2014/12/19

【世界のドローン3】ガジェットから撮影用までラインアップするパロット社のドローン

AR.Drone 2.0

Bebop Drone

Rolling Spider

Jmping Sumo(Parrot SA.)

スマートフォンで手軽に飛ばせるドローンが一般にも人気を集めるようになったのには、パロット(Parrot)社の「AR. Drone」の登場が大きく影響しているといっていいだろう。クルマ向けの組み込みオーディオなどの技術を開発してきたフランスの会社が、2010年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で発表したこの空飛ぶガジェットは、たちまち多くのメディアに取上げられ、ドローンによって撮影された映像や写真がネットに次々とアップされて大きな話題となった。

AR. Droneは、ボディから四方向にローターが伸びたクアッドコプターだ。縦横約50cm、重量は約400gと軽量で、優れたジャイロセンサー等によって、安定感ある操作性で空中を自在に飛び回らせることができた。iPhoneからWi-Fiでコントロールでき、フロントカメラからの映像をiPhoneにストリーミング中継できるというのも大きなインパクトがあった。さらに名前にも付いているAR(拡張現実)機能を使って、仮想の敵とバトルゲームを繰り広げることもでき、日本でも大ヒットとなった。

最新版のVer2.0はフロントカメラがHD(720p)対応となり、コントロールするアプリも扱いやすくなった。オプションでGPS内蔵のフライトレコーダーを追加でき、あらかじめ登録したルートを自動で飛ばしたり、操縦者の元に自動で戻る"Return home" モードも使えるようになった。本体は380g、屋内飛行用のハル(バンパー)を付けても420gで、連続飛行時間は10分を超える。

さらに、間もなく発売予定のBebop Droneは、カメラをそのままドローンにしたようなデザインで、他社のカメラ搭載型ドローンよりも高機能となっている。1,400万画素の魚眼レンズカメラに加えて、搭載コンピュータをAR.Dron 2.0の約8倍の性能にすることで、180度の視野を高品質に撮影し、3軸スタビライザー機能によって、より安定した撮影映像が得られるという。GPS対応で350回以上の飛行データを記録できるのも特徴となっている。

また、2014年のCESでは、新しくミニドローンと呼ばれるシリーズを発表し、日本でも発売している。その一つ、Rolling Spiderは、機体両側にホイールを取り付けることで、空中のみならず、地上や壁、天井もはうように飛び回ることができるクアッドコプターだ。底面カメラで写真を撮影して、USB経由で取り出すこともできる。もう一つのJumping Sumoは地上走行型で、搭載したカメラからの映像をスマートフォンやタブレットで見ながら操縦できる。ジグザグ走行や90度ターンをこなすだけでなく、高度差のあるところも80cmの高さまでジャンプして駆け抜けられる。スーパーマリオのような動きを実現したいという開発者の思いから搭載された機能だ。

ガジェットから本格的な撮影用まで、幅広いドローンを開発するパロット社の製品は、これからもまだまだ進化しそうだ。

[スペック]
AR.Drone 2.0
大きさ:野外用ハル装着時 45×45.5×11.5cm/屋内用ハル装着時 51.5×52×11.5cm
重量:野外用ハル装着時 380g/屋内用ハル装着時 420g
飛行速度:秒速5m(時速18km)
飛行時間:約12分/大容量バッテリー使用時 約18分)
搭載カメラ:フロントカメラ 720pHD(1,280×720ピクセル)/底面カメラ QVGA(対地速度計測用)
動力:ブラシレスモーター 14.5W 28,500RPM
電源:リチウムポリマー電池(1,000mAh/大容量バッテリー 1500mAh)

Bebop Drone
大きさ:28×32×3.6cm/屋内用ハル装着時 33×38×3.6cm
重量:390g/屋内用ハル装着時 410g
飛行速度:秒速13m(時速47km)
飛行時間:約12分
搭載カメラ:1,400万画素 魚眼レンズ(視野180°) 動画解像度 1920×1080ピクセル
動力:ブラシレスモーター
電源:リチウムポリマー電池(1200mAh)

ミニドローン Rolling Spider
大きさ:ホイール未装着時 15×15×3.4cm/ホイール装着時17×19×17cm
重量:55g/タイヤ装着時 65g
速度:時速18km
飛行時間:約6分
搭載カメラ:30万画素(底面)
電源:リチウムポリマー電池(550mAh)

ミニドローン Jmping Sumo
大きさ:タイヤ間隔を広げた状態 18.5×15×11cm/タイヤ間隔を狭めた状態 14.5×15×11cm
重量:180g
速度:時速7km
稼働時間:約20分
搭載カメラ:640×480ピクセル、15fps
電源:リチウムポリマー電池(550mAh)

著者:野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」、「DIME」、「App DIME」「ライフハッカー」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。