けられた未来のドローンは、松ぼっくりのようなユニークな形をしていて、いくつも重なった傘をゆっくり動かして空中に浮かぶ構造になっている。イメージビデオによると、モデルになっているのは海の中を漂うクラゲで、まるで水の中にいるかのように空中を浮遊し、大気中の汚染物質を浄化してくれるという。無機的に見えるが、その動きは有機的で、あえて生物のように動かすことで、町の中に浮かんでいても違和感がないようにしている。

素材は、超軽量のHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)でできた羽根を使い、太陽光パネルを搭載して動力源としている。空気清浄は羽の裏側にある交換可能フィルターを使って行うが、スモッグで前も見えないような場所でも空気をきれいにでき、さらに、エアコンや快適な香りを吹きつけるといった機能も持たせられる。操作自体はラジコン式で、よりきれいな空気が欲しい時には身近に呼び寄せて、その人の周りを集中的に清浄化するというように、あくまでもパーソナルなガジェットとしてデザインされているのも特徴になっている。

UrbanCONEは実在する製品ではなく、デザインと技術を学ぶ学生を対象としたグローバルなコンテスト「エレクトロラックス・デザイン・ラボ2014」に応募された作品だ。デザイナーのMichat Pospiechは、ポーランドの美術アカデミーの学生である。コンテストは、審査員と一般からの投票によって優秀作品が選ばれ、UrbanCONEは3位に入選している。コンセプトデザインながらも、審査員からは未来的でありながら実用可能性のある技術だと評されている。

空気汚染が広がる地域ではパーソナルな空気清浄機のニーズは高まっている。UrbanCONEは屋外用だが、屋内でも飛ばせるドローンの技術は、ルンバを発売しているiRobot社がすでに実用化を進めているので、意外に早く製品化されるかもしれない。

著者:野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。